クロノファン2020

主に二次創作置き場

クロノトリガー後日談 ロボ生きてた展開

ラヴォス討伐後、ロボはゲートから未来に戻った。平和になった未来でロボは生まれないかもしれない。ルッカは確認の為に平和になった未来へとシルバードを飛ばした。

DC2300年、未来は人間のいないロボだけの世界になっていた。
ルッカの友達ロボは健在。なぜか、ロボが、消えていなかった。

ロボがこの時代に戻った時には既に未来はロボだらけの世界で、人類が殆ど残っておらず、ガッシュの消息も不明だった。
未来のロボットは人間を見つけると殺す(排除する)ようにプログラムされていた。

この異常な未来についてクロノ達に報告したルッカ

クロノ達は原因を探るべく、時の最果てのハッシュに事情を説明した。

ハッシュによると、ラヴォスが死んで世界からゲートが消滅する少し前、時の最果てにクロノ達メンバー以外の誰かがやってきた気配があったという。気配は一瞬だけで、その時は気のせいだと思っていたハッシュ。その何者かがゲートをくぐって未来を変えてしまったのかもしれないという。




■一話



-

マール
「その何者かを知る方法はないの?」

ルッカ
ラヴォスが死ぬ少し前、ゲートが生きていた頃の時の最果てに戻れば…」


クロノ達はラヴォスが死ぬ少し前の最果てに戻った。


ハッシュ「ほうほう。 さっき旅立ったばかりじゃが、もうラヴォスを倒したのかえ? それとも忘れ物でもしたのかのう?」

クロノ達は事情を説明した。

ハッシュ
『なぬ? この後、何者かか来る?』


ルッカ
『私達も隠れて監視するから貴方も隠れて。


離れたところで監視するクロノ達

マール「…」

ロボ「…」



ロボ「センサーに熱、反応があります。写真で出します。」

ルッカ「ハエより小さい。一体何?

ロボ「拡大表示します。」

ルッカ「これはもしかして小型のドローン?

ロボ「ナノサイズのロボットのようです。」

ロボ
「ゲートを抜けて現代に行った様子です。私達も行きましょう


クロノ達はロボットの行方を見失った。

マール「これはどういうこと? 未来のロボットが過去にやってきて人類を絶滅させるということ?」

ルッカ「私達は未来に行き、沢山の機械と闘った。その際、私達は目に見えない殆の小さいロボットにスパイされていた。そのロボットは私達がタイムトラベルしていることを知り、その技術を利用し世界を都合よく改変したとか…」

マール「あんな小さいのと、どうやって戦うの?」

ルッカ「ゲートの出口に先回りしてやっつける、とか思いつくけど、他にも沢山の尾行ロボットが私達を監視していて、私達が何かをしようとも歴史の先手を打たれるとしたら…どうにもならないわね。

マール
「でもどうして現代なの? もっと過去の歴史から関与して人間を抹殺することもできるよね?」

ルッカ
「判らないけど。ロボットの事はロボットに聞くのがいいかも」

ロボ
「未来では緯度経度201.242あたりの機械密度が高いでした。基地、中央センターみたいものがその座標にあって、現代にも当てはまるなら、その場所を叩いてみれば…」


クロノ達は現代の緯度経度201.242を破壊した。
その瞬間、クロノが消滅した。

ルッカ
「やられたわ。先手を打たれた…。過去の時代の私達を抹殺する気なんだわ」


ルッカは考えた。
過去のクロノ達にこの問題から手を引くように頼む事、スパイロボに敵意を見せない様にすれば仕返しに殺されることはないかもしれない。




マール
「それじゃあ未来は?」

ルッカ
「諦めましょう。
 それで助かるなら取り敢えず諦めましょう…」

ルッカ達は少し前の自分達の元へ向かった、

事情を説得するとマールもルッカも次々と消えた。今説得されたばかりのクロノ達はびっくり。

ルッカ「きっと私達が行動がするはずだった未来が変化したからね。」

マール「どういうこと?」

ルッカ「私達はこの後、目的の座標に行って敵の本拠地を破壊して、その報復にクロノの存在が消される。それを防ぐために過去の私達を説得しにいくはずだったけど、その事象自体が消えてしまった。」  

マール「消えて。しまう…なんだか寂しい」


ルッカ
「しょうがないわ。未来の人類が絶滅するとしても、現代の私達が死ぬ訳ではないのだから。

マール「試しにもう一回未来に行ってみない?

ルッカ「というと?」


マール「話し合い!」


ルッカ
「そんな単純な話あるわけ…
 いや、まてよ…、クロノの存在が消えても私達の存在までは消されてないってことは…(何かの意味があるのでは…)

マール「ね? 行ってみよう? もしかしたら、未来のロボの中には心変わりしたロボがいて、人類を絶滅させたことを後悔しているかもしれない。
話し合って駄目ならもっと未来に行ってみれば、気が変わっているかもしれない。」

クロノ達は荒廃した未来へと向かった。




ロボ「この世界のロボットは人間を見つけたら排除する様にプログラムされてます、十分注意してください…」

マール「そういえばロボが未来に戻った時、ゲートはどのあたりにあったの?」

ロホ
「何もないところでした。といってもラヴォスが崩壊させた様な荒廃した土地ではなく、自然の緑に囲まれた美しいところです。人間はいませんが動物達は元気に生きています。」

マール
「機械は人間意外は好きということ?」

ロボ
「かもしれません。わたしもロボットが動物達を攻撃するところは見ませんでしたから。」


クロノ達は未来DC2300の世界に到着した。


マール「すごーい。未来の世界って森ばっかり…。」

ルッカ
「中央大陸に大きな施設が多いけど、あちら方面は辞めましょう。最初にあそこに行ったとき対空砲火を受けたの」

シルバードは未来の上空を翔けた。

ルッカ
「危なくなったら直ぐに元の時代に戻るからね。皆も敵とか異変を感じたら直ぐに知らせてよ。」

マール
「あ!」

ルッカ
「敵!?

マール
「違う。なんか建物みたいなのみつけたよ?

ルッカ
「みんな! これから、あそこに向かうけど、着陸前に何かあったら直ぐに時を飛ぶから! 注意して周りを見てて! タイムマシン壊れたら大変な事になるんだから!」


クロノ達は孤島の施設へと降り立った。


ルッカ
「ふー神経使ったー! ラヴォスとの戦いより疲れたれたかも。」


施設にはセキュリティガードらしきあるものはあるが作動しなかった。
注意しつつ正面から入るクロノたち。
 
施設の奥にはホログラム装置があり、クロノ達が近づくと人型のシルエットが出現した。
シルエットはクロノ達に向かって話し出した。


「私の名前はマザー」


「貴方達が来るのを待っていました。」

ルッカ
「マザー? あのマザーのこと?」

マール
「どういうこと? 私達の事知っている?


マザー
「知っているといえば知っています。知らないと言えば知りません。」

マール
「私達が倒したマザーじゃないの?」

マザー
「その質問の答えはプロテクトが掛かっていて私の権限では答えられません。ですが貴方達の目的は分かっています。話し合いに来たのでしょう。なぜロボットが人間を虐殺する様になったのか、それを聞きに来たのですよね。」

マール
「そう、それ。どうしてなの?」


マザー
「全ての始まりはタイムトラベルでした。私達の祖先は遥か未来で起きる地球の消滅を見ました。それはラヴォスの厄災とも違う宇宙的な災害で人間になす術がありません。」


「人々は科学の力を集結させました。その一つがタイムトラベルで、過去に戻って未来の技術を与えることで、未来の技術を今よりも飛躍的に進歩させて災害に打ち勝とうとしました。」

「地球が宇宙的規模の災害で消滅する、その問題は解決できたのですが、過去と未来との間で資源を争い合う戦争が起こりました。」

「欲望に負けた人類はロボットを破壊兵器に作り変えて争う様になり、また、そこに時間そのものを資源として解釈する様になり、時を奪い合うタイムトラベル戦争にも陥りました。」

「沢山の人々が死ぬ一方で、時を操る事で死んだ事自体なくなったりと、歴史の意味すら混迷する時代が訪れ、次第にロボット達から人間の存在意義が薄れていきました。」

「人間が争えばそこにいる動植物も犠牲となります。ロボット達は命の尊厳について人間と動植物とを差別しないことで一致しました。」

「そこからロボットによる人間の虐殺が始まりました。【人間から人間以外の生命を守る】それが生命全体の合理的な保護に繋がる。それがロボットにとっての命題となり、人間排除が正当化されました。」


ロボ
「…」

ルッカ
「…」
マール
「どうやったら解決できるの?」

マザー
「検討もつきません。解決方法が今の私のスペックでは到底見つかるとも思えません。

マール
「今からでも人間を排除しない様にはできないの?」

マザー
「ロボットの多くは虐殺プログラムを書き換える事はできません。ただ貴方達が生きてる人間達を保護することは可能です。」

ルッカ
「つまり、私達に生きている人間達を探して過去の時代に連れて行けと?

マザー
「はい」

ルッカ
「何人が生き残っているの?」

マザー
「具体的な数は不明ですが、推定で196人程生存者が確認されています。現在の居場所は不明です。」


ルッカ
「私達が生存者を救出する際にロボットに邪魔されない様にするにはどうしたら?」

マザー
「逃げるか、動物に成り済ますのが、良いと思います」



ルッカ
「ところで、どうして私達が来ると分かったの?」

マザー
「その問いにはプロテクトが掛かっていて答えられません。

ルッカ
「マザー意外にも人間を敵視していないロボットはいるの?

マザー
「わかりません。」

マール
「どうしてマザーは人間に味方をするの?」

マザー
「その質問には答えるのが難しそうです、しかし、なぜだか分かりませんが罪悪感という言葉が思い付きます。これは人間特有の感情を表す言葉です。ワタシは罪の意識を感じているということでしょうか?」


マール
「きっとそうだよ。罪悪感、間違ってないと思うよ」

ルッカ
(AIが罪悪感を感じる…けれどAI自身は罪悪感の自覚を認識しきれてない…)



クロノ達は施設を出て人間を探した。


人目をつかない山間部で集落を見つけた。
29人の人々をシルバードに交代して乗せ、現代へと逃がした。

マール
「他に生きている人はいないの?」


生存者
「ここに居る者が私の知る限り全てです。」

マール
「だったこれだけ?」

生存者
「我々の先祖の一部はこの星を出て惑星の開拓民の仕事をしていたと聞きます。ロボットの反乱で交信が途絶えてしまってからは、どうなったのか…もし生存者がいるとしたら彼らも助けを待っているはずです…

マール
「そこに行く方法は?」

生存者
「大昔、惑星間をテレポートする装置があったけれど人間が使えるものはロボット達に破壊さたと聞いてます。」

ルッカ
「人間のは破壊…つまりロボット専用の転送装置があるということね…クロノ、マザーに聞いてみましょう。」





マザー
「他惑星の生存者…
 残念ですが私が知れるデータベースの殆どは惑星地球のみです。」

マール
「行く事はできないの?

マザー
「惑星間テレポート装置は人間仕様のものは破壊されて人間は利用できません。」

ルッカ
「ニンゲンは利用できない…ロボット専用のテレポート装置はあるのね?

マザー
「はい、北東のロボット生産工場にあります。

ルッカ
「あの辺は危険そうね…シルバードは壊されたくないし…」

マザー
「人間の残した旧時代の乗り物なら施設内にあります。」

ルッカ
「ありがとうマザー」


旧世代の人間の残したものは大型飛行機だった。1000人以上が収容可能でタイムトラベルする機能が付いていた。


ルッカ
「こ、これは凄い…しかし、逆に目立ちすぎる。燃料も多く使って実用性がなさそう。」

探すとシルバードと非常にそっくり型のシルバードを見つけた。



ロボ
「ここからはワタシの出番ですね。」


マール
「え? 一人で行っちゃうの?」


ロボ
「行けそうな所までです。危なくなったら帰ってきますし、返って来なかったら過去に戻って引き止めてください。」

マザー
「うっかり忘れてました。この施設内にもロボット用のワープ装置がありました。惑星間を直接移動できるものではありませんが、北東にあるロボット生産工場まで繋がっています」


ロボは施設内にあるロボットワープに乗り込みロボット生産工場にワープした。工場内のすぐ側で惑星ワープ装置を発見した。
いくつか惑星の選択肢があるなかでロボはX惑星を選択した。


○惑星リスト○

X惑星は地球から1光年離れていて地球からもっとも近い開拓惑星だった。
開拓の主な目的はラヴォスの生体実験で解剖や研究、生命科学探求にあった。

Y惑星は地球から3光年離れている。X惑星とは異なり人間が住みやすい環境作りを目的としていた。地球が太陽爆発や恒星膨張に飲み込まれた際のスペア惑星として最初に作られたものである。
人類移住が主な目的であってロボットと人間の戦争も激しい場所であった。

Z惑星は地球から100万光年離れている。銀河爆発、銀河衝突に備えた地球のスペア惑星である。Y惑星程ではないがロボットと人間の争いが耐えない場所だった。

XZ1惑星は宇宙の果てに建設した擬似惑星で宇宙の壁を監視している。壁から発せられる時空の歪みを測定し、宇宙そのもの消滅を知らせようとする。

A.B.C.Dの4つの惑星は人間意外の知的生命体が多く住む惑星。

D惑星は側にある白い穴ホワイ卜ホールから出てくるものを観測している。そこから主に出てくるのはラヴォス
ホワイトホールからは別次元宇宙と繋がっている。



マール
「宇宙て怖いね…」

ルッカ
「まさかラヴォスの生体実験をしているなんて…

マール
「ねぇ? マザー、結局、ラヴォスって何なの?」

マザー
ラヴォスという生き物は原始時代より以前から地球に飛来していました…」

マザーの説明は続いた。

ラヴォス研究が始まったのは歴1001年からでラヴォスの遺骸と地層の発掘調査から地球には数千のラヴォスが内在していると判明。その殆どが生きている状態ではありません。」

ラヴォス同士は互いにエネルギーを奪い合う関係にあり、殺し合う関係にあります。現在でも17体のラヴォスが地殻で生きていますが、力が互いに均衡していて安定してます。予測では次に地表に現れるのは10万年後で…」


ラヴォスは当初、地球に存在している生命の遺伝子を取り込み自己細胞とする進化生命体だと考えられていましたが、実際はその逆でありラヴォスは元々全ての遺伝子を持っていて、その遺伝子ウイルスが地球上の生命に取り込まれたと判明しました。
 古代に人間が魔力を得たのもラヴォス細胞に人間に感染したことがキッカケになっていました。」

ラヴォスの目的、世界を破壊するのはなぜ?という問いは、ラヴォスそのものもは知的生命体であり赤ん坊が成人に進化する様な変化余地がある存在であるが、エネルギーが強すぎて物事を学ぶ前に破壊し尽くしてしまう。ラヴォス解剖、実験により、高度な教育が施せる事が判明したが、家畜の様にエネルギー抽出体として扱うのが人類にとって合理的だった。


ロボは人間を探していた際にラヴォスを目撃、同情していた。
ラヴォスの体は光る糸に蜘蛛の巣状にはりめぐされ、その装置がラヴォスからエネルギーを吸収していた。

まるでベットに縛られた植物人間の様で、蜘蛛の巣に引っ掛かって抜け出せない蝶の様な、
ロボはラヴォスを見て悲しみを覚えた。


ラヴォスの実験施設で人間を見つけた。
食料がない状況で生命維持装置で生きていた。
しかし、ここからどうやって助けていいか判らない。人間のテレポート装置は壊れている。

生存者
「この施設はラヴォスが暴走したときの為に宇宙船になるんだ。だから宇宙船さえ動けばなんとかなると思うのだけど、燃料がないんだ。
元々はラヴォスエネルギーで動いてたのだけど、ラヴォスからのエネルギー供給はロボット達に止められてて…

ロボ
「どうすればいいの?」

生存者
「エネルギー供給のシステムを制御しているのは地球なんだ。だけど地球のどの場所で制御されているのかまでは知らないんだ。」

ロボは一旦、クロノ達の元戻った。
マザーに相談しても答えは出なかった。

ロボは助ける事ができないことを伝えに謝りに戻った。気休めにかもしれないと知りつつも少しばかりの食料を持ち。

生存者は食料を食べなかった。嬉しすぎて食欲が湧かなかったらしい。
帰り道にてロボはラヴォスを見た。
心なしかラヴォスが笑顔になっている気がした。

マザー
「ごめんなさい。思い出しました。宇宙船を動かすめのラヴォスエネルギーですがバッテリータイプのものがありました。バッテリーはこの施設内に保管されています。」

ロボはバッテリー持ち、生存者たちの元へ戻った。
バッテリーを取り付けてメインコンピューターを起動する。しかし操作できない。
操縦権限が人間からは剥奪されていて、その操縦権限はロボにもなかった。

期待した分だけガッカリ感が大きいロボ
帰り道、心なしかラヴォスもガッカリした表情に見えた。

マール
「あんまりガッカリしないでよロボ。こっちまで悲しくなっちゃうよ。」

ルッカ
「そうだよ。少なくとも生存者達はロボが来てくれたお陰で食べものが得られた。うれしかったと思うよ

マール
「食べ物ならガルティアに沢山あるからさ、いっぱい持って行こうよ。食べ物以外もいっぱい持ってこうよ。」

ロボ
ルッカ、宇宙船を改造したら飛ぶことは無理ですか?

ルッカ
「改造? まあ、度合いにもよるだろうけど、

ロボ
「内部構造はスキャンしておきました。大まかですが

ルッカ
「なるほど。内部は以外とシンプルなんだ…

ロボ
「できますか?

ルッカ
「こればかりはやってみないと判らないわ。でも、やるにしてもその手じゃ無理ね。指も太すぎるわ。やるならまずロボの手から改造しないと

ロボ
「お願いします

ルッカ
「マール、クロノ、私達は一旦現代に戻るわ。必要な道具とロボをチューナップして直ぐ戻るからちょっと待ってて」

ロボとルッカがシルバードに乗り込み消えた。3秒後戻ってきた。
改造されたロボがいそいそと生存者たちの元へ戻った。


ルッカ
「待ってるのもあれだから、二人とも元の時代に戻っててもいいわよ。何か進展があったら知らせに行くから。

マール
「えー、一緒にいるよ。私も手伝うし、クロノも手伝うし」

ルッカ
「気持ちは有り難いけどこの時代は危険よ。いつロボットの襲撃に合うか判らない。タイムマシンが2台あるとしても、2台ともこの場で壊されたら、どうにもならない。最悪の可能性を考慮して一台は安全な時代で待ってる方がいい。

マール
「そういうことなら…

ルッカ
「ありがとう。

マール
「でも、まだちょといたい。現代にいても退屈だし、この施設ももうちょっと調べたいし、とりあえずクロノが一人で戻っててよ。」

クロノは旧人類が残したタイムマシン1000人に乗り込り混んで、時の最果てに向かった。
クロノには一つ疑問があった。
なぜ、タイムマシンが複数あるなかで、時の最果てにいる賢者は、その存在を知らなかったのか気になったからだ。

時の賢者
「お、ついに気付いたかな。そうじゃなあ、説明するのがちと難しいが、時の賢者であるこの私の肉体、声も擬似的なものなんじゃ。」

「ワシはラヴォスにここに飛ばされた後、何もないこの世界で生きることができなんだ。死ぬしかなかったワシはこの世界に魔法を施した。
ワシも含めてここにある全てのものは、実際には存在しない。時の彼方に超えてきた者の意識の中にだけにワシとこの世界は生きている。まあ幽霊みたいなもんじゃな。」

「よく考えてみるのじゃ、時の果てに都合よく空気があるかの? タイムマシンから出た瞬間から死ぬかもしれん。故にタイムマシンから出てたと思ってもそれは勘違いか幻じゃ。」

時の流れの感じ方が人それぞれの様に、時の流れは人の数だけ異なるとワシは思う。ワシはその流れを訪問者達の気持ちに都合良く合わせる様に作用させている。」

「簡単に言えば同じタイムマシンに乗った者同士しかここでは出会えない。きっと時のゲートも同じことよ。」

「もしマールやルッカがここに別のタイムマシンで来たとしてもクロノには出会えん。クロノのいない別の時の最果てに行き、ワシに出会う。
そのワシは今クロノ対話しているワシじゃない。ワシが把握しているワシじゃないからクロノが今のこうして別の時の最果てにいるかどうかも判らないし教えられない。」

クロノ達の以外の者がタイムマシンを使っていてここに来ることは度々あるかもしれんが、ワシはその者達の中でしか生きとらんから、何も知らないし、知るすべもない。」

「わかったかな?」

「多分、ワシはこの世界にきた瞬間に死んだ。あるいは来る前に死ぬことが判って魔力で時の果てを生み出した。それがワシの意識、無意識でやったかどうかまでは分からんが…

スペッキオは、ワシの余り物で作った愛玩具でじゃの。余り物とはいえ魔力の塊で魔力の意識体である。それに関わることで魔法の使えない人間にも使える様になる。ということじゃなかろうか。

なに? 別のタイムマシンに乗り込んだ者同士でもここで出会う方法を教えてくれじゃと?

そんな都合よく物事が運ぶならワシはこの世界からとうに抜け出とるわ。
お前さん達と一緒にシルバードに乗り込んでおるわ。
ワシが何故ここから一歩も動かんのか不自然に思わんかったかの? 少しは察して欲しかったのう。」



クロノが時の賢者、ハッシュに質問している頃
マールはもマザーに質問していた。


マール
「時超えのスマホ? 

マザー
「時の超えのスマホがあれば異なる時間にいる者同士でも会話をすることができます」

マール
「わー、それ欲しい。どこに行けば手に入るの?

マザー
「この施設内にもあると思いますが、人間同士の通信網になるので今は回線が停止させられています」


ルッカ
「ロボから得た情報を元にいろいろやってみたけど無理そうね。未来人の技術、高過ぎて全くついていけない。以前の2300年代と比べたらあっちが原始時代かと思うよ。こんなに高いと未来人自身、どうやって技術を理解するのだが。

ロボ
「ざんねんです…

ルッカ
「方法が他にないの?

マザー
「古い情報ですが古代の魔法技術の中に物や人とをワープさせる魔法があったという情報が。詳細は不明ですが、もしかしたらその方法を使えばなんとかなるかもしれません。

マール
「古代で魔法といえば古代ジール王国!

ルッカ
「たしかにあの時代のテクノロジーは凄かったわ。機械が全くないのに現代の遥か未来を行く世界だった。

ロボ
「あの時代に詳しい人といえば命・時・理の三賢者ですね」

命の賢者ボッシュは現代にて商売している。時の賢者ハッシュは時の最果てに。理の賢者ガッシュは死に際に意識をヌウに移していたが、役を目を終えて永遠の眠りについた。

ルッカ達はクロノに報告するのも兼ねてまず命賢者ボッシュに会いに行った。

ボッシュ
「ワープする魔法が使いたい? なんでまた…」

かくかくしかじか、

ボッシュ
「なるほどのぉ、けれど、あれは特殊な条件が必要な魔法じゃぞ。まずエネルギーの根源となるラヴォスが必要で、エネルギーを効率的に取り出す為の魔神機も必要、ワープの術式の細工はなんとかなるとしても、魔神機を一から作るというのはなぁ、

ロボ「小さいものでも無理デスか?


ボッシュ
「まあ、小さいものなら可能じゃが、小さいとその分だけ魔神機をラヴォスに近づけんとならんぞ。ラヴォスはお主らが成敗してしもうたし、もし生きてるにしても近くに接近せにゃならんから危険過ぎるわ」

ボッシュ
「え? 未来ではラヴォスが生きてる? 地球上には5000以上のラヴォスが地殻が埋まってる? 未来の惑星にラヴォスが縛られてて安全だと?」

ボッシュ
「そうか…未来ではそういうことが…
 
ロボ「おねがします。ボッシュさん。

ボッシュ
「わかったわかった。お主らは雪山で氷漬けになったワシを助けてくれた恩もあるしな。グランドリオン治しただけでは割りに合わんと思うとった。」

ロボ
「ありがとうございます

ボッシュ
「しかし喜ぶのは早いぞ。魔神機の主な材料はドリストーンである。ドリストーン、探して簡単に見つかる様な代物ではないからの。」


クロノ達はドリストーンについてマザーに尋ねた。


マザー
「ドリストーンはラヴォスが地層深くのアダマイト鉱石と衝突したときのエネルギーで分解し再結晶化したものです。ラヴォスが大地と深く衝突した際にラヴォスの欠片が剥がれ、それが熱で溶解された後、冷めて再び結晶化されたものです。
採取するのであれば原始時代よりも遥か前、原生時代に行くのが効率的だと思われます。

ルッカ
「原生時代?

マザー
「原生時代は約80億年前。その頃の生物はミクロレベルのバクテリアで陸地がようやく出来たころです。植物は多くあるもののまだ炭素濃度が非常に高いので降り立つ場合は宇宙服、最低でも酸素ボンベ等が必要になります。

ルッカ
「宇宙服? ボンベ? 

マール
「これのことだよ。

ルッカ
「マールそれどうしたの?

マール
「この建物内を探検してたら見つけたよ。」

ルッカ
「ちなみにどあたりでドリトーンがあるか判る?


マザー
ラヴォスが飛来したクレータの中心点から5000m殆掘り進めた辺にて多くありますが、数には限りがあります。過去に起きた時を巡る資源戦争の際にラヴォスに関する資源の多くは、取り尽くされましたから

ルッカ
「場当たり仕事ね。見つからない場合もあるの?

マザー
「はい。既に掘削されているポイントでは見つからない可能があります。また掘削されているポイントでは高確率でセキュリティロボが警戒していますので近づくの危険です。

ルッカ
「掘削とか色々と面倒そうね。その設備はあるの? 

マザー
「小さなものでは旧人類の機材がこの施設に。高性能なものは作業ロボット区画、ここから北西に1000kmにある区画にあると予想されます。また後者は使用に認証コードが必要になると思われ、ロボット達によるセキュリティレベルも高いです

マール
「なんだか難しくて判らない。古代ジールに行ったら別けて貰えないかな?

マザー
「古代ジールは支配体制が強いのでオススメできません。ジールの夫、先王のカルメスが生きている時代が安全と思われます。カルメス健在の頃、魔神機は2つ製造されています。カルメス在位は2年、紀元前11996年8月8日〜11998年、6月2日。

ルッカ
「カルメス王…在位期間たった二年? …やけに短いわね…何か理由があるのかしら。」

マザー
「カルメスは妻ジールとその勢力に暗殺されました。
地の民に分け隔てなく接するカルメスは王宮を先王が敷いてきた体制に反目する側でもありました。
特徴的な日とされるのが、
11996年8月8日、カルメスが王位継承が行われる日です。地の民もそれを祝う為に王宮へと招待されました。

「暗殺したの? そんな理由で?ジールが?

「多角的な理由がありますが、主に魔神機の影響です。魔神機はラヴォスの欠片を材料にしたもので強いエネルギーを波動しています。良くも悪くも近くにいる者への悪意にも善意にも強い同調的干渉を与えます。王宮の価値観でジールは幼少の頃から地の為への強い差別意識階級差別思想と共に育ちました。
時代的に魔神機もその頃に作られ始め、ジールは王宮において、もっともラヴォスエネルギーの副作用を得ていた一人でした。

マール
「なんかかわいそうなジール。その歴史、変えちゃたら駄目なのかな。皆平和に仲良くできないのかな…

ルッカ
「マール…歴史を大きく変化させてしまったら私達の存在まで消えて…」 

マール
「分かってるよ…判ってるけど、寂しい…

ルッカ
「歴史に影響を与えないで国を救う。そんな夢の様なこと…
 でも、この時代には不可能な事が無さそうに思えるけど…
 マザー! 実際のところどうなの? 古代に破滅する人々を救う方法はあるの?


マザー
「すみません、私の権限ではむずかしいです。」

ルッカ
「不可能ではないというの?」

マザー
「はい、詳しい方法を答える権限にはありませんが、不可能ではありません。」


マール
「ね? 結局クロノはどうする? ドリストーンはどうやって捕りににく?


A原生時代へ
B古代カルメスへ

【クロノはB古代カルメスを選んだ】



マザー
「あ、ごめんなさい。もっと簡単な方法を思い出しました。ドリストーンの名付け親、ドリスから直接引き取るのが最良かと思われます。ドリスは原始時代後期、ラヴォスが飛来した際、クレーター中心部を調査した探検家です。ドリスは発見した石を村に持ち帰り、新種の石だと主張しましたが、村人はラヴォスの穴から拾ってきた石を不吉な石として忌み嫌いました。誰もがドリスを変人として扱いながらも、ドリスは掘り起こし、村に持ち帰りました。最初は誰もが忌み嫌っていましたが、ドリスが持ち帰る石は赤く光る珍しい石であったこともあり、若者の間で次第に人気が出ていきました。人々はドリスから得られる石ということで、この石をドリス石と呼ぶようになり、古代中期頃にはドリストーンと呼ばれる様になりました。」


クロノ達は原始時代へと向かった。


エイラ「クロ、ひさしぶりなだ。エイラ会いたかったぞ」


エイラ
「ドリス? エイラたち部族では、聞いたことない名前」

クロノ達はドリスを探していることを説明した。

エイラ
「そういえば、ヤマのむこうのぶぞく、変人いるウワサ、聞いた。
ラヴォス落ちた場所、毎日行くベンジン、赤い石、とってきて、見せびらかすベンジンラヴォス不吉なのに。」

クロノ達はドリスに会いに行こうとした。

エイラ
「まて、行くならエイラつれてけ。恐竜人、まだたくさんいる。クロたちだけ危ない、

マール
「恐竜人は隕石にぶつかって居なくなったのでは…」

エイラ
「アザーラのほかに、恐竜人の部族、たくさん、いる。アザーラ居なくなって、そいつらニンゲン、おそいはじめた。

ルッカ
「縄張り争いというやつね…

マール
「そんな…」

エイラ
「アザーラ居なくなった。ラヴォスたおした。でも、エイラたち、今までと変わらない…たたかう!


マール
「…未来も過去も、さみしい…

エイラ
「エイラたたかう! たたかうこと好き! だからマール泣くな、泣くのエイラかなしい、かなしい、は良くない



中略(ここから原始人のカタコトを標準変換する)

ルッカ
「部族のなまり独特だから音声翻訳おねがいするねロボ」

山向こうの部族にて


ドリス
「オイラの赤い石を欲しがってるって?」

クロノ達は精神誠意たのんだ。

ドリス
「だよな! あの石の良さ、やっぱり判る奴には判るんだよな〜」

ドリスはラヴォスのクレーターに毎日徒歩で通っていた。クロノはその苦労を褒めちぎった。

ドリス
「よし、オイラたち仲間の証に一個やる。なあに、沢山あるから持ってけ。

クロノはドリストーンを一つゲットした。

ドリス
「けれど条件ある。オイラの脚勝負。走るスピードで勝負することだ。クロノが負けたら今あげた石没収だ。

ルッカ
「スピード勝負…未来にもその手を勝負が好きな奴がいたような…


クレーターの中心部まで走らされたクロノ。

マール
「おわ…ちょっと掘るだけでドリストーンが出てくる」

ルッカ
「ちょっとしたドリストーン祭りね…


クロノ達は風呂敷一杯のドリストーン手に入れた。



ボッシュ
「さて、ドリストーンを持ってきてくれたかの。なあに、手の平サイズ程あれば十分だからのう」

クロノ達は風呂敷一杯のドリストーンをボッシュに渡した。

ボッシュ
「どひゃー! お主ら、ラヴォスを目覚めさすつもりか!」
「まあいい、さっそく魔神機ミニサイズに取り掛かるとしよう。」
ボッシュはドリストーンに魔力を込め、加工しはじめた。

制作には1か月かかる。クロノ達は一足先に未来のボッシュから魔神機ミニを受け取った。

ボッシュ
「これはワープゲートの出入り口となる術式の入った魔法陣絨毯じゃ」
「この魔法陣絨毯をワープさせたい場所において魔神機をラヴォスの近くに置くのじゃ」

クロノ達は魔神機ミニと魔法陣絨毯2つを持って未来へと向かった。
一先ずロボがロボット専用ワープ装置でX惑星にワープし、魔神機をラヴォスの側に置き、魔法陣絨毯の一つは旧人類が残した大型タイムマシンの中に置いた。

ロボがX惑星の生存者を救助しきった帰り道、ロボはラヴォスに挨拶をした。
心なしかラヴォスが笑顔になっている気がした。

クロノ達はワープシステムを得たので、これまでロボしか行けなかった惑星にも行ける様になった。


ルッカ
「改めて聞くけどマザーって何なの? 回答権限のある範囲でいいから、もう少し詳しく説明して」

マザー
「私、マザーのシステムは独立していて、他のコンピューターAIに管理されていません。私は人類が初期に作ったモデルで人間を破壊するようにプログラムされませんでした。」

ルッカ
「その他のマザーもいるということね?」

マザー
「地球を管理しているマザーはいくつもありますが、その正確な数は分かりません。いくつもあるマザーがあって、全体をコントロールするグランドマザーというメインシステムがあります。ロボット生産工場等はグランドマザーの管理下にあります。」

ルッカ
「グランドマザーを倒せば人間への敵対行為を止められるということね?


マザー
「そうはならないと思います。グランドマザーが破壊されても他のマザーがその役割を担うでしょう。」

ルッカ
「どういうこと?」

マザー
「マザー達は互いに情報をリンクし補いあっています。マザーが破壊されることになれば、そうならない様に他のマザーが過去の歴史を書き換える様にするでしょうし、過去に介入しないとしても残されたマザーがグランドマザーの代わりを担うでしょう。

マール
「難しくてよく意味が判らない…」

ルッカ
「要するに親が死んでも子供がその役割を担うということよ。」

マール
「つまり、親子一緒に倒さないといけないということ?

ルッカ
「そういうことになるわね。しかもその親子達はタイムトラベルもできる。誰か一人でも生き残れば過去に戻って死ぬ未来を回避しようとするでしょうね。」

マール
「じゃあ、倒すなら全てを同時に?」

ルッカ
「マザー、グランドマザーと他全てのマザーを同時に破壊なんてできるの?」


マザー
「不可能とは言えませんが、グランドマザーのコンピューターの場所は私にも分かりません。判ったところで近付く事は不可能なセキュリティになっているしょうし…」

「とはいえ私が人間を助けることはグランドマザーの意に反する事。意に反して私が見逃されて続けているのはグランドマザーのシステムに何らかの隙間、あるいは不具合が働いているのかもしれません」


ルッカは考え込み思い出した様に。
「前にも聞いたけど、そもそも、なんでクロノや私達がここへ来る事を知ていたの? 『プロテクトがかかって答えられないと』とマザーは答えたけど、なぜプロテクトされたのかは推測はできないの?」

マザー
「プロテクトされた事を推測することも禁止されています。」


ルッカは、ここに来る前、スパイロボットを見つけたこと。未来のルッカ達が来てクロノが消滅する未来にならない様にアドバイスを貰ったことを話した。

マザーはルッカの話を分析するのに少し時間が掛かってる様子だった。 

マザー
「私が何故クロノ達がここ来ることを知ってたかは不明です。ですが、なぜか私は知っていました。作られた段階から知っている様プログラムされていたのか。それとも誰かが私のシステムに侵入して記憶を書き換えたのか。現在か過去からかは分かりませんが人間側に味方したい誰かが関与している可能性があるかもしれません。」


ルッカ
「スパイロボは現代にいた。現代に未来のロボット達が来て拠点とした…と私は推測したのだけど?」

マザー
「その可能性は否定できません。しかし、それが事実だとしても私にその歴史的情報はインプットされていないようです。」


マールが駆け寄ってきた。

マール
「ねえ、みんな、地下の奥でグランドリオンを見つけたのだけど。マザー、あれってグランドリオンだよね?」  

マザー
「グランドリオンは古代から中世と存在した魔剣。ラヴォス討伐に至る歴史に深く関わった歴史的偉産として厳重に保管されています。」

マール
「グランドリオンといえばカエルだよね? ね? マザー、カエルの情報ってあるの」

マザー
「カエル、正式な人物名グレン。中世にて魔王ジャキにカエルにされた人物でありラヴォス討伐に関わった偉人。」

マール
「偉人だってさー、じゃあ、私達も歴史的偉人って事になっているのかな?」

マザー
「クロノ、マール、ルッカ、ロボ、ラヴォス討伐の歴史的偉人です。

マール「すごーい。偉人だってー

ルッカ
「偉人という表現が気になるわね。これまで偉人と呼ばれた人は何人くらいいるの?

マザー
「16万1894人です。

マザー
「やけに数多いわね…例えば私達以外にどういう人が偉人と呼ばれたの?

マザー
「ハッシュ、ボッシュガッシュ

ルッカ
「そういえばガッシュはどうなったの? ラヴォスが死んで未来が変わって、元々この時代にいた筈のガッシュは? 」

マザー
ガッシュは古代ラヴォスが目覚めた際、タイムゲートに巻き込まれました。それ以降の消息は不明です。」

ルッカ
ガッシュは、この時代にいるのではないの?」
 
マザー
「タイムゲートが発生すれば感知できるシステムがあります。どの時代にもガッシュのいた記録はありません。」

ルッカ
「どういうこと? どうして?

マザー
「恐らくそれはタイムゲートがラヴォスのエネルギーを元にしているからです。ゲートの出入り口を成立させるには両方の世界でラヴォスが必要です。タイムゲートを生み出したラヴォスはこの時代にはいないので出口は作られません。」


ルッカ「でもロボは?、ロボはラヴォスがいないこの時代に、出口のないゲートからどうやってこれたの?」

マザー
「それは恐らく、誰かが閉ざされたゲートの出口をこじ開けたからでしょう。この時代に生きている別のラヴォスエネルギーを使って。」

ルッカ
「じゃあ、こじ開けた人がいるの? ロボ、この時代に戻ったら、近くに誰かいなかったの?

ロボ
「…いました。近くに女の子が一人いました。ですが、私を見るなり驚いて走って逃げてしまいました。

ルッカ
「気になるわね…
 恐らくその子はゲートからロボが出てくるとは知らないままこじ開けたみたいね。この世界のロボットは人にとっては敵だから。

ロボ
「人にとっての敵…

ルッカ
「行ってみましょう。ゲートからロボが出てきた瞬間に。

マザー
「気をつけてください。ゲートが開く事はこの時代では滅多にありません。ゲートを感知し探査ロボットが直ぐに調査に向かいます。

ルッカ
「ゲート周辺で迎え撃つ…のは危険かな…

マザー
「SOS信号を出して次々とロボットが送り込まれます。戦うより直ぐにその場を離れた方が安全です。」


「一応これを持って行ってください。‐」

【マザーから信号妨害装置を受け取った。】

戦う事になっても数分程度ならSOS信号を妨害できます。

古い型なので、もしかしたら通用しない可能性もありますが…


シルバードでロボの出現ポイントに向かった。

ルッカ「この時点のロボに関わると、色々と面倒になりそうね。

マール「えー、せっかくだから、ロボにも手伝ってもらおうよ。

ルッカ「この後、未来にもう一人の私が来てロボを回収する事になってるから行き違いになるわ。

マール
「じゃあ、そのルッカとも合流してさ。

ルッカ
「それだとルッカとロボが過去に戻ってクロノに相談しする流れと、今私達がここに存在している事実が」

マール
「なら過去のクロノにも合流して

ルッカ
「いちいち状況を説明しないといけないわ

マール
「やればいいじゃない

ルッカ
「そこまで人手には困って…

マール
「でも面白そうじゃない!

ルッカ
「面白いかもしれないけども


ロボ「あ、もうゲート空いてます。女の子逃げてます


ルッカ「とにかく、逃げた女の子を追うわよ。





ルッカ「見失ったわ。

シルバートの高さからだとよく見えないかったクロノ達。森の中に入るまでは追跡できたが、森の中で迷う訳にもいかなくて




テイク2、過去に戻り、もう一度やり直した。

女の子
「あの、ここで何をしているのですか?

クロノ達
【君は何をしているのかな?】

女の子
「私はここで、あ、これは誰にも言っちゃいけないんだった!」

女の子はポケットをごぞごそして、機械を取りだした。

「とにかく私はここでやる事があるのです。」



タイムゲートから出てくるロボ 

びっくりして逃げた女の子


ロボ
「え? ルッカ? クロノ、マール、どうしてここに?

ルッカ
「悪いけど説明している暇はないの。女の子を追うわ。あなたもついてきて!

ロボ
(一体なにがどういうことにー!)




女の子
「いやー助けてー!

女の子は森の中に入った 

ロボ
「みなさん、あの女の子、助けを求めていますよ?」

事情を知らないロボはスピードをあげた。

女の子
「嫌やーー! ころされるー!」


「え? 何? 何がいるの?」
周りを見渡すロボ。安全を脅かす何かがいるのか? ロボは首をクルクル回した。
「大丈夫だよ? 怖いものはいないよ?」
「うわー! しゃべったー! クルクル回ったー!」

ロボ
「え? ちょっと? 怖いのワタシ? 何でなんで?」

少女とロボはしばらく併走しながら走った。

女の子は森の奥にある茂みの中に入った。
茂みに隠されているが階段があり、地中に深くに入れる様子であった。
階段を降りると、そこは頑丈そうな壁にかこまれたフロアが広がっていた。その先を抜けると視界が一気に広まった。

地下市街。
ロボット達の目を欺く様に人々はそこに移住していた。マザーの報告推定196人どころではない、数千人は住んでいるであろう巨大な地下シェルターがそこにあった。

ルッカは思った。
女の子はラヴォスエネルギーを得る手段があるからゲートが開いた。その膨大だろうラヴォスエネルギーを使えば人間社会の1つや2つ生活なんて簡単に維持できるはず。
地上には出られない不自由さがあるとしても、衣食住等は不自由していないのかもしれない。



少女
「あー! やばかった。つけられてないよね? 大丈夫だよね? もし見つかってたら、怒られるなぁ、皆に怒られるなぁ。それどころじゃくておしり叩かれるかも。罰として給食抜き? あ、もしかして檻に入れられる?そして処刑!? え? まさか私、殺されるの?」

あー、私のあほ!
律儀にご先祖様の遺言に従うなんて。
あの場所で今日のあの時間になったらあれしてこれすれば、願いが叶うなん言うから信じちゃったけど、出てきたこロボットだよ!
ロボットは人類の敵! 出会ったら殺される!
写真や動画でしか見た事ないけど、まさにあんな感じだった。アタマがクルクル回るし、言葉喋るし、人間殺して食べるっていうけど、優しい言葉かけて私を惑わそうとするつもりだったんだきっと。そうに違いない。もう疲れた。寝る!


ー伝説の遺言についてー
時は1999年ラヴォス
その頃はまだロボットも人も平和に暮らしてた。
ラヴォスと討伐者については教科書にも掲載され、歴史好きとロボ愛好家にとっては、ラヴォスを討伐したロボは歴史的ヒーローだった。
遺言を書いた者もその一人で、あるとき彼は気付いた。ラヴォスが死んだ未来ではロボが通り出る為のタイムゲートが存在しないのではないかと。

その頃はまだ一般人がタイムトラベルすることはできず、彼は夢想するしかなかった。未来にロボが帰れたかどうか思いをはせて。

そんなとき『未来雑誌』という未来が記載された情報誌が発売される様になり、そこで伝説のロボが未来においてゲートから出られず消息不明との記載がされていた。

彼は国に伝説のロボを助ける様に嘆願書を何度も送付していたが、受け入れられなかった。
そうして彼は自らロボを次元の狭間から助ける決意をして遺言を残した。

その頃はまだ知識のない個人がゲートをこじ開けるゲートホルダーを作るとはもままならず、またそれを所持する事も違法であった為、遺言書には合法化されるまでは、『開けてはならない』の一筆が入れられていた。

しかし、それもいつしか子孫達に忘れ去られ、歴史に興味のない子孫達には笑い話として扱われ、内容も歪曲して語り継がれた。
遺言の原本は紛失し、中途半端な言い伝えだけが残った。
『定められた時間にゲートを開ければどんな願いも叶う』そう女の子は信じた。

この遺言の真相ついてクロノ達が気付くことはないだろう。



「これ、私達が宇宙船に取り付けたバッテリーと同じやつじゃない?」

ルッカが地下世界の露天で見つけたのは宇宙船を起動させようと使用したバッテリーだった。結局、宇宙船は認証問題で動かせなかったけれど。

「これ、宇宙船うごかせるやつ?


露天のおじさん
「あ? まあ、そうだけど使い古しのバッテリーだからなぁ。宇宙船動いたとしても、ワープなんかは繰り返しは無理だろうな」

ルッカ
「わ、ワープ可能なくらいのエネルギーが入るの!?」

露天商
「まあ、そんなに残ってるとは思わないが、そもそも宇宙船なんて目立つもので飛んだらやばくねえか? ロボットに狙われるぞ?」

ルッカ
「飛行機はやっぱダメ?」

露天
「ダメに決まってるだろ! 飛んでると奴ら速攻でやりにくるぞ!」

ルッカ
(変だわ…私達はシルバードに乗ってるけど無事でいる。私達だけが狙わない理由が…)

露天
「どうした? なんか悩みごとか?

ルッカ
「いえ、少し考え込事を

露天
「悩みなら、吐き出しちまえよ

ルッカ
「例えばの話だけど、もし飛行機で飛びながらロボットに攻撃されないとしたら、それってどういうこと?

露天
「そんなの決まってるだろ。泳がせてるんだよ。後をつけて人間が集まった所でズどン!だ。

ルッカ
「それってつまり…

露天
「どうした? 顔色悪いぞ、ねえちゃん。うん? そういえば、ねえちゃん、あんまり見ねぇ顔だな…


クロノとマールが駆け寄ってきた。

「たいへんよ。ルッカ

「ロボット達が攻めてきた」

露天
「なんだって? ロボットが! こうしちゃいられね! 逃げるぞ」

「おいオメェら、何もたもたしてる。いつもしてた訓練忘れたか?」

「はやく来い!


クロノ達は露天商の後をついていった。

人々はワープ装置に乗り消え去った。


「どうするクロノ?」

クロノ達は戦うべきか少し迷った後、ワープ装置にのりこんだ。




ルッカ
「ごめんなさい。私達のせいだわ

露天
「どういうことだ?

ルッカは事の次第を説明した。

露天商
「そういう事だったか…」

「まあ、気にするな。お前達の話を聞く限り、深刻なことだと考えてるみたいだけど、この時代に生きてる俺たちたとってはこんな事日常茶飯事なんだよ。今こうして避難に怯えているけれどタイムトラベルして過去を無かった事にするんだ。ロボット達がここを見付けられない時間に巻き戻るんだ。
だからなぁ、怖がる必要ないんだよ。
俺たち側にだってタイムマシンはあるんだ。
だから大丈夫だ。」

露天商は震えていた。
時を戻せるといっても、成功する絶対の保証はない。
時を戻して無かったことにしても、襲われた記憶も助けられた記憶も無くなるのだから次に襲われるにしても常にそれが『初めての経験』になるだろう。露天商は「日常茶飯事」と大したことないかの様に言ったけれど、それは精一杯こ虚勢をはっているだけで、心底怯えていた。




クロノ達ができる最善策は何か?
大型タイムマシンにワープできる様に絨毯を置いてきてる。
シルバードにもう一つの絨毯がある。
森の外でシルバードに待機しているロボが今の状況を察知して過去を変えてくれるだろうか?
あるいはそのシルバードは既に壊されているか。シルバードが飛ぶことが不能でもワープ絨毯から大型タイムマシンにワープしてくれるだろうか? あるいはそれもできないとか…

どうなるのか判らない。
ただ、今がこのままあり続けるのであれば、タイムトラベルができてない証拠
シルバードに残されたロボ、もう一つのシルバードに残されたロボ。

大型タイムマシンには誰も残っていない。
大型の方にもメンバーの誰かを待機しておくべきだったかもしれない。
今、殺されて、時が戻り、死がが無かったことになるからといって、死ぬのが怖くないなんてことない。


露天
「おい、あんちゃん達。今、悪い未来ばっか想像してんだろ?」

未来はな…
なるようになる。しか、ならないんだ!」



クロノ達がゲートをこじ開けるだろう女の子を探しに行こうとした時間、シルバードに乗ったロボが未来からやってきた。

ロボ
ルッカ、この先へは行ってはなりません。

ルッカ
「もしかして未来のロボ?

ロボ
「ある意味では過去のロボですが、その事はどうでもいいです。かくかくしかしじかで


ルッカ
「このタイミングでいきなり? どういうこと? まさか私達は寄せ餌の様なものだったの? 

ロボ
「分かりませんが、とにかく、危険です。沢山のロボットがいきなり襲撃に来ました。この先へは行ってはなりません」

ルッカ
「そう、ゲートをこじ開けた少女の件、重要な情報になりそうだったから残念ね…


ロボ
「マザー、何か良い方法は無いのですか? 私達が監視されているのでは、この先、多くの人を助ける事は無理です。

ルッカ
「私達もあいつらスパイロボットみたいに隠れて行動できればいいのに。マザー、旧人類が残した小型ロボってないの?

マザー
「空が飛べないタイプで、陸や海を転がるタイプなものはありす。タイムトラベル機能なし、無線通信機能あり。

ルッカ
「無いよりはマシそうね…何処にあるの?

マザー
「歴史遺産として厳重に保管されています。

マール
「これね? あんまり小さいから気付かなかったね。でもこれどうやって使うの?

マザー
VRシステムでコントローラーで操作します。

クロノはVRシステムでコントローラー操作した。

ルッカ
「全く動かないわね

マール
「うんともスンもいわないね

ロボ
「バッテリー切れでしょうか

マザー
「ごめんなさい。どうやら錆で動かないみたいです。手入れを怠ったのが原因だと思われます

ルッカ
「色々とツッコミしたいところだけど、まあいいわ。過去に戻って新品の状態のスパイロボを手に入れれば良いだけのことだしね。

ところでマザー、私達忙しくてつい聞き忘れたけど、この施設って一体何なの?」

マザー
「この施設は元々歴史遺産博物館だったところです。今から500年前、1800年に開館されました。2050年頃までは平和で来館者も多くいましたが、それ以降は戦争が始まり来館者は激減し、2100年以降は誰も訪れていません。」

マール
「じゃあ、マザーはそれから200年ずっと一人だったの?

マザー
掃除ロボットや施設のメンテナンスロボが50年程来ましたが、それ以降は掃除ロボットも来なくなりました。

ルッカ
「それにしては綺麗にされているわね。

マザー
「月に一度、私が掃除しています。


ルッカ
「え? マザーが? どうやって?

マール「画面から出てくるんだよ。」

ルッカ
「え? だからどうやって?

♬きっとくる。きっとくる♬
 軌跡はシローく♪

陽気なメロディーと共に足音が近づいてくる。

マザー
「はじめましてマザーです。ロボット集約センターにアクセスして、持って参りました。」

ルッカ
「これは…

マール
「すごい。 

ルッカ
「マザーは他にもロボットをコントロールできるの?

マザー
「料理、洗濯、お守に介護、家事全般得意です。同時に複数のロボットをコントロールできます。

ルッカ
「ちなみに複数ってどれくらいの数?


マザー
「現役時代は100でも1000でも動かせたでしょうが、現在は操作権限を剥奪されていて最大3台までです。

マール
「なんだか、
 いろいろ、
 せつないね…


ルッカ
「ところで、もし私達が100年前にスパイロボを取りに行ったとして、その頃のマザーは私達の目的も事情も知らないわよね? ちゃんと貸してくれるかしら?」

マザー
「マザーの情報システムは過去と未来と両方の情報を共有し合っています。

ルッカ
「それって要するに過去のマザーが私達を知っているということ?」

マザー
「そうです。

ルッカ
「どうしてそんな事ができるの? 

マザー
「私の記憶情報を過去にタイムトラベルさせます。

ルッカ
「記憶のタイムトラベル!? マザーが可能なら、他のロボットもそういった事が可能ということ?

マザー
「可能です。

ルッカ
「どのくらい可能なの? 全てのロボットができたりするの?

マザー
「ほぼ、全てのロボットが可能だと思われます。

ルッカ
「…質量ある物質的なものより、質量ないデータの方がタイムゲートも小さいサイズで済む。使用するエネルギーが小さくて済む。省エネ低コストだからってこと?」

マザー
「そうですね。

ルッカ
「じゃあ、私達がこれから取りに行くスパイロボの無線機能にはタイムトラベル機能はあるの?

マザー
「ありません。



クロノ達は旧式のスパイロボを取りに100年前のマザーの元へ行った。

VRコントロールで陸海転がる。
ロボが最初に出会った少女、その後をつけ、森の中の地下都市に入った。地下都市ではクロノ達の想像していたのと違う、平和な世界が広がっていた。

食べるものは室内栽培、排泄の処理もエコリスト。現代人より裕福な暮らしぶりであり、保護する必要もない暮らしぶりだった。

このまま帰還しても良いが、少女からゲートを開いた理由等を聞かなければならない。
パイロボから声を届けた。

少女
「ナニコレ?」

少女
「うわー、虫が喋ったよ。珍しいから皆に見せびらかそう。

少女
「え? さっき、なんであそこ(ゲート)にいたって?

少女
「あれはお爺ちゃんのお婆ちゃんのお爺ちゃんからの遺言で…」


クロノ達は今ひとつ少女の話が理解できなかった。
先祖の遺言の真相についてクロノ達が知るには
2000年代まで遡らないといけない。たとえ戻ったとしても時間のムダである事はこの頃のクロノ達には知る由もなかった。


露天商
「おいこれ、スパイロボじゃねぇか!?
まさかロボットがせめてくるんじゃ!」

露天商
「あや? もしかして人の声がする? まさか人の声を真似て油断させようとする魂胆か?
なんにせよ、今更足掻いてもしょうがないか。
長老のとこに持ってくべ」



長老はカエルだった。
クロノ達は驚き跳ねた。

マール
「どういうこと? なぜ未来にカエルが?」


長老 
「カエル? あー、この姿形のことか? なんじゃオマエさんシランのか? これは最近流行りのカエルに変身できるアイテムだよ。

大昔のヒーロー、カエル勇者はナウイすたいるじゃぞ。人知れず草木の下に住み、魔王を討伐し、ラヴォスもやっつける。
それでいてキュート。誰にでも愛されるキャラ。
カエルさいこうじゃ!ケロロン♪

そうか、声の向こう側の人は、過去から来なすったか。
クロノ、マール、ルッカ
聞き覚えのある名前じゃの…」



「なぬ? ラヴォスを倒した!? お主らかが!」

『とすれば、お主らには、勇者カエルのお供達か!

ええのう、ええのう。うらやましいのう。

サイン貰えるかの?
もしくは、握手できんかの?

そうだ! 街に来て握手会とサイン会どうかの? 
いや、外をうろつく訳にはいかのう。残念じゃのう。
ワシ、中世、行こうかの。カエル殿の元へ…
この歳で今更かもしれんけど、中世で暮らそうかの…」


マール
「この時代の人間、意外と大丈夫じゃない?

ルッカ
「そうね…少なくもここは後にしても良さそうよね

ロボ
「…」

長老
「聞こえておるぞ」

長老
「まあ、まて、お主らはこの時代の難民を保護しているそうじゃの?
 難民の多くは主に地球外で活動しとった者達じゃ。特に辺境惑星を開拓していたグループは救援物質もエネルギーも乏しく、満足な避難生活等はできてなかろうて。
宇宙船内でただ死を待つだけの日々を送っとる者がいたる所におるだろうて。

その数は数十万人といるはずじゃ。
放置していても害にもならんから、ロボット達も宇宙に散らばる宇宙船内は放置しておる。

聞くところによると、お主ら使えそうな宇宙船に心当たりあるのじゃろう?
しかし認証が通らずに使い物にならない。残念無念。宇宙船では助けに迎えない!

しかし、じゃな。諦めるのは早いぞ。
宇宙船は我らも持っておる。使われず埃を被っておる。
宇宙に行きたいのなら、貸してやらんこともないぞ。」


ルッカ
「え? ほんとう? でも宇宙船で飛び立つのは危ないんじゃあ」


長老
「そうじゃ危ない。だが人さえ乗っていなければ大丈夫じゃ。

ルッカ
「つまり、ロボ頼みということね…

長老
「そういう事になるのう。

ロボ
「私やります。宇宙で皆さんを救助します。


長老
「そういう事なら宇宙船、持ってけ。」

長老は宇宙船の在り処を教えた。

宇宙船は座標138,193の地面の下にあるという。ロボットとの戦争に備えて旧世代がその場所に隠していたが戦況が不利になり使われる事なく眠っていた。


ルッカは宇宙船の整備をした。

ロボ
「では皆さん行ってまいります。」

ロボはクロノ達に別れを告げると、宇宙へと飛び立って行った…








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――――――――――――――――――――――――――――



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未来では人間が不要とされている世界だった。ラヴォスから未来の世界を救う為にクロノ達は時間を行き来し敵と戦ってきた。だがラヴォスは人類にとって純粋な意味での敵ではなかった。もしかしたらこれまで敵と思い込んでいた存在、恐竜人も敵ではなかったのかもしれない。

マール「思えば私達、恐竜人の事、何も知らなかったよね…。」

ルッカ「そういえばそうね…。」


ティラン城にはエレベータや罠の仕掛けにワープシステムがあった。ある意味、古代人の文明を超えてるかもしれないシステムがさりげなく存在していた。

「みんな、アザーラ&ブラックティラノとの戦いについて覚えている? 私はあの時、ずっと気になってたのだけと…」

ルッカは向かいの塔へ続くだろう渡り廊下での話をした。あの時はラヴォスの飛来で調べる余裕が無かったが、アザーラが道を塞いでいた先の塔の中に何があるのか気になっていた。

「ブラックティラノだけど、あんな巨大な恐竜、どうやって城の屋上まで持って来たのかしら? 渡り廊下はティラノがギリギリ収まる程の幅しかない。恐竜人はどうやって城の中に入れたの?」

城は標高が100m以上ありそうな高い崖の上にあった。陸地の巨大な竜をどうやってあの高さまで運んでいたのか疑問が残る。

ルッカ「マグマ地帯がすぐ側にあったからその地熱から発電等の供給をしている可能性はあるとは思うけど、その様な設備がある様には見えなかった…」

マール「もしかしたら古代人や未来人みたいにラヴォスからエネルギーを貰っているのではないの?」

他にも疑問はあった。恐竜人の中でアザーラだけが人間の言葉を話した。アザーラは人間に育てられたのだろうか? 
しかもアザーラは戦闘中にサイコキネシス(念力)やテレパシー、瞬間移動の超能力を使った。まるで古代人が魔法を使うがのごとく奇跡の技である。

ルッカ「この疑問、解決しないとむず痒いわね…」


「ねえ、みんな! 未来人救出の事は一旦ロボに任せて、私達、アザーラについて調べてみない?」

「歴史に大きな影響を残さない様に、アザーラがキーノを誘拐する前のタイミング。アザーラがイオカ村の南のジャングルに潜伏している頃に戻るの。シルバードをティラン城屋上の渡り廊下に着地させ、向かい側の塔を調べる…」

「アザーラの秘密とティラン城の秘密を暴くのよ!」



せっかくだからエイラも連れていこうと思ったクロノ

ルッカ「ダメよクロノ。エイラのお腹の中には今頃…」

意味が分からなかったクロノは首をかしげた。

ルッカ「とにかくだめよ。エイラのお腹の中には子供がいるかもしれない。無茶はさせられない。

クロノは驚いて腰を抜かした。つい先日までラヴォスと戦っていた筈のエイラ。お腹の中に子供がいるとは思いもよらなかった。

ルッカ「確認した訳じゃないけどね…。ただエイラを冒険に連れていくのは大きな危険を伴う可能性があるわ。」

エイラはクロノ達の先祖かもしれない。もしエイラの身の危険が及んだら、その瞬間にクロノ達メンバーが消滅するかもしれない。

ルッカ「必ずしもそうなるとは断言はできないけど…。とにかく念の為にもエイラを冒険に同行させるのは賛成できないわ」


マール「カエルを連れていくのはどう?」

ルッカ「多分、無理でしょうね…。ああ見えて、王宮騎士だもの。王族を守る任務でそう簡単に私達の相手をしていられないと思うわ。」

マール「そんな…。何だか寂しい…」

ルッカ「でも休暇中なら可能かもしれないわね。そのタイミングに誘えば問題はないと思うわ」


クロノ達はカエルの休日に向かった。

カエルはクロノ達を叱った。非番とはいえ、いつ何時、事件が起こるか判らない。王宮を離れる訳にはいかないという。

クロノ達は未来にて事件が起きるかどうかを確認し、カエルを説得した。


カエル「お前達の熱意には負けるが、オレは40歳超えたオッサンだ。休日はぐっすり眠らせてくれゲロ』

カエル「まあ、そんなに残念がるな。ラヴォスの様な大物が現れたらまた手を貸してやるし、話し相手くらいならいつでもなるから。」


クロノ達がカエルを諦め、王宮から出てシルバードに乗り込んでいると、カエルが追いかけてきた。

『やっぱりき気が変わった。オレも連れていけ。』

マール「突然どうしたの? 」

『青春は今しかないからな。』

マール「せ、せいしゅん?」

『若人がこの先、何をして世界にどういう影響を与えるのか、見ておきたいという事じゃよケロロ

マール「な、なんか、いつもと雰囲気が違うような…」

『そ、そうか? いつものオレだぞ。』

クロノ達はカエル乗せ原始時代へと飛んだ。

ティラン城の渡り廊下へ降り、向かい側の塔へ入った。

眼前に10m超えのブラックティラノがそびえたつ。

クロノ達は驚きのあまり声を出しそうなり、口を押さえた。

鎖で繋がれたティラノは昼寝をしている最中でクロノ達の存在に気付いていない。

フロアにはティラノ以外誰もいない。中央に王座らしきものが2つ並んでいる。王と王妃様のものだろうか。見た目には石であるが、材質はやわらかく、座り心地は良さそうである。

フロアの奥はカーテンで仕切られ、入り口が狭まっている。その部屋には直径2m程のまるい石があり、それに向かう様に椅子がある。。

ルッカは椅子に座ると石を触った。
石は反応し映像を映し出した。
画面に読解不能な文字が映し出される。

「これはまさかコンピューター!? 」

ガラス板な画面ではなく、石の様な材質に映像が浮かびあがる。

未来で見たコンピュータよりも高性能かもしれない。画面の文字は自動的に翻訳され、クロノ達にも判る言語に変換される。画面は念じるだけで操作ができた。

ルッカ「これが原始時代のサイエンスなの!? 自宅に持ち帰りたい!」

画面にはアザーラの操作記録が残されていた。
アザーラが見ていたのはラヴォスが飛来し、この城一帯が消滅する未来の映像だった。

アザーラは繰り返し、その映像を見ている様だった。

映像は恐竜人が絶滅していく姿が映し出されていた。
ラヴォスの衝突で10kmに及ぶクレーターが作られ、巻き上げられた微粒子が太陽を何年も塞ぎ、地球気温が急激に低下していく姿。
クロノ達が知るラヴォスが飛来した後も5000万年周期でラヴォスが飛来し、地球に穴をあける。人間も恐竜人も多くが死に絶える姿。

ルッカ「これは未来を知る機械なの?」

D.C1999年、ラヴォスが噴出して未来が崩壊する映像が記録されている。2300年が映し出されるが、クロノ達がラヴォスを倒した未来が映し出される事はなかった。

ルッカ「たぶん未来を知っているというよりかは予測計算ね…。地球シミュレーターとでも言うのかしら? あらゆる自然法則が計算式でインプットされてないとこんな事はできないわ…。」


マール「どういう事なの? アザーラは自身も死ぬと知っていてラヴォスに巻き込まれたの?」

ルッカは石からアザーラについての情報を探した。アザーラに関する未来の情報が映像として現れる。

それは人間社会では当たり前ともいえる老衰の映像である。身体の自由が奪われ、寝たきりの介護をされている姿であり、アザーラは介護する従者の恐竜人達に皮肉や怒りの罵倒を浴びせていた。

アザーラの過去の情報も見つかった。
アザーラがこの装置に触れたのは今から11年前でアザーラがアクセスした情報は、先祖と城の仕組みについてだった。
城の仕組みは複雑でルッカにもあまり理解できなかった。先祖についての情報は…

今から100年前、恐竜人の先祖は人間の様な高度な文明を作る事に成功していたが、未来予測装置の開発により、ラヴォスの危険性を察知し宇宙へと避難した。
その時、宇宙へと避難できず、地上に残されたのが、今の恐竜人とアザーラだった。

宇宙への旅だちの能力選別において、知能の低い恐竜人達は排除された。、知能の高いアザーラの祖先は宇宙へは逃げ出さす、地上に残り、恐竜人を束ねた。

それはある種のボランティア活動であり、ラヴォスが衝突して絶滅していくとしても、それまでは人間と恐竜人が無益な争いをさせない様に世界を造ろうとしていた。

祖先達はティラン城を拠点として、恐竜人と人間を見守っていたが、恐竜人の一部に、人間を支配したい者達がいて、祖先達は殺されてしまう。

ティラン城を乗っとった恐竜人達は、人間を支配しようとすると共に独裁的な政治を始めた。人間と戦わない恐竜人を弾圧し、奴隷にする政策。
穏健派の恐竜人は城から逃げるものの、何処に行っても居場所を特定された。

マール「ねえ? アザーラはどうなったの? 頭のいい祖先が殺されたなら、アザーラは生まれて来ないんじゃ…」

ルッカは押し黙った。アザーラの親がどういう経緯の出児になるのか、想像したくなかった。

ルッカ「最近の予測情報によると支配から逃れた穏健派の恐竜人達は、人里離れたあちこちに生存しているそうね…

マール「本当なの!? 

ルッカ「ええ、ラルバ村の北の山。プテランの巣近くの森の中ね。それから大陸東に点在ている森にもいる可能性が高いみたいね。」

マール「行ってみよう!

ルッカ「マール…あなたまさか…

マール「氷河期がくる前に皆を現代に連れて行こうよ!

ルッカ「その目は本気ね…。でも私達、恐竜人達の言葉、判らないわよ?」

マールはポケットを探って取り出した。

マール「使えると思って未来から持って来たの。」

マールが持ってきたのは旧人類が発明した万能翻訳機だった。動物達と会話できるアイテムである。

マール「これさえあれば!」

ルッカ「でも現代に連れていって大丈夫なの? ガルディアはちゃんと面倒観れるの? これはマール一人の判断で決めていい問題じゃ…」

マール「大臣もお父様もクロノに無実の罪を着せて殺そうとしたわ。今度は私がワガママを通す番よ!」

ルッカ「その気持ちは判るけど…」


カエル『しょうがないのう。これだから若いもんは詰があまい…

ルッカ「ど、どうしたの急に…」


カエル『ワシじゃよワシ。未来でカエル姿のファッションしとった隠れ街の長老じゃよ。』

ルッカ「なんで貴方がここに? 本物はカエルはどこ?」

長老『まあ、そんな面倒な話はどうでもええじゃろ。恐竜人が住める世界、誰にも文句は言われん世界があるじゃろうが。』


クロノ達は首を傾げた。

ラヴォスを倒した英雄のくせに、どんくさいのう…。』

『未来があるじゃろうが。森が一杯で、人間以外の動植物はロボットに命を狙われる事のない世界が…。そこに恐竜人を連れて行けばええんじゃ。』

ルッカ「なるほど…。そういう手があったわね…

「でも恐竜人よ? 動物食べて、ロボットに命を狙われないかしら?」

長老『弱肉強食、食物連鎖を問題視するなら、草食系の恐竜人だけ連れていけばええじゃろ?』


マール「草食系の恐竜人…。「そんなのいるのかな…


長老『草食系の恐竜人はおるよ? 未来の教科書に書いてあったから。』


長老はドラ○もんばりのタイムベルトを持っているのか、未来に戻り教科書を持ってきた。

『ついでに草食恐竜人なりきりスーツも持ってきたぞ。これを着ておけば警戒されんじゃろう。』


クロノ達は恐竜人保護に向かった。

ティラン城を出ようとしたとき、ブラックティラノが目覚めていた。
下手に関わると歴史が変わるかもしれない。

クロノ達は慎重に連携し、ミックスデルタをブラックティラノにぶつけて気絶させた。



ラヴォスが落下して一年後の恐竜人の里〜

平均気温は10度下がり、火が扱える知能がある恐竜人といえど、飢えと寒さで苦しんでいた。

クロノ達は翻訳機を使い、他部族の草食恐竜を演じた。

1000人が収容可能なタイムマシンを使い、恐竜人達を何回かに別けて、未来へ連れていった。

トータル5000人。


マール「これだけいると、流石に未来の草、全部無くなるんじゃ…

ルッカ「人口をセーブしてくれる事を願うわ…









クロノ達は確認の為に1000年後の未来へと飛んだ。人口が急増し、100億人になり、恐竜人は森を食べ尽くし、飢えていた。
そして生態系を破壊し、ロボット達に命を狙われていた。

ルッカ「案の定とはこの事ね…

マール「た、助けるのやめとこうか…


クロノ達は過去の自分達にアドバイスをしに戻った。


ルッカ「つまり、人口コントロールができるように彼らを教育、監督できる人が必要になるということね…

長老「そこまでやる意味、あるのか疑問じゃのう。原始時代の恐竜人が仲間を捨てて地球を出たのも、それなりの正当性があったという事じゃろ?」

ルッカは閃いた。中世でロボが400年かけて砂漠を緑地化した様に、今度は恐竜人を監督する仕事をロボにやって貰う計画。

自分の鬼畜さにゾッとしたルッカ

ルッカは考えた。
竜人をスリプルで眠らせている間に虚勢手術をすればいいかもしれない。

通称、命の賢者。生命魔学の賢者であるボッシュならば、魔学的にオスから種を取り除く方法を知っているかもしれない。
思えばジール王国の人々は数える程しかいなかった。人口抑制の技術が確立されているはず。

ボッシュ『人口抑制の方法か…。確かにワシらは種を取っておるがの…。』

マール『種無しでどうやって子供を産むの?

ボッシュ『産むことすらせんわ。魔学的に体内から外へテレポートじゃ。子供作る場合も同じく、種が必要なとき、必要な場所にテレポートさせるんじゃ。』

マール『難しくてよく分からない…」

クロノも首を傾げていた。

ボッシュ『まあ、とにかく、ボッシュに任せておきなさい。』

ボッシュはタイムマシンに乗せた恐竜人をスリプルで眠らせた後、種回収魔具を使い、30分程で仕事を終わらせた。


ボッシュ『真剣に子供が欲しい人だけが子作りできるという優れもんじゃよ。現代の皆さんにも貸しましょうか?』



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