クロノファン2020

主に二次創作置き場

気の強いルッカと弱気のクロノ

■気の強いルッカと纏まらぬストーリー



-

DC1000年、アシュティアコーポレーションはテレポート装置を開発した。
試験段階は終わり製品化の為の公開プレゼンテーションを建国千年祭でやることになり、開発に携わった教授ルッカとその助手クロノは企業やマスコミに対してデモンストレーションを行っていた。

物質転送のお披露目が終わり人間の転送を助手クロノがやってみせた。
会場は拍手に包まれ、観客からもデモンストレーションの参加者を募った。
参加者の多くは企業やマスコミであったが、一般も一部混じっていた。

マール
「よ、よろしくお願いします〜」

大勢の前で少し緊張しているマール。おそるおそるテレポート台に乗った。
前の参加者がやり終わり、後ろの参加者が待っている。機械への不安もだが順番待ちの流れも気にしてるマールは好奇心だけでそこに居た。

クロノがマールと知り合ったのは今朝だった。
千年祭に出店している企業の中に当日のバイトの面接を持ちかけている空気の読めてないマールを発見し、心配になり話しかけた。

マールは家出少女で今日住むところも確保してない不憫な女の子だった。オカネも持ち合わせておらず、親については一切語らない。後で警察に連れて行くつもりでクロノはその日一日マールを自分のそばにいるようにエスコートしていた。そんなマールは好奇心に釣られてテレポート装置に座った。

クロノは作動スイッチを押した。

マールが首にかけていた金属に問題があったのか、装置が異状音を鳴らし始めた。

制御装置の電源をオフにしても止まらない。

電気が通っていない筈はずの装置が動き続けた。


会場がざわめく中、大きな閃光が走った。
眼前の空間が裂け、蒼黒い穴が現れた。

マールはその穴にあらがいながら吸い込まれ消えた。
「誰かたすけて!」という言葉を残して。


会場はざわついた。
「きっと演出の一つだ」「何かの冗談でしょ? マジックショーだよ」「実験は失敗して死んだんだよ。」
人々は憶測でパニックを起こしていた。

クロノはただ事じゃないことが起きたと理解した。
実験ではありえない事だった。あらゆる金属を試して万が一にもそういった異常なトラブルが起こらない様に配慮していた。

このままでは祭典の継続すら危うい。人が死んだかもしれない。


「助手! あんたの出番よ!」

助手のクロノはルッカ教授に弱みでもにぎられているのだろうか。
クロノは少女がその場に残したペンダントを持ち、起動スイッチを押した。

クロノはマールと同じく蒼黒い穴に吸い込まれた。

死んだ気になれば人は何でもできるというが、クロノの心は既に死んでいた。ギャンブルで作った借金が1000万円以上あり、それと向き合う日々に疲れ、自身の命に対して自暴自棄になっていた。

クロノはゲートを越え、400年前の時代にタイムスリップしたが、その事実にクロノが気付いたとき、クロノはラッキーだと思った。この時代なら借金取りは追ってこない。

たがクロノの考えは甘かった。ルッカ(借金取り)が時越えの道具を持って追いかけてきた。


ルッカ
「さあ、帰るわよ。あの娘はどこ?

クロノは首を横に振る

ルッカ
「どういうこと? まさか見失ったってこと?

ルッカ
「なんでよ! あの娘がゲートに消えてから直ぐに向かった筈でしょ? 見失うなんて貴方、一体何をしてたの!

クロノは記憶を辿った。
確かにこの時代に来た直後にマールの姿は見た。
マールだけじゃない、青色の小さいオッサンも見た。青色の小さいオッサンがクロノの前方を走り、その前方をマールが走っていた。
クロノは幻覚を見た事を思い出した。


ルッカ
「私も見たわ。ブルーの小さいオッサン…でも、あれは幻覚じゃなかった…。だって私を見るなりかぶりついてきのだから…


ルッカ
「ど変態のオッサンよ! 山には、ど変態のオッサンがうようよしてた! きっとマールはそのオッサンから逃げて、はぐれちゃったんだと思うわ。」


クロノ達は手分けして探した。
携帯に保存していたマールの写真を使い、街で聞き込み調査をした。

ルッカ
「え? リーネ王妃だって?」

マールの写真を見るなり、人々は王妃だという。

ルッカ
「どういうこと? もしかしてリーネ王妃と間違えれられて城に連れて行かれたんじゃ…

クロノ達は城に向かった。
道中、ブルーのオッサンを思い出してしまうルッカ

「あのキモいの何だったのかしら? どう見ても人間じゃなかった。街の人はあれを魔族と言ってたけど、魔族って何なの? この時代の新聞読んだけど、魔族と人間が戦争しているっていう。ありえないファンタジーだわ。これが幻覚じゃないなら、世界史は魔族の存在を隠蔽しているということになるわね…


〜城〜

門番
「おい、お前達、そこで止まれ!」

門番達がクロノを通さなかった。

門番はルッカの麻酔銃で次々と倒れた。



〜城内〜

ルッカは邪魔になりそうな者を次々と麻酔銃で眠らせた。


マール
「あ、クロノさん!」

マール
「クロノさん、私、王妃様と間違われたみたいで…

「でも違うんです。私、王妃様じゃないんです!」

マールは光に包まれ消失した。


ルッカ
「これは一体…」


その隙にクロノは走って逃げた。ルッカ(借金取り)が過去の時代へ来れるとしても、法律は味方しないだろう。逃げ切きることができると判断した。

クロノは目立つ街に逃げるのを避け、山沿い森沿いを進んだ。教会を見つけ神に祈った。

「たすけてー!」

教会から叫びが聞こえた。

その声に驚いてクロノは教会に入った。周りを見渡すが、助けを求めている人はおらず、いるのは跪いて神に祈りを捧げるシスター達だけだった。

「たすけてー!」
再び叫び声がした。

確かに聞こえたが、シスター達は聞こえていない様子。

クロノは声がする方向へ進んだ。
壁際までくる。
壁がユラユラ動いている。

触れると紙の様な材質だった。
下から奥の部屋が見える。
クロノは伏せた格好で紙を抜けて行った。

白い悪魔みたいものを見たクロノ

踵を返すと、シスターがベビ女に変身した。

取り囲まれる。

「たべちゃう?
「たべちゃおう!

クロノは蛇女と悪魔に抱えられて教会の奥へと連れさられた。

口は塞がれ、助けは呼べない。


クロノは食台に乗せられた。

ナイフとホークでギコギコされる。



ルッカの視点〜

「クロノが考えること事なんてお見通しよ。どうせ街を避けながら逃げるはず。山森沿いを抜けて、そしてこの教会見つけて神様に祈る。普段、信心深くないくせに、その場の空気に流されるのよ。」

ルッカが教会に入った頃、そこには誰も居なかった。いたのはカエルだった。

カエルと目が合う。

ルッカ
「貴方は魔族? それとも幻覚?」

カエル
「ご冗談を…。それがしは、ガルディア騎士、名をグレンだ。リーネ王妃が誘拐されたいう話を聞きつけて、街中を探しておる最中だ。お主は何か心当たりはないか?」


ルッカ
「そうね…。(マールが消えた現場を誰も目撃してないから誘拐されたって事になっているのね…)

カエル
「城内に見知らぬ女と男がやってきたという目撃情報はあったのだが…

ルッカ
「それは私のことよ。

カエル
「なぬ!

カエルは剣をルッカに向けた。

ルッカ
「でも誘拐したのは私じゃないわよ。本当の犯人なら疑われる様な事をわざわざ言わないでしょ。

カエル
「確かに…なら犯人はどこの誰なんだ?

ルッカ
「ここに来る前、街の人が言ってたわ。教会に行ったきり帰って来ない人が最近何人もいるって。

カエル
「そうなのか?

ルッカ
「役所は教会の帰り道に魔族に襲われたんじゃないかと言って教会を捜査する事はなかったみたいだけどね。

カエル
「やくしょ…? 官署のことか?」

カエルは教会を調べ始めた。

壁に触れると空気の振動から人の気配を感じた。
足元から少し空気の流れを感じる。

めくると、魔族と目が合う

すかさず一体仕留めるカエル。

すかさず奥に進み、敵の背後にゆっくり忍びより、ベロで敵の気道を塞ぎ、剣を刺す。
悲鳴を出す前に絶命する魔族。

階段を降りると見張りの魔族が2体。

カエルは侵入したのがバレるのを恐れた。


ルッカが麻酔銃で魔族2体を眠らせた。

カエル
「女、今のは一体…

ルッカ
「サイエンスよ、

カエル
「さ? さいえんす? まあいい、掩護してくれるのは有り難い。



ルッカとカエルは奥に進み、リーネ王妃とデロデロ言う怪物に出会った。


ヤクラ
「デロデロ〜まさか正体をみや…」

ズサ!

ドス!
コロン

カエル
「ご無事でなによりです。リーネ様

ルッカ
(ほんと、あの娘にそっくりね…。むしろそっくり過ぎなんじゃ…」

ルッカはマールが消えた原因に気付いた。


ルッカ
「かくかくしかじか」


クロノはルッカの考察を聞いて理解した。ルッカからは死んでも逃げられないのだと。

クロノ達は急いで王宮に戻った。ルッカの考察が正しければ、マールが消えたポイントに出現する筈だと

門番
「お、お前らはあの時の不審者!」

ルッカは麻酔銃を構えた。

「しまった! 麻酔銃の弾がもうない!」

クロノ達は取り押さえられ、城の檻に入れられた。

割愛



〜王広間〜

マールとルッカ、クロノが並んでる。

リーネ
ルッカさん、この度は有り難うごさいました。

「マールさん、本当に私と瓜二つ…。人違いとはいえ、私と間違われて誘拐される危険もあったかもしれません。今後は誤解される様な振る舞いは改める様にお願いしますね…

リーネ
「クロノさん…借りたカネはちゃんと返すように…





クロノ達は現代に戻った。


観客
「「お、おー!もどってきたぞ!」)

マスコミは【テレポート事故により、3名死亡か?行方不明?】の記事を【テレポート事故、ルッカ教授が二名を救う!】記事に差し替える様に忙しく立ちまわった。

ルッカはマスコに過去の時代へ行った件は伏せた。
過去で、金を手に入れ、物価の高い現代で売れば儲かる。金儲けの情報をやすやすと人に教える訳にはいかなかった。

ルッカ
「クロノ! どういう訳かこの国の姫様は一般人に成りすましてるわ。貴方は彼女をしっかりエスコートして信頼を勝ち取ること。あわよくば玉の輿に乗り、私に借金を返すこと! 分かった? 分かったらちゃちゃと行く! マールが姫だってバレたら王宮に戻されて、玉の輿に乗るチャンスは無くなるんだからね! くれぐれもバレない様にするのよ!」


クロノはマールを自宅に連れて帰った。

しばらくすると、マール王女の失踪届けが警察に出され、クロノは未成年誘拐の罪で逮捕された。ルッカはそれを見てみぬ振りをした。
ルッカに脅されてやったことだと証言するも、ルッカには痛くも痒くも無かった。金を転がして無尽蔵にカネを得る。そのことだけに意識を向けていた。




-



――――――――――――――――――――――――――――

■2話



-


過去に行けるなら未来にも行ける筈。未来にいけば、まだ見ぬサイエンスが判る筈。ルッカはゲートの仕組みを研究し、【ゲートのある場所には空間の揺らぎがあるかも節】を元にドローンカメラで探索した。王宮の敷地、庭でそれを発見した。

おいそれと入る事はできない。
逮捕されるだろう。
カネには困ってないが、クロノの借金はまだある。
クロノに逮捕覚悟でゲートに飛び込んで貰うしかなかった。


クロノは荒廃した未来を知った。ラヴォスが原因で1000年後に文明は滅びてしまう。

そんな先のことどうでも良かった。
未来からルッカにとって何らかの利益になるものを持ち帰らないと、クロノの借金は減らない。

クロノは動かないロボを担いで、現代へと戻った。
ロボを敷地内から出せずにウロウロしていると逮捕された。

二度目の逮捕、執行猶予はつかないかもしれない。

ルッカはロボを復活させた。

1000年先のロボを手に入れたルッカだが、ロボの内部の仕組みを理解するのは困難だった。

未来に行って情報を取って来ないといけない。
一人で行くには危険が伴う。

頑張ったら1億貰える約束でクロノを呼び出したルッカ
クロノと一緒にマールも来た。
自身を匿ったせいで逮捕されて職を失ったクロノに償いをしたいマール。クロノの仕事を手伝いたい。


三人は未来へと向かった。

ロボが工場を案内し、ドームに電力を供給できる様にしてくれるそう。そこでコンピューターをいじれば、世界の事が良くわかる。

閉ざされた扉が通電して開き、クロノ達は時の最果てに。

ゲートをくぐっていると、中世に繋がった。

大砲の音が響く

ルッカ
「もしかして戦争? 生で見るチャンス?

現代の歴史ではどういう訳か魔族が存在しない歴史になっていた。。リーネが魔族に誘拐された事件も、盗賊犯の仕業にすり替えられていた。
魔族を隠す理由は何か、歴史では本当は何が起きたのか、先ほど最果で覚えた魔法を実践にて使えるチャンスでもある。ルッカはいそいそと山を降りた。







〜ぜナンの橋〜


「只今、魔王軍と交戦中です。危険ですので…


ロボが橋の上で暴れ始めた。

ルッカ
「いいわ! その調子よ! サイエンスは無敵よ!」

ビネガー率いるガイコツ兵がロボになぎ倒されていく。


「あの鉄の生き物は一体! まさかあれが噂の伝説の勇者なのか!?」

ルッカ
「おりゃ!」

ガイコツ兵が火だるまになり倒れる。

「き、きもちいいわ…


ルッカは最果てで覚えた技、火の魔法を使った。
クロノとマールもルッカに続いた。


「な、なぜ人間達が魔族の様な術を…。まさか彼らは人間に扮した魔族! 魔族を裏切って人間側に味方するということか!?」

ビネガー将軍
「ど、どういうことだ!? 魔法が使える人間がいる? 人間が魔法を使えるはずが無い! つまり奴らは人間に扮した魔族! 魔族を裏切って人間側に味方するということか!? 」

ビネガーが呪文を唱えると倒れたガイコツ兵が集まる。

ビネガー
「お仕置き!」

30m級のガイコツ巨人の攻撃で、橋の上にいる兵士達は一気になぎ倒されていく。

ルッカ
「いけないわ! あまりはしゃぐと歴史が変わってしまうかもしれない。皆、一旦ここを引くわよ!」

ルッカは遠くの方から戦争を観察した。

次々に兵士達が倒れていく。

大砲で巨人を制圧する兵士達だが、ビネガーの呪文で巨人は再生していく。
橋の上で数時間にもわたる攻防戦が繰り広げられ、ビネガーは魔力が尽きたのか、骸骨を残して逃げていった。

クロノ達は痛ましい戦争を見て心を握りつぶされる気持ちになった。

ビネガーが去った後、兵士達は反撃の狼煙を上げた。 

魔王城に突入するらしく、ルッカも見聞を広げる為に後を追った。

魔王城へと続く魔岩窟、そこで兵士達は足を止めていた。

魔岩窟は魔力で生み出された岩であり、質量、硬度が魔的に高められていた。
人間の力はでは動かせないし、破壊もできない。

カエル
「魔の力を打ち消すグランドリオンがあれば…」

カエル
「やや! そなた達はいつぞやリーネ様救出に力を貸してくれた方! 今回も力を貸してくれるというのだな!」


ルッカ
「グランドリオンって、何?」

カエル
「し、知らぬのか? 伝説の聖剣、グランドリオンを!」

ルッカ
「そうじゃないわ。グランドリオンがなぜこの岩をどけられるの?」

かくかくしかじか

ルッカ
「…つまり、この先はグランドリオンが無ければ進めそうにない。」
(面白そうな剣ね…。研究しがいがありそうだわ)


カエル
「だが、剣は折れてしまっている。修復できる職人もいないし。

ルッカ
「その折れたグランドリオン、私に見せて頂戴。


〜カエルの自宅〜

ルッカ
「真ん中から綺麗にすっぱり折れてるわね…。」

カエル
「やはりダメそうか?

ルッカ
(魔力に関するものなら、時の最果てにいる老人が何かを知っているんじゃ…)

カエル
「な! この剣を貸してくれだと?

ルッカ
(やっぱりダメよね…しょうがないか…




カエル
「な! お前達、未来からやってきただと? しかも時の果てという場所で魔法を使える様になっただと?」
 
一人くらいなら歴史に大きな影響はないだろう。ルッカは洗いざらいカエルに話した。
ゼナンの橋は現代では高速道路が続いていて人なんか歩いていない、カエルの住処の真上はビルが建っている。魔族も魔王軍も歴史的には存在しないが人間は繁栄している。等を伝えた。

カエル
「そうか…人間はいずにせよ魔族に勝つのだな…


ルッカ
「え? 私達に付いてくる?

カエル
「ああ、グランドリオンは亡き共の形見でもある。他人においそれとは渡せない。」


ルッカ達はカエルをメンバーに加え、時の最果てに向かった。


〜時の最果て〜

時の果ての老人(時魔学の賢者ハッシュ)
「こ、この剣は…

カエル
「治せますが、御仁…


ハッシュ
(この剣に微かに残る魔力、ワシの弟、ボッシュのものに違いない。この剣はあの時、魔神機に刺して…)



カエル
ボッシュという者なら治せるかもしれぬのだな? 」

ハッシュ
「断言はできんがの。じゃがボッシュが何処に居るかは分からんのう。  

カエル
「何か情報は無いのか? 

ルッカ
「あったわ。SNSに刀鍛冶ボッシュで登録されているわ。プロフィールには古代ジール王国からやってきたタイムトラベラーと書いてある。ちょっと電話してみるわね。




ボッシュ
「はあ? グランドリオンを直して欲しい? なんじゃそのグランなんとかというのは。

ハッシュ
「ちょっと電話を貸してくれ。
 もしもしハッシュじゃ! ワシじゃよワシ!

ボッシュ
「え? 兄さん? 良かった無事に生きていたんだね。

ハッシュ
「なんとかな、ボッシュこそどうじゃ? 元気にやっとたか?

割愛

ハッシュを加えたクロノ達は電車を乗り継ぎ、ボッシュの家に向かった

二人は感動の再会をした。


ボッシュ自宅〜

ボッシュ
「なるほど、皆さんは時を旅しておるのか…

カエル
「魔族と戦うにはグランドリオンがどうしても必要なんだ。

ボッシュ
「グランドリオン…。見たところ剣に陰のエネルギーが継いておるが…お主もしかして憎しみ等を抱いておらぬか?



カエル
「親友が…




ボッシュ
「そうか…親友が魔王に…
 辛い事を聞いたのう。



ボッシュ
「無念を持ったままではグランドリオンの力を引き出せないはずじゃ。だからグランドリオンを修復したとしても、パワーは小さいのう。


カエル
「くそう!

ボッシュ
「安心せい、このグランドリオンよりも強い武器をワシなら作れる。

カエル
「本当か?

ボッシュ
「既に作ってある。それを貸してやろう。

カエルはデーモンキラーを受け取った。

ボッシュ
「グランドリオンと同じように魔力を吸い取る力がある。魔力を力に還元している魔族にうってつけじゃ。」


カエル
「何から何までかたじけない。」

カエル
「よし! ルッカ! 前線まで戻るぞ!」

ボッシュ
「まて、行くならワシも連れて行け。こう見えてワシは昔、生命魔学の賢者と言われておった。回復系の魔法はなんでもござれ。剣を修理するだけでなく、人間を修理するのも得意ということじゃ。

カエル
「人間を修理? それはもしかして…

ボッシュはカエルの呪いを解き元の姿に戻した。

ハッシュ
ボッシュが行くというならワシも行くぞ。

メンバーはボッシュ選りすぐりの武器を携え、魔王城へと向かった。


〜魔王城〜

ボッシュ
「む?  この気配はジャキ様?」

ハッシュ
「まさか、ジャキ様もタイムゲートに飲み込まれて…

ボッシュ
「だとしたら大変じゃ。 こんな魔族のウヨウヨいるとこころに出現なんてしたら…

ハッシュ
「今すぐ救出せねば!」


〜魔王の広間〜

「ジャキ様ー!」

ボッシュ達が暗闇の中を進む度、部屋の明りが自動的に灯される。


「ジャ? ジャキ様?」

魔王
「私の本当の名を知っているとは、お前達は一体…

ハッシュ
「ワシです。時魔学の授業を担当していたハッシュです。

ボッシュ
「同じく、生命魔学の授業を担当していたボッシュです。ジャキ様が赤子の頃はオシメを交換したこともありましたぞ。


魔王
「なぜ、

ボッシュ
「ささ、こんな物騒な所からは早くお逃げましょう。

魔王
「なぜ、なぜ、もっと早くに来てくれなかったのだ…

ボッシュ
「困惑される気持ちは判ります。ジャキ様は何十年もこの世界で過ごしたのでしょう。過ぎ去った日々は戻らないかもしれない。でも、きっと頑張れば、明日に希望を持って生きられるはず。

ハッシュ
「ささ、行きましょう。一緒にサラ様の元へ帰れる様に…


魔王
「…私は今しがた。ラヴォスを召喚した…




原子時代〜
クロノ、マール、ルッカ、カエル、ロボ、ハッシュ、ボッシュ、魔王
8人はラヴォスゲートに飲み込まれて、原始時代へと飛ばされた。イオカ村のエイラは崖下で奇妙な8人を見つけて村に持ち帰った。
エイラと村人は恐竜人との戦いに向けて部族を増やしたがっていた。
8人は村で歓迎され、宴の盃を交わした。

ハッシュ
「酒はええのう

ボッシュ
「酒はええのう

ハッシュ
「ほら、ジャキも飲まんか、もう大人なのだから

シラケた目で二人を見つめるジャキ


ルッカ
「ねえ、ジャキ、古代ジールってどういうところなの?

魔王
「…

村人
「あん、どぐそん!(た、大変だーー!)

アザーラが村に火を放ち、エイラの仲間キーノが誘拐された。村人の反対を押し切り、エイラは一人でキーノを助けにいこうとしていた。村人は恐竜人に逆らって、これ以上、村に損害が出るのを恐れていた。エイラが恐竜人に反抗的だからキーノは誘拐された。全てはエイラの責任。村を守る為にもキーノを諦める様にエイラを説得していた。

突然
8人の身体が光に包まれて消滅しかけた。
透明になっている。

カエル
「こ、これはどういう事だ!

マール
「私、前にも同じ事あった。

ルッカ
「きっと私達の先祖の身に何か危険が起こって…


長老とケンカしているエイラ。自分達を自宅まで送り届けたエイラ。

ジャキ
「黒い風が見えるぞ…

ルッカ
「黒い風?

ジャキ
「オレは死期が迫る者が判るんだ…

ルッカ
「古代人の超能力というやつね。分かったわ!
皆! あの娘から目を離したらダメよ。


酔いつぶれた老人を残して6人はエイラを追って山へ向かった。

エイラは翼竜の背に乗って遠くに飛んでいった。

ルッカ
「ど、どうするのよこれ!」



魔王
「オレに任せろ」

ジャキは空を飛び、翼竜を追いかけた。

翼竜のスピードは早く追いつけない。

ディラン城までたどり着く頃にはエイラはアザーラと石像恐竜と戦っていた。
酒の酔いがまわり、苦戦を強いられている。


ジャキはダークマターをアザーラ達に放った。

アザーラはバリアの様なもの張っているのか効き目がなかった。

エイラはアザーラが暗闇に包まれているその隙にキーノをプテラに載せ、飛び立った。


〜空の上〜
エイラ
「うんばばば。うとりがあ。ういてにらあさあらあさならあさまらた?
(ありがとう。お前のお陰で助かった。名前なんていう?)

魔王はエイラの乗った翼竜の前に座っていた。
魔王は半径1m以内にいる者から思念をテレパシー受信できた。

魔王
「ジャキだ…


エイラ
「ジャキ! ジャキ! エイラ、強いオトコ好き。ジャキ大好き!」

エイラは魔王にしがみいた。

エイラ
「それにしても何故透明? スケスケ? いつからこうなったんだ?」

エイラが透明な魔王の身体をあちこち触っているとき、ラヴォスの気配を感じた魔王。


ラヴォスは宇宙から地球に向かって時速5万キロで向かっている。
衝突すれば10kmのクレーターを使る

魔王は自身を含めて、キーノ、エイラ、プテラに黒い風が漂っている事に気付いた。

ラヴォスの気配は強くなる一方。

魔王はプテラに強い念で危険を知らせた。
プテラは全速力でディラン城から離れた。




〜イオカ村〜

ルッカ
「まさか、隕石の正体がラヴォスだったとは…


〜クレーター〜

エイラを含めた9人は、開いたゲートの前に立っていた。

ゲートの中から黒い風が逆流している。魔王の死を察知する力は子供の頃より成長し研ぎ澄まされていた。古代ジールの人々が絶滅する未来を感じとった。


古代の大地を歩くメンバーら、相変わらず半透明のままだった。
天空都市に導いている光の柱に近付く程、透明度は増していった。気付けばエイラもメンバーと同じく透明になっていた。


ルッカ
「このまま行けば、この時代の歴史を変えてしまい、私達が消滅する恐れがあるわ。

マール
「私は皆と一緒にいたい。消えるとしても、一緒がいい。

ロボ
「ワタシもマールと同じ」

カエル
「オレの存在が消えれば、サイラスとは出会わなくなる。オレがいなければサイラスの足手まといにならず、サイラスは死ななかったかもしれない…

エイラ
「エイラ、意味わからん。皆と一緒にいる。

魔王
「…


ルッカ
「私はこのサイエンスの先を見てみたい。消えるのか、どうなのるのか? クロノはどう?

クロノは思った。いつ一億円をくれるのか、その事で頭が一杯だった。  
 
ルッカ
「この先をクロノが先に行って様子を見てくれたら10億円をあげるわ。


クロノはメンバーを代表してまずは一人で天空都市に上がった。

日差しが照りつける。

透明なのが幸いしてか、あまり熱さは感じないクロノだった。


入国管理局
「やや! 透明ファッションとは粋なスタイルですね。どこかのモデルさんですか? 入国に際してはコチラの書類に記入後、持参した武器等は一旦こちらで一時あずかります。問題がなければ、後日、第二管理事務局にて引取り可能になりますが、管理事務局の住所は中央都市の…


クロノの身体は入国してすぐ、完全に透明になっていた。女風呂を覗いても問題ないくらいに透明人間になっていた。

ボッシュ達から魔神機の使用でラヴォスが暴走する話を聞かされていたクロノは、王宮にある魔神機の部屋まで来ていた。
クロノは一際綺麗なジールを見つけると後をつけた。
ジールは日誌を書いていた。

ダルトン派に逆らえないとはいえ、まさかこの様な強行実験をやないといけぬとは…。わらわが自ら率先して暴君を演じたのも、全てはサラやジャキ、この国を守る為だというのに…
 わらわはラヴォス神を目覚めさせたら、きっと死ぬだろう。不老不死なんぞまやかしに心酔するダルトン派もわらわの死を確認すればもう無茶な実験はせぬだろう。
 あとはサラが、なんとかしてくれる。嫌われたまま、わらわは死ぬだろうが、その方が悲しまなくて済むだろう。」

ジールは日誌を見ながら泣いた後、燃やして捨てた。

クロノは日誌の内容の意味を殆ど分からなかったが、泣いているジールにハンカチを渡した。


ジール〜



ジールは驚いて跳ねた。



「と、透明人間の魔法!?」「それとも幽霊か!」

クロノはこの時点で触覚も無くなっていた。
声を出してもと届かない。


ジールはテレパシーを張り巡らせ、クロノの存在を感知した。

「何者だ!


「そうかクロノと申すか、

「敵ではないのは判った。どういう了見があって王室に忍びこんだ?


「未来からやってきて、この時代に何が起きたか調べているだと? 未来の世界はラヴォスに滅ぼされて大変…

ジールはクロノ達が歩んだ歴史を理解した。

「なるほど。ジャキは、黒い風でこの国の消滅する未来を知っておるのか。まさか、ラヴォス神が我が民にそこまでの仕打ちをするとは…

「分かったクロノ。後の事はわらわはに任せろ。わらわは死んでもタダでは死なぬ。


クロノはメンバーの元へ戻った。

だがメンバーもクロノと同じように消滅しかけていて互いに視認することができなかった。

触覚は完全になくなり、自身を叩いても全く痛くもなくなった。

ジールー

ラヴォスが目覚め、タイムゲートを生み出した。
ジールはラヴォスを制御しているサラを念力で飛ばし、ボッシュが飲み込まれるゲートに入れた。



ークロノー

程なくして、ラヴォスは目覚めて破壊の光を打ち出した。

天空都市は無残に崩壊していく。天空都市だけでなく、地上にもラヴォスの雨が降り注ぎ、地表が溶けていく。


ラヴォスの真上にあった海底神殿は破壊され水没し始めた。


ジールが術を開放すると、海底神殿が変形しラヴォスを飲み込んでいく。
すっぽりと覆い、光のエネルギーが内側に閉じ込められる。
ジールはその光を受けると死ぬ。バリアでも防ぎきれない。そう判断し、神殿に意識を転移させた。
ジールは神殿となり、ラヴォスの攻撃をチリになるまで受け止めた。


その頃にはクロノ達はこの世界から消滅した。
クロノ達が今後生まれなくなるという意味ではなく、未来ではボッシュを通じてサラとクロノ達が出会う流れになる。
現代でサラを知った状態のクロノ達に修正される


ーサラー
「きゃ!」「うげっ!」

民家のクローゼットからサラとボッシュが勢い良く飛び出した。


全身緑の毛のない魔族
食卓を囲んでいた2魔族は慌てふためき、ちゃぶ台をひっくり返した。顔を人間の姿に変幻させる。

サラ
「え? ここは…

ボッシュ
「サラ様、ワシらはどうやらタイムゲートで時を飛んできた様子じゃ。

人間に成りすました魔族
「お、お前たち、人の家でなにしとるが!

サラ
「あ、ご、ごめんなさい。直ぐに出ていきますので…

魔族
「ちょっとまて! 

サラ
「な、なんでしょうか?

魔族
「いきなりクローゼットから出てきてビックリたけど、お前達、人間じゃない。

サラ
「え? 私は人間ですけど…

魔族
「演技が上手いのは良いが、魔力がダダ漏れしとるぞ。そんなのでは人間を騙す事ができても魔族の目を欺くなんてできんぞ。 そもそも魔族同士で正体を隠さなくてもよかろうが。」 

サラは魔族を知らなかった。

魔族a
「まさか本当に魔族ではないのか? じゃあ、魔力を持っている人間ということか…

魔族b
「魔力があるから人間と魔族の間の子じゃない?

魔族a
「なるほど


サラ「どうして魔族は人間の姿に化けてるの?

魔族
「そりゃ大昔にそう決まったからだよ。
 400年前、魔族王フリューゲルスが人間世界を統治した際、魔族の痕跡、歴史を消すような政策をしたんだ。知ってると思うけど

サラ
「どうしてそんなことを?

魔族
「人間に安心して暮らして貰う為さ。人が生まれてくればそれだけ人間狩りもやりやすくなるのさ。

サラ
「人間をたべちゃうの? まさか貴方たちも?

魔族
「そりゃ大昔の魔族の話さ。今はもうしない。そもそも僕らみたいな緑種族は草食系だから、人間は食べないよ。

魔族
「まあでも、祖先が人間を家畜にしてきのは事実だからね…。そんな魔族が公に存在すると判れば、皆、恐怖におののくでしょ。魔族界のルールで魔族の存在を隠す様に僕らはしないといけない。。


サラは時代を超えて来た事を説明した。

魔族
「なら、この時代では住所や身分証もないってと? 魔族のルールで身元不明者は通報する事になってるんだ。悪いけど、連絡するね。


ボッシュ
「サラ様、なにやら慌ただしいですぞ、逃げましょうか…」

サラ
ボッシュ、一旦様子を見ましょう。この人達に敵意は無さそうですから。


サラとボッシュは魔族としてのIDを得た。人間そっくりの魔族種として、住居と職業をあっせんされた。

ー仕事ー

サラはヘケランリゾートでホテルの清掃員の面接に行き、ボッシュはヘケランリゾートの土産物屋に卸す刀作り、鍛冶職人の面接に行った。

魔族ヘケランが運営しているこのリゾート地区は、渦潮を利用した天然ウォータースライダーで成功を収めた。ヘケランはスマホ片手に毎日忙しい日々を送っている。

ヘケランはときどき社長名を隠してバイトの面接をする。

「ほう、新しい魔族が来たか。通せ。」

サラ
「ふつつか者ですが、宜しくお願いします。

ヘケランは職安指導に沿って書かれただろうサラの履歴書を見ていた。

ヘケラン
(魔法のレベルは高いが、それ以外のスキルがてんで駄目か…。他の魔族にできず自分にしかできないこと、ラヴォスのコントール…)

ヘケラン面接官
「このラヴォスのコントールというのは、どういう意味ですかね? 

サラ
「基本的にラヴォスが目覚めない様にラヴォスの精神に働きかけたりします。いわゆる催眠術みたいなものでしょうか…」

ヘケラン
「なるほど。ですが、ラヴォスは400年前に当時ガルディア領内にいた魔族王が召喚に失敗し、命を落としたと聞きます。そんな危険な存在をどうしてコントロールしよう等と思い経ったのですか?」

サラは魔神機でラヴォスからエネルギーを抽出する国家事業に携わっていた事を説明した。

ヘケラン
「なるほど…。サラさんは、タイムトラベラーでしたか…。


サラ
「私ではお役に立ちませんでしょうか。


ヘケラン
「その美貌なら接客が向いていると思うのですが、何故、清掃を?

サラ
「…実は、セクハラする魔族に耐えかねて魔法でズドンと


ヘケラン
「なるほど。(流石に履歴書には書けないか…しかし正直者…)


ヘケランはサラの履歴書に合格の印を押した。




ー千年祭ー

いつもの様に朝の仕事が終わり、一息ついたサラ。休憩室でお茶をして、何気なくテレビを見ていた。千年祭初日の映像でマスコミが盛り上がっている。

サラは仕事を抜け出した。


ボッシュ! ボッシュ

「なんでしょうかサラ様

「大変よ! タイムゲートよ!

二人は千年祭に直行した。

会場では消えたクロノとマールをどう救出するのかで盛り上がっていた。


ルッカ教授
「先程、私が試作したこのゲートホルダー、これを使えば二人が飛ばされた場所に移動できるでしょう」

ルッカがゲートに飛び込んだ後、しばらくしてクロノ達を連れて戻ってきた。マスコミはざわつき、サラ達は近づけない

「もう! この野次馬め!」

サラは会場にスリプル魔法をかけ、マスコミが眠りについた。


割愛

ルッカ
「つまり、サラさん達は過去からタイムスリップしてきた…(サイエンスと魔学を一緒にしたら、更なるサイエンスの進化が…)

サラ
「お願いします。私達も過去に連れて行ってください。

ルッカ
「構わないわ。でも私達が行ってきた世界は400年前の世界で魔族がいる世界よ。

サラ
「400年前…。構わないです。そこで確認したことがあるの



サラ、ボッシュ、クロノ、マール、ルッカはゲートに入った。


ルッカ
「な、なにこの感じ……空間が不安定…

マール
「な、なんか怖いよ、私達、ちゃんとゲートから出られるのかな…

ルッカ
「まさか一度にゲートに入れる数に人数制限とかあったのかな…」


クロノ達は時の最果て辿り着いた。


サラ
「こ、この気配はもしかしてハッシュ?

ボッシュ
「そうじゃハッシュじゃ!



ハッシュ
「なんと! ラヴォスを知る者がDC600年におるのか。だとしたらその者の正体はジャキ様かもしれん。ガッシュはDC2300年でタイムマシンを研究中ですから。


サラは中世へとすっ飛んだ。
聞き込みをして魔王城に繋がる魔岩窟の場所を突き止めて、空を飛んで魔王城へと辿り着いた。

魔王城にスリプルをかけ、雑魚を一層し、走った。



〜再会〜

「姉様? ほんとうに姉様なのか??」

「この気配はジャキ? まさか、あなたなの?」


儀式の間で二人は抱擁を交わした。
魔王にとっては30年ぶりの再会で、サラは時の重みを罪深く感じていた。

ジャキ
「私はこの地に飛ばされて、早々に魔族達に目をつけられて…」




ジャキは中世時代での経緯を説明した。
この時代に来て早々に魔族達に命を狙われ、隠していた魔力を使い、身を守った。魔族王のビネガーはジャキの大きなチカラを見るなり、将来性を感じ、城に連れて行き、手元に置いて育てた。


ジャキは城を抜け出してはこの世界を走り回り、サラを探していたが、見つからず絶望した。

ある時、ジャキは人間の領土に行きサラの聞き込みをすると耳のカタチが違うのだと言われ、魔族と勘違いされて襲われた。ビネガーは襲われるジャキを助けるとサラを探すのを諦める様に促した。

『人間はお前の様な者を受け入れない。サラという姉上もこの世界にいたとしても人間達は受け入れないだろう。殺されるに違いない』と

元々魔力なき人間を差別する文化に育てられていたジャキは、ビネガーの言葉を鵜呑みにした。

それからというものジャキは魔族として生きた。そしてラヴォスを召喚し、ラヴォスに復讐する事を誓った。
サラには二度と会えない。長い時のなかで完全に諦めていた。
地下で眠るラヴォスの力、その忌々しい力を日々感じさせられ、憎しみの日々を生きてきた。

魔族達にはラヴォスが繁栄をもたらすと嘘をついて、ラヴォスを呼び出す魔術研究に没頭していて、その最中の再会だった。

ジャキはラヴォスだけでなく母親のジールにも深い憎しみを持っていた。
ラヴォスが原因とはいえ、その原因を作り出したジールにサラは毎日ヘトヘトになるまで利用されていた。
ジールさえいなければ自身はこんな目に合わずにすんだのだと。

サラはジャキをこれからどうするか悩んだ。
魔王として人間世界に多大な迷惑をかけていること。死刑では到底償えない罪を犯していること。自暴自棄が発端とはいえ、姉として責任を取らなければならない。

サラ
「ジャキ、貴方がした罪は私が償います。

ジャキ
「それはどういう意味…まさか私の代わりに人間を頭を下げるのか!? 奴らは姉様を人間とは認めないぞ! 処刑されるぞ!


サラ
「…

ジャキ
「いくな! 姉上!



サラは振り返ることなく、飛び立った。


ーガルディア王宮ー

「これが魔王の姉である証拠です。」

床一面を氷にしてみせるサラ。

王宮は突然の事態に困惑していた。自身を魔王の姉だと名乗る者がやってきて、罰を与えろという。
王宮の大臣達は話し合いの結果、一つの提案を出した。

【サラの力を使い魔族を滅ぼすこと】

サラ
「恐れながら、魔族の中にも良い者は居ます。私は力を憎しみを生み出す事に使いたくありません」

大臣
「つまり、魔族と人間が融和できるように和平交渉を求めるということか…。どうなさいますか王様…


「この様な事態、ガルディア建国以来、始めてのことだ…。サラよ、そなたが本当に魔族を説き伏せられるのであれば、私はそれを信じたい。

大臣
「では、まずは和解書の調印からはじめますか…サラ殿、そなたの弟、魔王に和解する意識があるのなら、その書簡を持って参られよ。



そんなこんなで魔王軍とのガルディアの争いは休戦した。これからジャキは魔族を説得する仕事をし、サラ、ボッシュ、ハッシュは混乱した魔族社会の治安を監視、監督する仕事をすることになる。

人間側は酪農や農産業技術を魔族の文化に持ち込み、魔族が人間を食べないよう、襲わない様に教育したりした。、互いに我慢するところはあったが、ちゃちゃくと丸く収まっていったのだった…

そんな中、ガッシュによってシルバードが完成した。



ータイムマシンー

サラ達が戻りたい時間は、ジール王国崩壊前。ラヴォスを目覚めさせない歴史を作りたい。
だが、その思いを持ったままタイムマシンに触れると、存在が消滅しそうになる。
サラ達の存在が許されたのは、【ジール王国が崩壊した後、ラヴォスを倒す】という目的意識を持っている時のみだった。



ラヴォス戦ー

ジールはラヴォスに心を操られ、サラはジャキが消えたショックで呆然自失していた。ラヴォスと意識を繋げてコントロールを試みていたサラは、ラヴォスを抑えきる事が出来ずに目覚めさせてしまう。

タイムゲートにジャキと3賢者が飲まれるとき、サラはもう一人のサラをボッシュが飲み込まれるゲートへ念力で飛ばした。

ラヴォスが破壊の光を飛ばすと、天井が破壊され、海水が雪崩込む。

サラは達はバリアを張り、海中を漂う。
サラはラヴォスに触れ、意識を繋ぎ、心を沈める様に暗示をかけた。

ラヴォスもまたジールを操る為、その意識をジールに繋いでいた。ジールの意識がラヴォスを通してサラに繋がる。

その瞬間、サラはジールが暴君であった原因を知った。
嘘で固められたジール、悪意の固まりのダルトン
本当の敵はラヴォスではなく、ダルトンだった。

ジールはラヴォスが暴走した時の対策を計画していた。神殿と同化し、ラヴォスの攻撃を受け止めること。サラもそれを真似すれば被害を最小限に防げるかもしれない。

目覚めたばかりのラヴォスは暴力的で催眠の暗示に掛からない。
サラは神殿と同化する事に決めた。

その決断がジールの中に流れ込む。ラヴォスとサラ、ジールは心か繋がっていた。サラの決断を許したくないジールはラヴォスに抗い始めた。
ラヴォスジールに意識を繋いでいる。ジールの悲しみ、絶望が流れ込み、ラヴォスを支配した。

ラヴォスジールをコントロールしている様でいて、ジールの念に支配された。
ラヴォスはある意味、ジールの思いのまま動かされる。

神殿はジールの願望の元、ラヴォスの攻撃を防ぐ様に変形していく。
ラヴォスエネルギー使い果たす程に利用し、城の材質を硬質化していく。
ラヴォスエネルギーで作られた壁はラヴォスを封印するのに最良だった。

次にラヴォスの封印を誰にも解かれない様に、神殿を視認されないよう、透明処理を施した。
それだけでは不十分かもしれない。海底に安置するよりも、空の方が良いかもしれない。

ジールはラヴォスと共に永遠に空へ浮き続けた。



ジール神殿はラヴォスからエネルギーを取り込み神殿に還元する存在。
天空都市がラヴォスエネルギーを得る事はできず、天空都市落下は避けられなかった。

とはいえ、一度目のラヴォスの破壊よりも軽く済み、命が多く助かった。


サラには既にジール王国に興味は無かったし、中世でやる事が沢山あった。
そもそも古代に関わろうと思うと、体が光に包まれ消滅しそうになり無理であった。

サラは思い出していた。ヘケランリゾートの気楽なバイト日々を…





〜あとがきと付属の設定〜

ラヴォスを呼び覚まして不老不死魔術のエネルギーとする。この計画は国全体の思惑があっての事だった。王族の一人ダルトンとその派閥は内心で隙あらば王の座を奪わんとしていた。その勢力は大きく、いつでも王宮は血に染まる可能性があった。
そんな中、ラヴォスエネルギーを大量に使った不老不死計画が浮上し、ダルトンは目の色を変えた。国への謀反よりもラヴォスのチカラを利用することに意識が向いていたダルトン派達の気まぐれにより王宮は血に染まるを避けられた。

ジール亡き今、ダルトン王国が誕生する。
元々ダルトン派による圧政でジールは成り立っていた。今更ダルトンが政権を得ても、民にとっては何も変わらない
天空都市が無いだけで何も生活は不自由しない。
魔力を使えば雪の世界で生きる事は容易であるからだ。

ラヴォスは封印され、そのエネルギーはジールの管理下にある。この先、魔神機を建設してエネルギーを取られそうになっても、ジールが使い切る予定であり、この先は天空都市が建設される事はない。


だが、ダルトン王国が建設されたDT1000年に天空都市が作られた。
地殻に存在する別種のラヴォスからエネルギーを取り出す装置が開発された。これまでのラヴォスとは質が異なり、エネルギーを取り出す方法を探すのに人類は苦労した。

だが、その天空都市に住には厳しい条件があった。クロノ・トリガーの条件に適合する者しか住むことは許されない。

天空都市が存在しているのはクロノやサラが歴史に関わったからで、未来にてクロノやサラの行動に影響を与えてダルトン王国の存在が消える可能性のある者は、天空都市に入ろうとすると光輝き消滅する。

DT1000年の天空都市は神に選ばれた者しか出入りが許されない不思議な土地になった。

DT2000年、天空都市そのものが光り輝き消滅する事態に陥る。

天空都市が浮き続けることで未来世界に与える影響はクロノやサラにまで及ぶ。天空都市は視認されず、触れる事もままならない存在になるが、神の済む聖地として、古代人はこの故郷を捨てられなかった。

DC1000年ガルディア歴、クロノ達は全く気付かないが、はるか上空にて天空都市があり、ジール神殿が浮いている。
そこに住む人々はクロノとその周囲を監視するのを仕事としている。

人々が存在できるかどうかは、クロノの周辺が作る歴史に関わっているからだが、それはクロノの行動が脅威というからではない。

住人とっては大陸浮上1万年記録の更新を記念しての一万年祭の様なものである。クロノ達は監視されているというより、興味本位で観られている。









-



――――――――――――――――――――――――――――