クロノファン2020

主に二次創作置き場

■ボッシュに出会いついでに「せいどうの刀」を買う

ボッシュに出会いついでに「せいどうの刀」を買う



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クロノはメニュー画面を開いて青銅の刀を装備した。
ボッシュいわく、もっと強い武器、デーモンキラー(魔生物に有効)等が作れるらしいが、諸事情もろもろで家賃光熱費が払えない程お金に困ってるそうで剣を作る材料が買えないらしい。

年配にも関わらず貯蓄がなく生活苦。クロノは同情し、ジナから貰ったお小遣いと貯金を全てを貢いでしまった。

ガルディア本土のモンスターは国の治安部隊が一掃してくれているから雑魚しかいない。こんな立派な武器、重たいだけで持っていても宝の持ち腐にしかならないだろうが、いざってこともある。

敵はモンスターだけとも限らない。マールをナンパする野郎共を威嚇するには丁度いい武器になりそうだ。
クロノはさながら女性を守るナイトの気分。今日出会ったばかりになのに彼氏気どり。クロノはブサメンでモテナイ人生を歩んでいた。マールに逆ナンされて調子こいて財布の紐がゆくなっている。

マール「おじいさん、どうしてそんなに貧乏なの?」

ボッシュ「ワシは時空の裂け目に巻き込まれてタイムスリップしてきたんじゃ。だから何も持ち合わせがないんじゃ」

マール「おじいさん、ギャグのセンスないね…」

ボッシュ「本当じゃよ? ワシがいた時代は人が魔法が使えるのが当たり前じゃったんじゃよ?」

マール「ウッソだー! じゃあ、何か見せてよ、

ボッシュは空に浮遊してみせた。

ボッシュの周りに見物人が集まってくる。

ボッシュは右手に炎、左手に氷を出して合掌し、煙をモクモクと漂わせた。

ボッシュ(いかんいかん、ついうっかり見せびらかしてしもうた。この時代、魔法が使える人間なんていないのに。捕まって人体解剖されたら、たまったもんじゃないわい。)

ボッシュ「はい! まじっくショーおわり!」

マール「なーんだ。やっぱりタネが在るんだー。」


クロノはタイムゲートに飲み込まれたマールを追った。
トルース村の裏山にて、ジャリー青が三体現れた。

クロノの眼前に戦闘ウィンドウが開いた。
【たたかう】【技】【アイテム】の選択ができるが、ウィンドウに無い選択肢として【逃げる】コマンドもある。
殆どの敵は交戦的だが敵意がない事を示せば大胆まるく収まる。クロノは無益な戦いを避け、逃げ出した。

恐らくマールもジャリーから逃げたのだろう。無益な殺生をやる様な女性だったらエスコートする気はさらさらなかったクロノ。急げばまだ間に合うかもしれない。マールを追いかけて山を降りた。

山を降りるとクロノ視点は上空から始まる。これはワールドマップ現象と呼ばれるシステム。
このワールドマップ現象の良いところは三次元では見えない建物の裏が見えることである。
故にクロノは一瞬でこの世界が今までいたガルディアの世界とは異なると気付いた。千年祭会場が見当たらない。
自分の家も見当たらない。空気からして見た事ない世界。急に心が寂しく不安になりBGMが変わった。

クロノは音楽の悲しみ合わせて前を向き歩いた。

村で聞き込みをするとここが400年前の世界であることは理解した。それを踏まえて、マールは一体何処に行ったのだろうかと疑問したクロノ

「あんちゃん、立派な刀持ってるね。もしかして、あんちゃん王宮の人なのかい?」
村人によると、先程、武装した兵士達がリーネ王妃をガルディアまで護衛する姿を見かけたという。王妃は自身をリーネではなく人違いだと言い張っていたそう。
クロノは念の為、王妃の容姿を聞いた。ポニーテールに白いパンツ姿。マールはリーネ王妃に間違われて王宮に連れて行かれたのかもしれない。


「探しましたぞリーネ様。散歩の途中で護衛の目をかいくぐり逃げる等、お転婆が過ぎますぞ。大臣も王様もとても心配しておられます。」

「しかも、ドレスを捨てて町人に成りすますとは…。王族の権威をなんと心得ているのですか、ばあやはそんな風に王妃様を育ては覚えはありませぬぞ…

侍女はドレスを無理やりマールに着させた。
マールは気付いたら王宮の門の前にいた。
人違いだと説得する気力はなかった。リーネは400年前の王妃。マールはタイムスリップしている現象を受け止めるので精一杯だった。夢を見ているのだろうか、助けは来るのか、帰れるのか。思考を回している間にリーネとして王に挨拶する羽目になる。

「し、心配かけてごめんなさい。」
ガルディア21世はマールの手を優しく握ると椅子に座らせた。
「とにかく何事もなく無事で良かった。護衛の監視が気になる気持ちは判らぬではないが、そなたは大事な私の人。危ない真似はもうしないでおくれよ…

王は公務の為、自室へと戻っていった。

門の外が騒がしくなる。

クロノがマールを探しにきていた。だが、マールを見てもマールだと気付かない。ドレス姿で髪飾りをしているから気付かないのだろう。マールは王妃の振りをしてクロノをからかってみた。
クロノに寝室に来るように誘った。

クロノは赤面してしどろもどろになる。

だがクロノは寝室の場所を聞いていなかった。間違って王の寝室に向かっていた。

王のいるフロアに来るとイベントが発生した。クロノの視界が右にズレていき、この国の大臣にスポットが当たる。
大臣の独り言が画面のウィンドウに表示される。
「そんな馬鹿な…。戻って来られるはずが…」

イベントフラグ現象に巻き込まれ、クロノは大臣が何かを隠していると気付いた。

クロノは目的のリーネの部屋にたどり着くと、マールは光輝き消えた。


ーカエル視点ー

リーネが忽然と行方不明になり、街で聞き込みをしていたカエル。リーネの部屋から最後に出きたとされる赤髪の男に容疑をかけ追っていた。

ガルディアでは見慣れない赤髪。街では多くの目撃情報が得られた。赤髪と行動を共にしている女もいるという。
二人が教会の方角に向かったという目撃情報を得たカエル。

カエルは木に上り、教会の屋根へジャンプし、2階の窓から侵入した。

二人組を見つける事ができた。しかし今捕まえるよりは、泳がせてリーネの元に案内して貰うのが得策だろう。

二人組はシスターに扮した魔族と戦闘を始めた。
(ほう、若い割になかなかやるではないか…)
カエルはしばし二人の実力を見定めていた。カエルはこの時点で、二人がリーネ誘拐に関わってはいないと判断した。

(しかし、まだ子供だな、詰めが甘い。 トドメを刺し忘れているぞ)

カエルは二人を助ける為に飛び降りた。


ークロノ視点ー

ルッカの考察と、諸事情で敵のアジト、マノリア教会に辿りつくクロノ達。

教会のシスター達は、やましい事があるから襲ってきたのだろうが【逃げる】事ができた。
敵はレベル的に勝ち目がないと最初から判っていたのかもしれない。せめて見せかけだけでもアジトを見張る仕事をしないと人事査定に影響があったのかもしれない。

一方、マノリア教会のボス、大臣に成りすましていたヤクラとの戦いは逃げられなかった。
ヤクラは、デロデロと無意味な語尾をセリフに加える。心に余裕がある様子。まさか自身が負けるとは思ってないのだろう。身の程をわきまえない相手にクロノ達は容赦しなかった。

【ベロロン切り+回転斬り=エックス斬り】

個別の技で出しても威力に大差はないが、個別にやるより5秒程時短になる。
時間節約はリーネ救出任務の査定に大きく響くはず。クロノ達はヤクラにエックス斬りを浴びせまくる。

ヤクラを倒す事に成功したが、ヤクラは死んでも自己主張が激しかった。光って効果音を派手にしながら消えるヤクラ。
今は動くな!と空気を読めと言わんばかりの態度でクロノ達に目配せするヤクラ。クロノ達は勝ったにも関わらず動きを封じられ、勝利のガッツポーズをしたくてもできなかった。だがリーネの視点から見ればその様な演出の方が助け出された感があるはず。クロノ達は査定を考慮するとともに、ヤクラにとって最後の人間への愛情(演出)表現を温かい目で見守る事にした。

「リーネ様、ご無事でなによりです。」

カエルはリーネを救出して王宮へと戻っていく…

本物の大臣は宝箱の中に入れられた様だが、あんな狭いところに詰められていた割にはピンピンしている。エコノミークラス症候群になっていてもおかしくないのに。
恐らく大臣に成りすましたモンスターなのだろうが、その目的が判るまでは泳がせた方が得策だとクロノ達は判断した。

「事件を未然に防ぐより、事件が起きてから解決した方が感謝されるのよ。覚えておきなさいクロノ」


クロノ達は王宮に戻った。だがカエル達はまだ戻っていなかった。クロノ達より先に戻った筈なのに。

「あの二人、どこかでデートしているのかもね…」

ルッカには思うところがあった。数多くの護衛兵、騎士がいる中でリーネはなぜカエルなんかの護衛を受け入れるのか。よりによって、なぜ、カエルなのか。
カエルもそう。兵士の中で誰よりも早く敵のアジトに辿りついた。

「カエルはリーネを愛し、そしてリーネもまたカエルを愛しているよ。失楽園ね…。覚えておきなさいクロノ! これが大人の世界よ!」

クロノ達は急ぎ、マールの元へ戻った。600年代の王宮の情愛は乱れている。マールがリーネと間違われてガルディア21世に今すぐ襲われる可能性がある。


王宮の兵士はリーネ捜索に出払っていた。王室の守衛もおらず、マールの消えた座標まで邪魔されずに戻る事ができた。

マールのいた部屋は光輝いていた。見下ろし視点だから入る前から中が見える。。その事に気付かないで部屋の外にいる侍女二人と衛兵は一体何をしているのか。部屋の異常に気付かない程、夢中で何をしているのか。

「まさかの3人で!? やっぱりこの王宮は情愛に乱れているのね…」

クロノ達はマールを救出し、元の時代へ帰った。



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ルッカ「危険すぎるわ中世は…。もう二度と行かない方がいいわね。



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ルッカ「危険すぎるわ中世は…。もう二度と行かない方がいいわね。

「クロノ、マールをしっかりエスコートするのよ。しっかり…」

王宮は情愛に乱れている。その事をすっかり忘れていたルッカ

「ダメよクロノ! 大人の階段を登るの、早すぎるわー!」

ルッカは引き止めようとしたが、既にクロノはマールのエスコートを始めていた。

ルッカは後を追いかけた。


クロノは王女誘拐の罪で投獄された。3日後に死刑が執行される。

人権侵害もここまでくると悪魔の仕業としか言えない、恐らく、中世で大臣に扮したモンスターの子孫らが政権を牛耳っているのだろう。
人間を殺したいだけの鬼畜達が国の権力を握っているのだろう。ルッカはクロノ脱獄を決心する。


クロノを脱獄させようとしたのはルッカだけではなかった。たとえば檻を見張る兵士。彼は見下ろし視点にあるにも関わらず、背後にいるクロノに気付かず倒された。鎧に身を纏いながら素手での攻撃で倒れた。恐らく、死刑判決に不信感を持ち、クロノを脱獄させようとしたのだろう。しかも檻のそばに武器まで用意してくれていた。

宮刑務所にいる兵士の殆どがクロノに協力的だった。【逃げる】行動も成功するし、【見下ろし視点】でクロノが丸見えなのに襲ってこない。

城から出た後の追っ手もそう。追いかけてくるが決してクロノ達を捕まえはしなかった。

大臣は悪に染まっているが、兵士達は正義を貫いていた。

だがクロノ達は脱獄に必死でその事に一ミリも気付かなかった。

三人は森の奥に追い詰められた。

マール「私を人質に!」

 

ルッカ「だめよ。武器を貴方向けた瞬間、あいつらは私達を殺しても許される立場になってしまう。。それなら完全降伏した方がまだまマシよ。処刑されるけど」

クロノは処刑の言葉にビビって尻もちをついた。日本刀を振り回したところで軍隊に勝てる訳がない。
かといって何もしなければ殺される。

クロノの視界がぼやけた。

涙で霞んだ目を擦るクロノ。

しかし、目を擦っても目の霞は取れない。

 

ルッカ「泣かないでよクロノ! 泣きたいのはこっちなんだから!」

クロノは首をぶんぶんと横に降った。

 

ルッカ「え? 泣いてない? 目の前の空間がぼやけてる?」



調べるとタイムゲートに良く似た空間の揺らぎが見えた。

 
マール「これって、もしかして」

 

ルッカ「ええ! きっとそれよ! でもどうしてこんなところに…」

 

マール「考えてる時間ない!」



ルッカはゲートホルダーを取り出した



「マールありがとう。」


「え?」


ルッカ「マールは王女だからこの時代にいても大丈夫よ。



マール「嫌だよ。私も行く」

 

ルッカ「どうしてマールがそこまでするの? ゲートの先はどうなってるか判らない。今度こそ、本物に死ぬかもしれない。



マール「二人が大変な目にあってるの、この国のせい。私にも責任ある

 
ルッカ「だとしても貴方はこの国の…
 

マール「言わないで! 私は自分の事を価値ある人間だなんて思ってない! お城から自由に出られない。友達ひとり作れない、友達ひとり助けられない。そんなの、私は望んでない!

ルッカ「でも…


マール「でもも、へったくれもない! 私はクロノと一緒にいる。ルッカと一緒にいる。
 

ルッカ「お姫様の考える事は良くわからないわね…クロノはいいの? お姫様を危険な目に合わせても? 最後までエスコートできるの?


 

マール「違うよルッカ! 私がエスコートするの! 私が皆を助けるの!」
 
「だって私はこの国の王女よ。民一人助けられないで王女だなんて言えない。
 王女としてこの国の責任は私にある。民であるルッカとクロノを守るのが私の責任!」

 

ルッカ「なるほど。王女の意地とプライド…。判ったわ。私はもう否定しない。」

 
そう言ってクロノを見たルッカ。追手は直ぐそばまで来ている。

クロノがマールに何か言葉を発しようとしたとき、マールがゲートホルダーのスイッチを起動した。
すかさず二人を羽交い締めにするマール。
三人は時空の彼方に消えた…



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