クロノファン2020

主に二次創作置き場

■クロノと古代人トリガー

■クロノと古代人トリガー



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マールディア王女誘拐事件の裁判で死刑判決を受けたクロノ。3日後に処刑される予定であり、ルッカはクロノの脱獄計画を思案していた。

ルッカ
(クロノを助けるっていってもどうやってやればいい? 武器を使っての強行突入なんて上手くいくだろうか? 失敗すれば私も死刑になりかねない。成功したとしても両親は王宮からどんな罰を受ける事やら…)

ルッカ
(いっそ、クロノのお母さんも私の両親も、みんな連れて400年前の時代に逃げるか?)

ルッカはそれ以外のやり方を思いつかなかった。ルッカはクロノの母ジナと自身の両親タバンとララを連れ、中世のガルディアに保護を求めに向かった。


〜中世ガルディア〜

リーネ
「まあ、未来ではそんなことに…」

リーネはルッカに命を救われた恩があった。快く親の保護を受け入れてくれた。

リーネ
「…そういう事でしたら、誘拐事件そのものを罪に問わない様に、今の時代の大臣に遺言等を書かせましょうか? 未来でクロノさんが捕まらない様にすれば良いのですよね?」


リーネの機転を信じ、ルッカは現代に戻った。


〜城下街、触書の看板前〜

ルッカ
「どういうこと! クロノ、変わらず死刑判決されているじゃない!」

(リーネによる遺言が上手く後世に伝わらなかったの?)

(それにしても、全く変化が無いというのは不自然過ぎる。リーネはそもそも後世への遺言を残さなかったのでは…)

ルッカは思い出していた。中世で魔族が人間の姿に化けていたことを。
教会の中でリーネ王妃や大臣、王にソックリ化ける魔族がいた。助け出したと思っていたリーネ王妃が実は魔族がリーネに成すましていたとしたら。

(だとしたら消滅したマールを助ける事に成功した説明がつかない! マールが助かったのだから、リーネは助かった! まさかマールはリーネの子孫じゃなくて、リーネに成りすました魔族の子孫だったってこと? だからマールはクロノを助けようとしないんじゃ…)

ルッカは心配になってきた。もしかしたらガルディア王宮に住む者全てが魔族が成りすましてて、そんな場所に両親を預けてしまった。しかもタイムトラベルができる者だという事まで説明してしまった。


そもそも王宮の刑務所からクロノを脱獄させる事そのものが無理難題。いくら天才ルッカでも屈強な兵士達と戦える術は無かった。


「あのう、もしかして貴方は過去の世界とを行き来きしているのですか?」

悩んでいるルッカに声を掛けたのは、青髪のスラっとした美人だった。

「私、サラという者です。実は私達、訳あってこの時代に…」

サラはラヴォスと魔神機、タイムゲート、古代ジールの説明をした。
ラヴォスの暴走に巻き込まれて、タイムゲートに飲み込まれ、同じ時代にジールとボッシュも飛ばされ、行動を一緒にしているという。
千年祭でルッカ達がタイムゲートらしき物から出入りしているのを目撃し、気になって話しかけたという。


ルッカ
「え? 天の民? 魔法が…つかえる?

サラの話に半信半疑だったルッカは実演を求めた。

サラ達はルッカの前で奇跡の力を見せた、

ルッカ
(こ、これならクロノを助けられるかもしれない!)

サラ
「…クロノという方の命を助けたいのですよねね…もし良かったら私達が協力する代わりに、私達が元の時代に帰れるようにお手伝いをして頂けませんか?」

ルッカに断る理由は無かった。
時空の歪(タイムゲート)を探す機械さえ作ればいいだけの事。原理としてはゲートホルダーに発信機を付けてひたすらロボット歩かせる。ロボットからの信号が途絶えたらそこにゲートがある。作るのはテレポッドを作るよりも遥かに簡単だろう。

ルッカ達は早速行動を起こした。



サラ達は呪文を唱えると城にまるごとスリプルをかけて内部の人間を眠らせた。

クロノの救出は誰も傷つけることなく成功した。そしてクロノを連れてゲートへ逃げ込んだ。


ーマールー

王宮は脱獄者クロノを追いかける為に国中に包囲線を張った。
マールはなぜ王宮がそこまでクロノの命に拘るのか分からなかった。
裁判後、3日で死刑を執行するという異常な判決に、王宮の誰もが疑問に思わなかったのが不自然だった。両親でさえ、マールの意見に味方してくれない。クロノが過去で自分達の先祖を助けたのだと説明しても信じてくれなかった。
信じないだけでなく、マールを部屋から出られない様に幽閉した。

マールはルッカに助けを求めるしかなかった。


窓からカーテンやロープを吊り下げ城から出る。

マールが森に抜けてルッカの家に向かっていた。

ルッカ
「マール、貴方どうしてここに!」

マール
「クロノが大変なの! このままじゃ死刑にされちゃう!」

ルッカ
「わかってる。実は私達、今からにクロノを脱獄させに行くの。マールもあの人達を見たら驚くよ。」

奇跡を目撃したマール

マール
「うわー!すごいーい!」

クロノ脱獄成功後、中世の山中で何度も「すごいーい!」を連呼していたマール

サラ
「もし良かったらマールさんも、やってみます?

マール
「え! できるの!?

サラはマールの額に自身の額を当てて念を送った。
マールの頭の中に古代人の知恵が流れ込んできた。


サラ
「使える魔法の種類に限りがあると思いますが…」


マールはアイスを唱えた。
森の木々が氷る。
マールはケアルを唱えた。氷った木が何事もない状態になった。

マール
「わー! これすごいー! ルッカもやってみなよ。」


ジー
「どれ、では今度はわらわがやってしんぜよう。」

ジールはルッカの額に重ねた。

ルッカは火の魔法を覚えた。

ルッカ
「こ、この技術は物を溶接したりするのに便利かもしれない…巨大な工房が必要なくなる!?」

ボッシュ
「ではワシはクロノ殿へ…」

ボッシュがクロノに額を重ねるとクロノは雷魔法を覚えた。

ルッカ
「あー! 電気のコントロールいいな〜。私もそれ欲しいー!」

ボッシュ
ルッカ殿は欲張りじゃのう。ほれ、ワシの額ねてみなさい。」

クロノ達は初心者ができる一通りの魔法を覚えた。

マール
「もっと凄い魔法は覚えられるの?テレポートする魔法とか。」

ボッシュ
「残念じゃが、現代人と古代人は身体の作りが違うみたいじゃて、覚えられる物に限りがあるんじゃ。」

マール
「練習してもダメなの? 

ボッシュ
「多分無理じゃろうな…。テレポートの技術に特別長けた者から伝達させれても上手くいくかどうか…。テレポートはワシですらできない分野じゃから…」




〜ガルディア城〜

サラ
「マールさんとルッカさんの話を考慮すると魔族が王族に成りすましている可能性があると。

ジー
「人に成りすます魔族とはこれまた物騒な…。わらわ達の時代では考えられんことじゃ

ボッシュ
「ソックリに化ける等、我らでも難しいこと。それが魔族にできるのであれば、魔術のレベルが相当に高いとみた。皆さんは城の外で待って居て下され。」


サラ達はクロノ達を残し、城へ入った。

城へ入った瞬間、サラは強い魔力を感じた。
自分を超えるだろう魔力に恐れを感じつつも、どこか懐かしい思いを…

魔力の持ち主はジャキだった。
ジャキは魔族の王として魔族を訓練し、王族達に成りすまし、王宮で暮らしていた。


王族達は殺されていなかった。
真に王族に成りすます為に、ガルディア人から疑われない為に、王族達の知識が必要だった。
リーネやその他の王族は城の奥へと監禁されていた。


サラ
「貴方なんて事を!」

サラはジャキを叱った。

ジャキ
「ごめんよ姉様…だってこの国の奴ら、魔族に対する扱いが酷いんだ…」

ジャキの説明によると、人間と魔族との争いは争いと言えるものではなく、人間による一方的な魔族差別だった。魔族は人間に歩み寄る為に人の言葉を話したりもしたが、差別が無くならなかった。ガルディアの王になって人間側の体制を改めさせれば、無益な戦争は終わると思い、王族達を監禁した。

ジー
「だが、その為に必要な殺しもした。」

ジャキ
「死んではいないよ。アレイズで復活させたよ。
 でも、やっぱり、邪魔になりそうな人は監禁したけど…」

サラ
「監禁したってどこに? 

ジャキ
「ガルディア本土の人はガルディアに。それ以外の地域の人々は魔王城に」

ジャキの言葉は本当だった。魔族はジャキを王に据えてからというもの、人間を殺さなくなった。
人間を見ても決して自分からは襲わない。逃げる相手は追ってはいかない。全て魔族がその決まりを守れたとはいえないが、逃げる相手は追わないのが、今の魔族のポリシーだった。

クロノ達にも覚えがあった。一部のボス以外の戦闘は全て逃げることができた。

ジャキ
「逃げなかった魔族は保身に拘ったんだと思います。人間に攻め込まれたという不祥事がバレて降格されるのを恐れたんだと思います。それで口封じに殺しを…」

ジャキは人間に謝罪した。今後はサラ達と一緒に人間達と平和世界を作れる様に頑張っていくと誓った。

マール
「じゃあ、私、そもそもどうやって生まれたんだろ? 魔族が蔓延する王宮で王族達は監禁されているのに、どうして…

ルッカ
「クロノが現代で死刑判決になるのもオカシイわよ。人間と融和するのではなかったの?

本物リーネ
「私には今お腹の中にマールへと繋がる子孫、子供がいます。その子供は魔族の方達がしっかり育ててくれるそうで、私も母として、ある程度の自由は保証してくれています。
マールさんが光に包まれて消えた現象については私にも見当がつきませんが…

クロノさんの死刑判決は、恐らく未来での王宮内の体制が崩壊したのだと思います。魔族同士で権力争いが起きたりして、人間を差別、排除しようとする動きがあるのかもしれません。」

サラ
「だとしたら、たいへん! ジャキ、この時代の事は貴方に頼むとして、私は未来のガルディアを救いに参ります。

ジー
「まて、ジャキにとっては30年ぶりの家族との再会じゃろうが。そなたがここを離れる事はない。ボッシュが行けば良い。」

サラ
「では、お母様と私はこの時代に残り、魔族と人間の融和をサポートします。ボッシュは未来に行き来き…

ルッカ
「サラ、現代の件はほおっておいても大丈夫だと思うわ。こちらの時代がしっかりしているなら、今頃未来はクロノが死刑判決だなんて馬鹿げた状況にもなってない筈だから。」


ルッカの言うとおりだった。

クロノ達が未来に戻ると、魔族と人間の平和な世界が実現されていた。





〜1週間後のルッカ


ルッカが試作機のスイッチ押して完成を確かめていた。

車輪のついたロボットがゲートホルダーを装備して森の中を探索していた。

ルッカは、サラ達が元の時代に戻る為、時空の歪を探さなければいけない。

その道中、森奥にて試作機が反応し、時空の歪みを見つけた。

ルッカはその座標で、カメラをヒモでくくり、ゲートの中にほおりこむ。ジャッターがきられたのを確認してロープを引き戻し、カメラ撮影でゲートの向こう側を確認した。

「大丈夫そうね…」


ゲートの向こう側がどうかってるのか、写真だけで確実なことが判らない。

ルッカは一人では心細い。
クロノを呼び出しに行き、ゲートの先へと向かった。
その光景を城の窓から見ていたマール。

「ねえ? 二人共私を置き去りにしてどこ行こうっての?」

ルッカ
「マール、このゲートの先はどうなってるのかはわたしもまだ分からないの。王女である貴方を危険なところには行かせられないわ」


マール
「そんなこと知らない! 私はまた二人と冒険したい! だからついてく!」

ルッカの持っているゲートホルダーを奪ったマール。
「ダメだってば!」
ルッカがすかさず取り返すと二人は取り合い、もみ合いになった。
クロノがそれを諫める様に割り込むと石に躓いて転げた。三人とも倒れこむと、いつのまにかスイッチが押され、ゲートの中に吸い込まれていった。




ゲートから出た先で、三人は鋼鉄に囲まれた部屋にいた。


マール
「ここ、どこ?

ルッカ
「きっとゲートの場所が違ったから、違う場所から出てきたのね? それにしても…


クロノたちが今立っている床は薄汚れている。まるで何年も掃除をされずに、錆び付いているかのよう。また錆ともいえない独特の匂いがしたい。

健康に悪そうなガスの様な異臭に、三人は出口をさがした。
出口に通じるだろう扉は直ぐそばにあった。
だが、押しても引いてもびくともしない。
「どういうこと? ロックされているのかしら?」
鍵穴らしきものはない、ドアノブさえない。
錆びて良く見えなかったが、中央に模様らしきものが見える。
錆をこすりると、模様は光輝き、扉は空いた。
機械的な現代の自動ドアとも違い、重厚で分厚く、ピストルの弾なんてびくともしなさそうな自動ドアだった。

マール
「これって過去の世界じゃないよね?


ルッカ
「現代のどこか? 

マール
「もしかして未来だったりして。

ルッカ
「それだとワクワクするわね


扉の外にはフロアが広がっていた。フロアの壁も硬い人口壁で覆われていて、地震ではとうていびくともしない設計だろう事が伺える。
しかし、床や天井や壁の錆はさっきの部屋よも遥かに酷いあり様で、湿気やカビも壁面にこびり付いている。
フロアの先からら階段が見え、外に出られる。出口には仕切りも扉もなく、そこから風雨にさらされ、内部は汚染されている様子だ。

外に出ると今いた施設がドーム型の構造だったのが分かる。天井は透明なアクリルで覆われている様子で、内部に太陽光パネルが設置されている様にも見えた。

外は乾燥した大地が広がるも砂埃が視界を遮る程であり、息をするのもままならなかった。
深呼吸をすれば肺に砂が入り、病気になりかねない。
「ゲホゲホ、やばいよこれ」
三人とも袖口を口に当てて喋ってるから聞き取りにくい。、また上手く喋れても、砂荒らしが
三人の声をかき消した。

ルッカのメガネは砂まみれで使い物にならなくなった。

クロノ達はゲートのあった部屋に一旦戻って話し合った。

マール「どうするの? 
このまま元の時代に帰る?

ルッカ
「もしこの世界が未来なら、この惨状の原因を
知っときたい気がする


ルッカはスペアの眼鏡を取り出してかけた。

ルッカ
「クロノ、ちょっと先行って見てきてちょうだい」

ルッカ
「男なら言われる前に率先して行動するものよ。」

クロノは息を止める用に、小さく息をしながら走り出した。少ししするとコンクリートの地面、道路を見つけた。
息をすると口に砂埃が入る。
息を止め道なりに進むと、遠くに建造物が見えた。
息を止めて走って辿りつけるかは微妙な距離。ルッカのメガネ問題を考えると、手をとって連れて行くには無理かありそう。

クロノは一旦、二人の元へ戻って事情を説明した。

ルッカ
「私は大丈夫よ。ヘルメットをマスク代わりにするから。」

マール
「私も大丈夫。袖をマスクにするから。」


三人は道なりに進んだ。


砂埃による遠近感でクロノは錯覚していたが、建物は息を止めて走って行けるような距離にはなく、3km程離れていた。

先程と同じく、ドーム型の施設であるが、大中小、幾つも施設が複合してできてる。大きさも先程の数十倍の大きさはある。
先程と同じく階段があるものの、雨風を凌ぐようにバリケードで塞がれている。バリケードといってもビニール状の様な簡易的なものである。
誰か人が住んでるかもしれない。

クロノ達は階段を登ってバリケードの奥へと行った。

みすぼらしい姿をした人々がクロノ達を一斉に見ていた。

「お、まえさんたち、どこからきた?」
老人の一人が声をかけてきた。
ここから南の方角からだと応えると
「ここから南? あそこは設備も壊れて物資も全て無くなっとるはず。そなた、どうしてそのところから」
顔色と身なりの良いクロノ達をまじまじと見つめる人々。

マール
「一体何かあったんですか?」

人々は、期待を裏切られたようにがっかりした。気の抜けた表情のまま座ってうつむいた。
栄養失調。マールの質問の意図を理解することも、また応える元気も無いようだった。

「てっきり、そなたらが物資の豊富なシェルターにて、我らを救援に来てくれたと思ったんじゃが…」

マール
「食べ物がないの? 全く?」

「あると言えばあるんじゃが…」

老人はフロアの奥の方を指さした。

「ドーム内の設備が故障していて、セキュリティシステムが作動しているんじゃ。その先に、恐らく食料物資があると思うんじゃが…」


マール
「ねえ? クロノ、私達でとってきて挙げましょうよ。

ルッカ
「そうね…みんな体を動かせる状態じゃないみたいだし…


フロアに入る者を察知して、レーザービームで攻撃してくるドローンが少なくとも2体。当たったら火傷するレベルであり、何らかの防護服が
なければ先へ勧めない。
仮に防護服があってももう一体の巨大な機械が奥に一体待ち構えてる。縦5m横が5mはあろう機械が奥への道を完全に塞いでいる。
どの様な攻撃をしてくるのか考えるだけでもぞっとする。

ダッシュでレーザービームを避けても、あの大型機械をなんとかしないといけない。

クロノ達はサラ達から教わった魔法を使ってみるも、どういう訳か魔法が飛び出さなかった。

マール
「おっかしー、、どういう事だろう?

ルッカ
「魔法がどいった仕組みで使えていたのか不明だけど、この世界に魔法を使えなくさせる原因があったりするのかも


クロノ達は情けなくも諦めるしかなかった。
シェルターに残される人々が気になりながらも、話しかけるのもままならない空気。

「ええんよ、ええんよ、無理せんでも…」

老人はクロノ達を気遣った。

マール
「このドーム以外にも人はいるんですか?」

「なんとも言えんのう。北の廃墟を抜けた先には人がいるかもしれんが、あそこは不良の溜まり場になっているから、行くのは危険じゃぞ」


不良の溜まり場とはいえ、食料も得られない荒廃した世界では敵ではないだろう。不良に恐れるクロノ達ではなかった。




「おい、俺様をナメてると轢き殺すぞBABY

不良のリーダーは下半身とバイクが合体している。いわゆるサイボーグだった。
このサイボーグの舎弟達と思われるのが10人以上いて絡んでくるが、舎弟達はロボットそのものだった。音声機能はなさそうで言葉は発しないが、視線で睨んでくるのが判った。
鋼鉄の硬いフォルム、戦っても無駄な争いになるのは一目瞭然だった。


ルッカ
「興味深いわね。意識体をそのまま機械の中に入たのね…。電波でコミュニケーションをしているから音声会話の必要性がなく、その分のシステムが簡略化されているのね…」

ルッカはジロジロと不良ロボットを観察していた。


ジョニー
「俺が、認めるのは唯一スピードのみだせ!

 この道通りたかったら、俺と勝負するか、カネを払えBABY」


ルッカ
「私達、聞きたいことがあるのだけど、今って西暦何年なの?」

ジョニー
「俺が、認めるのは唯一スピードのみだせ!

 この道通りたかったら、俺と勝負するか、カネを払えBABY」


ルッカ
「……この世界が荒廃しているのは一体なんで?


ジョニー
「俺が、認めるのは唯一スピードのみだせ!

 この道通りたかったら、俺と勝負するか、カネを払えBABY」

ルッカ
「あんたバカなの?


ジョニー
「俺が、認めるのは唯一スピードのみだせ!

 この道通りたかったら、俺と勝負するか、カネを払えBABY」

ルッカ
「どうやらこいつらはロボット暴走族ね。何が原因かは知らないけど、レースを強要することに目的を見出しているみたい。」

クロノ達が無視して廃墟に進もうとすると通せんぼして、ブーブーサイレンを鳴らしながらタックルしてくる。地味に痛い


ジョニー
「俺が、認めるのは唯一スピードのみだせ!

 この道通りたかったら、俺と勝負するか、カネを払えBABY」



勝負する場合、クロノ達にバイクを貸してくれるという。
廃墟を抜けるまでのレースであり、勝っても負けても向こう側に行く目的を達成できる。

マール
「どうしたのクロノ? バイク貸してくれるってよ?」

マールはバイクに乗った。三人乗れる大型のバイクで車の様に窓が付いていた。砂埃を心配する必要はなさそうである。



ー廃墟を抜けてー

ジョニー
「どうだ? 風をきって走る感覚は最高だろー」

廃墟は元々はビル群地帯だったのか、砂地の少ないとこで、思った程砂埃はなかった。

ジョニーに再度話しかけるもさっきと同じようにオウム返しされた。


マール
「なんだったんだろ、あれ」


クロノ達は数キロ先に工場らしき建物と更に数キロ先にドーム城の建物を見つけた。

ルッカ
「あそこまで行くのはちょっと面倒よね…」

マール
「さっきの車、盗んじゃう?

ルッカ
「言い忘れてたけど、あいつら武装してわよ。ビーム砲が出せる様な筒あったし…」


クロノ達は工場らしき建物に向かった。

砂荒らしに紛れてベルトコンベアーや機械音が
が聞こえてる。
ようやく辿りつくと、入り口の扉は閉ざされてる。
無理にこじ開け様とすると警報音がなり響き、ロボットが何処からともなく現れて襲ってきた。
さっきのジョニーの連れてた部下ロボットに機種が似ていると気付いた頃にはビーム砲が飛んできた。

クロノ達は走って逃げた。
20mくらい離れたたら、ロボット達は帰って行った。

クロノ達はドーム型の建物を目指した。

最初にあった建物と良く似た建物であるが、
内部からロボットの機械音が聞こえる。
さっきの様な危険はロボットかもしれない。

見つからない様に進んで奥に行くと、コンピューターがいくつかあり、脇には壊れたロボットが一台横たわっていた。



コンピューターのスイッチを押しても起動する気配はない。
ロボットも同じだった。

ルッカ
「…これ、ちょっと分解してもいいかな?」

危険そうな武器を持っていないと判断したルッカは、ポケットから工具を取り出し、ロボを解体しはじめた。
ハンダゴテ等を器用に使い、適当な箇所を修理した。
「配線が断線してるだけなら、これで完成と…」

動きだしたロボはあいさつした。
「私はGKI008、セブンナイン社製、プロトコルタイプCです。」
「私に名前をつけてください」

とうやらメモリーがリセットされている様だ。

マール
「名前はロボがいい!」

クロノも考えたがマールのゴリ押しでロボに決まった。

「私の、名前はロボ、私は一体ここで何をしているのでしょうか?」

ルッカ
「前の記憶があるのね、貴方はここで故障して眠っていたの。多分、汚れと錆から判断して難ねも動けずにいたと思う。」 

「貴方達は誰ですか?貴方達がワタシを修理してくださったのですか?」

ルッカ
「ええそうよ。私の名前はルッカ、こっちがマールとクロノ」

ロボ
ルッカ様、マール様、クロノ様、ヨロシクお願いします」


マール
「呼び捨てでいいってば

ロボ
「はい。マール、ルッカ、クロノ。」


ルッカ
「ロボ、いきなりだけど、私たち聞きたいこと沢山あるの。

ロボ
「なんでしょうか? 

ルッカ
「今は何年くらい?

ロボは回答に困った。ロボ自身の記憶が消えていて曖昧だった。ロボはそばにあるコンピューターをいじくった。

ロボ
「施設への電力供給がストップしているからだと思いますが、供給できればコンピュータが起動して質問に答えられると思いマス」

ロボはドームから外へ出て、目を凝らした。
「あの場所で電力供給が可能になると思いマス」

ロボが指を指したのは先程クロノ達が寄った何かの工場だった。

ルッカ
「あそこにはロボットがバリケードをしていて入れなかったの」 

ロボは思い出した様に言った。
「ロボット…私の仲間でしょう…か? あそこはたしかロボット生産工事…ワタシは、たぶん、あそこで作られた。あそこにはワタシの仲間がいる筈です。あそこで電力を供給して貰いましょう。」


ロボと共に工場へ向かったクロノ達
ロボは扉の前の端末にコードを入力した。
扉が空き、中に入るクロノ達は

工場はロボットの各パーツから完成までを全自動で作られている。ロボットの材料となる資材は古いロボを解体したり、機械のスクラップされたものをリサイクルしたりで循環している。

ロボは施設内のコンピューターにアクセスし、電力供給の操作をした。

ロホ
「残念ですが私にはあのドームに電力供給する権限が与えられていいない様です」

マール
「そんな…

ルッカ
「他にないの? この世界の情報を調べる方法

ロホ
「既に電力供給されているドームであれば可能だと思いますが…

ルッカ
「もしかして、私達が最初にセキュリティドローンから逃げ出したドームとか? あの大きなロボットシステムを動かす為に施設内に大きな電力供給がされているはずよね?

ロボ
「そうだと思います。ですがもう少し、工場内を探してみましょう。情報端末ならここにもあるかもしれません。

ロボとクロノ達は奥へと進んだ。
製品化されて展示されているロボット達を見ていたロボは思い出した。
「そういえば施設内の地下に手動で電力供給を入れるとスイッチがあったあずです」

地下に降りると、
レバーが多様にあるフロアに到着した。
モニター越しにメーターや炉の燃料棒が水の中にあるのが見える。
ロボはテキパキとレバーを操作し、
「これで大丈夫な筈です」
と言った瞬間、サイレン、警報音がなり始めた。

ロボ
「あれ? 私、何か操作を間違ったな!?」

警報は20秒後に地下フロアを全て封鎖するというものだった。
「閉じ込められてしまうと、厄介です。急いで下さい」 

ロボはクロノの達を先導して走った。
クロノタチの背後で重厚な封鎖シャッターが次々と降りる
そのペースに間に合わず、降りたシャッターにロボが挟まり、メリメリと音を立てる。
「皆さん、早く」

ロボはクロノ達が進んだのを確認すると、前転し、ゴロゴロと壁にぶつかった。


ロボ
「なんとかなりましたね。ちょっと危なかったですけど。


帰りの道、ロボット達が襲ってきた。


「裏切り者、人間の味方する裏切り者』

ロボ
「どういう意味デス?

ロボット達
「忘れたのか、俺たちは人間にはしたがわない。マザーシステムに従う。

ロボもクロノ達も気付いていないが、この荒廃した未来では人工知能マザーを管理する人間が長らくいなくなっていた。いつしかマザーは人間の存在価値を忘れ、ロボットの為に活動する存在に変化した。ロボットではなく人間に味方するロボットはもはやロボットではない。そんな認識の元でロボット達はロボをスクラップにしようとしていた。
ロボを壊してリサイクルするのか、このロボット達の役目だった。

ロボ
「な、なんでこんな事を
 私たちは仲間ではなかったのですか?
 私達は人間を豊かにする為の存在ではなかったのですか。」

ロボット達はそのコトバは理解できなかった。


ロボット達はロボの電源を落とそうとスイッチのある背中を取ろうとする。
「やめてください」  
ロボの声は虚しく、響く。
背中を壁につけたロボは正面からロボット達の攻撃を受けた。
ロボが動かなくなると、ロボット達はスクラップ用のゴミ箱にロボを投げいれた。


「ニンゲン、排除、する」

ロボット達はクロノに襲いかかった。

マール
ルッカ! 一旦逃げよう!

ルッカは逃げなかった。
「クロノ! ロボットの弱点って何か分かる?」

クロノは首を横に降った

ルッカ
「足元よ。
 足元の重心が不安定だから足に攻撃を加えれば、簡単にコケる。」

クロノはルッカの言うとおり動いた。刀の柄を当てると、ルッカの言うとおりに簡単にこけた。

「このフロアのロボットは門番の様なセキュリティ専用ロボットではないみたい。全く武装されてないもの。恐らくロボットの運搬や廃棄担当専用の、いわば戦わないロボット。なぜ戦闘様のロボットがここに来ないのかは分からないけど、管理者がまだ未熟なのかも」

クロノがロボット達の注意をひきつけてる内に、マールとルッカがゴミ箱からロボを救出した。
二人で運ぼうとロボを引っ張るが、重くてなかなか前に進まない。
しかし、確実に少しずつ前に進んだ。
十分程、クロノはロボット達と格闘を続けた。
ルッカとマールはロボを工場外へ連れ出した。
ロボット達は工場の外まではついてこなかった。

クロノ達はドームに戻り、ルッカはロボを修理した。



「ロボ、貴方なぜ戦わなかったの?

ロボ
「私は兵器ではありません。戦う様にはプログラムされてません。

ルッカ
「でも逃げることばできたでしょう?

ロボ
「仲間なので話しあいをしました。話しが通じないので途中で動かないふりをしました。そうすれば直ぐに攻撃も終わるかと思いました。

ルッカ
「それでまた断線したのね…

ロボ
「横に殴られたり、前から殴られたりするのは問題ありませんでしたが、ゴミ箱に逆さになるのは致命的な様でした。

ルッカ
「というより、寿命ね。貴方の体あちこちに錆だらけで、いつまた断線して停止してもおかしくなかったから。一応、フルメンテしといたから。次からはちゃんと戦いなよ。

ロボ
「いえ、私には破壊活動はプログラムされてません。

ルッカ
「時と場合によりけりよ

ロボ
「時と場合? 

ルッカ
「貴方ね、あの分厚いシャッターにも耐えられるのよ。
ロボのフレームは汚くて古いけど、品質が良い。なぜ、スクラップされずに保管されてたのか気になったけど。きっとレア度が高いから持ち主は捨てられなかったのよ。つまり、それなりのロボスペックが高い。もしかしたら戦闘様ロボにもなれるかもしれないのよ。

ルッカ
「ちょっと試しましょうか。

ルッカはドーム内にいるセキュリティロボットにちょっかいを出した。

「ほら、ロボ。このままだと私殺されてしまうわ。私が死んだら誰か修理してくれるの?」 

ロボは動かなかった。

「スイッチを切るわよ」

素直に切られるロボ
マール
ルッカ駄目だよ。先ずは友達にならないと。
友達がピンチなときは友達は助けるんだよ。ほらロボ、私達、友達だよ。

ロボ
「友達…インプットされました。

マールもセキュリティロボットを挑発した。
ロボは戦って勝利した。

ルッカ
「人が矛盾をはらむ様にロボットも矛盾をはらむ生き物なのね…」



ロボいじりに夢中になってて忘れていたな、クロノ達は施設内に電力が供給されていた事を思い出した。


クロノ達はコンピュータを起動した。
ロボが操作し、データベースノアXYという画面が表示された。


ロボ
「現在、西暦2300年です」

クロノの達は荒廃した世界の原因を調べた。
その原因がラヴォスにあると知った。


マール
「え? ラヴォス? たしかサラさん達がラヴォスの生み出したタイムゲートで飛ばされてきたって、言ってたよね?

ルッカ
「そうよ、、魔神機でラヴォスを目覚めさせてしまってその後国がどうなったのか心配していた。

マール
「じゃあ、サラさん達がいた国もラヴォスにやられて…

ルッカ
「かもしれない。断言はできないけど、ジール王国の痕跡が歴史に残ってない事を考えると…

マール
「早く戻って教えてあげないと!

ルッカ
「まって! 私達が急いで戻ったところで、済んでしまった歴史は変わらないわ。


マール
「そんな…」

ルッカ
「私は今はこの時代、2300年の人達が気になる…。彼らは餓えている。今ならロボという強い味方もいるし、倉庫に配備されているセキュリティロボを倒せるかもしれない。


クロノ達はこれまで来た道を戻り、北の廃虚のまでやってきた。
ジョニーは相変わらず元気で、今度は4人乗りの車を用意してきた。

ロボ
「みなさん、お勤めご苦労さまです。」

ジョニー
「おうよ、そちらこそお勤めご苦労!」

これがロボ同士の挨拶のしきたり?なのか、三人もロボを見習ってあいさつした。



〜ドームシェルター〜


小型のセキュリティドローンは2体はロボがパンチを浴びせて一発だった。だが、2体を倒しても直ぐに奥から新たに2台あらわれる。

奥にいる大型のドローンが2体のドローンを常に配備する様に司令を出しているのか。
隙を見て奥の大型ドローンにパンチやタックルをするものの、びくともしない。大型ロボットもロボに体当たりをするが、互いに一歩も引かない。

しかし大型ロボには弱点があった。一応はドローンであるから、ヘリコプターの様なプロペラ機が取り付けられている。
プロペラ関節部分を攻撃できれば、バランスを崩して勝手に自滅しそうだった。
マールのボウガンを打ってみるが効果は無かった。


ルッカはロープを探した。ボウガンの矢にロープを巻いて飛ばせば、倒せる気がした。

「ロープくらいいあるよ」
ドーム内の爺さんがロープを持ってきた。
爺さんはロープを矢にくくった。

ロープはプロペラに絡まり、ドローンはたちまちバランスを崩し始し自壊した。

「やったぞー! 若いのががやってくれだぞ!

ドーム内に歓喜が湧いた。



希望を失っていた人々が地下の様子を見にくる。
「あんちゃん達ありがとう!」 「ロボすごいーい!』

人々は我先にと倉庫を調べた。
しばらくすると歓喜が止んた。
湿気やカビで、食べ物は朽ち果ていた。缶詰めもすらも駄目だった。
何十年以上、手付かずのまま放置されていたのだろう。
唯一無事だったのは野菜や果物の種だった。

「ワシらはもう諦めておった。生きることをだ。しかし、、こいつらは諦めなかった。誰かに植えられる事をここで待っておったのだ。」


老人は子供達を見ていた。
絶望した世界で子孫を残す様な下らない親の存在、あるいは止むなく出産するしか選択肢の無かった哀れな女性。
現代人からすればこの世界に住むのは苦行でしかないだろうが、子供達は植物の種に興味津々
だった。

無いのが当たり前の世界で、そこで生まれた者にとっては
一粒の種ですら価値が尊い

クロノ達は彼らを自分達の未来の子孫なのだと必死で認識しようとした。
彼らが不幸だという同情ではない。

中世時代の様にこの未来と歴史を変えられるかもしれない。
でも過去を変え、未来を変えたら、彼らの今この瞬間の笑顔も、全て存在しないことになる。



クロノ達が過去を変える価値と彼らの価値とを天秤にかけることは決してできない。
しかし、過去を変えるというのは、今時点の未来を否定し、天秤にかけていると同じく、比べる無礼をする行為の様に思えた。

要するにクロノ達は怖気づいた。
過去を変えるなんて未来人からすれば「遠慮はいらないからやれ」と言うだろうが…



ー謎の扉ー


倉庫の奥にには扉があった。
開かずの扉でクロノ達はなぜ開かないかわからなかった。
ドームの人々も試行錯誤をした。


ルッカはロボをチェックした。ドローンと戦って大きなキズは見あたらなかった。ロボ自身、加減していたのかもしれない。
帰る為のゲートホルダーもチェックした。

ひとつと壊れても代りになるものを用意しているルッカ。ゲートの安全性を調べる探査カメラにも異常がないかチェックした。

カメラにはゲートホルダーの機能があり、スイッチが入るか確かめる。

ルッカがスイッチを入れた瞬間、ゲートホルダーが光を放った。
突然の光で驚くルッカ。まちがってカメラのフラッシュボタンを押したのだと思い、ゲートホルダーのスイッチを押した。しかし、また光った。

ルッカが困惑している一方で、人々の騒ぎが聞こえた。
扉の前に人々が集っている。
ルッカがゲートホルダーのスイッチを押す度、扉が光る。

ゲートホルダーの機能と扉が共鳴し光あっていた。

「何これ、どういうこと?」

恐る恐る扉にゲートホルダーを近づけると、閉ざされていた扉が開いた。

どういうわけか、タイムゲートをこじ開ける為の周波数パルス波に反応して扉が開く仕組みになっている様子。


「扉の先はタイムトラベラーのみが入れ。という意味なの?」

ルッカはつぶやき奥の部屋に入った。

部屋には何もない。人が数人程度しか入れない狭い空間だった。しかし、そこは明らかに時空の歪みが見られた。


ルッカはクロノ達に集合をかけた。 

どうやら未来人の中にもタイムトラベラーが存在したこと。この時空の先に何があるか確かめなければいけないことを説明した。

安全性を調査する為にルッカはゲートにシャッター予約をいれたカメラが吸い込ませる。しばらくしてロープを手元に戻す。

ゲートの中の奥をカメラが撮影しても何も映らなかった。



今までは問題なく何かが撮影できた。

「私の出番ですね」 




ロボがゲートホルダーを手にとった。

クロノ達は不安が過ぎったが、先を知りたい好奇心もあった。

ロボはゲートに吸いこまれた。


ロボはゲートの先で生きてるのか死んでいるのか、

3分程経過し、ゲートが開きロボが戻ってきた。

「不思議な場所でした。ゲート先にいくつものゲートがあって、いろいろな時代に繋がっているのです。」 


クロノ達は戸惑いつつも、頷いた。

マール
「ここからなら、ドームの人々を連れていけるよね? 弱っていて動けない人も皆連れてけるよね。」

ルッカ
「それいいわね。過去の時代に行けば食料に困ることなんてないんだし」



ー時の最果てー

ゲートを抜けた先に部屋があった
部屋の中にはいくつかのゲートがあり、部屋の縁から見える外の景色は無限に続く黒の世界。

部屋には扉があり、その扉を空けると、もう一つ部屋がある。
部屋の真ん中に黒いスーツをまとった老人が鼻ちょうちん膨らませながらスヤスヤと寝ていた。

マール「もしもしー

マール
「ここは一体なんですかー

花ちょうちんが爆発した。

「おや、こんなところに人がくるなんて珍しいのう。

 ここは時の最果て、まあ、ゆっくりしていきなさい。」

ルッカ
「え? それだけ。時の最果ての説明は?」

老人は答えなく、また深い眠りについた。

マール
「どうするクロノ? 叩き起こす?」


時の果ての人
「そうじゃ。お主ら行く前にそこの扉に入ると良いよ。」 

そう言って、老人はまた眠り始めた

クロノ達は扉を開けた。

部屋の中央に小さな生き物がいた。

「お、久し振りのお客さんね。僕の名前はスペッキオ。スペッキオの周囲を壁にそって3回まわると良い事が…ってあれ? 君たちもう魔法が使えるの? だったら後は練習だね。頑張って」


マール
「あなた魔法を知っているの? もしかしてジール王国とか知ってる?


スペッキオ
ジールおうこく? スペッキオ、難しいこと判らない…

スペッキオも部屋の外にいる老人も呆けていて、まともに会話が成立しなかった。

クロノ達は諦めてゲートを調べることにした。

ゲートはいくつかあり原始時代へと繋がるものもある。クロノ達が注目したのは『ホテルリゾートへけらん』へと繋がるゲートだった。
クロノ達はまだ知らなかったが、中世で魔族と人間の融和が実現し、現代のへけらんの住処である鍾乳洞は人気の観光スポットになっていた。

目玉のアトラクションは渦潮で、鍾乳洞の奥の渦潮に潜ると、隣の陸地(ルッカの自宅近辺の浜辺)まで、あっという間に連れて行ってくれる。この天然のウォータースライダーは世界中で人気があり、へけらんリゾートの観光収入はガルディア東部を潤わせ、現代でホテルが乱立するビジネス競争時代へと突入している。
ゲートはホテルのロビー行きで、クロノ達は現地のパンフレットを片手に、へけらんリゾートを楽しんだ。


クロノ達は中世のガルディアに来ていた。

サラ
「まあ、クロノさんにマールさん、ルッカさんお久しぶりです。それから貴方は…」

ロボ
「はじめまして、ロボと申します。

ジー
「鉄の生き物が喋っておるぞ

マール
「未来のロボットなの。

ジー
「千年祭での歌う奴といい、人間はなかなか凄いものを作るな。

マール
「あれはルッカが作ったの。ゴンザレスっていうの!

ルッカ
「まってマール、話がそれてるわ。

マール
「あ、そうだったごめん!



クロノ達は未来の世界がラヴォスに滅ぼされていた事を説明した。


サラ「え? 未来の世界が?」


ジー
「まさかラヴォス神がそんな事を…わらわはその様な危険なものに縋ろうとしていたのか…

サラ
「お母様、だとしたらジール王国の民たちは…

ジー
「信じたくないが、この時代の歴史に我らの歴史の記録が欠片も残ってないことを考えると…


サラ
「クロノさん私を未来まで連れてってくれませんか? この目でラヴォスの被害を確認させてください。」



ジー
「まて、お前はこの時代で魔族と人間を束ねる仕事が残っておるだろうが。戦争は終わったとはいえ、あくまで名目上のことだ。わらわ達が今この地を離れる訳にはいかん。


言い争っているとボッシュが名乗りをあげた。

ボッシュはサラやジールと比べると戦力が遥かに劣っていた。


〜時の最果て〜

ボッシュ
「こ、この気配はまさか!」

ボッシュは周りを見渡すと走りだし、扉の先にいる時の案内人の元へと走った。

ボッシュ
「お、お前さんハッシュか?」「よく生きておった。」

時の案内人
「はて? お前さんは一体…」

ボッシュ
「何を訳の分からないことを言ってるのじゃ!   

 ワシじゃよ! 弟のボッシュじゃ。
 お前さんあれからどうなった? ワシがタイムゲートに飲まれた後、お主もタイムゲートでここに飛ばされて来たんか?」

時の案内人
「はて? 弟…、ゲート? ワシは、時を彷徨う者を人じゃが…」

ボッシュは気付いた。この空間全体からハッシュの魔力を感じる事を

ルッカ
「どうしたのボッシュ? 貴方顔色悪いわよ?」

ボッシュは思った。ラヴォスが生み出したタイムゲート、ハッシュが飲み込まれた先に恐らく出口は無かった。
時の狭間で永遠と彷徨い、肉体が朽ち果てる前に、せめて同じ様な被害者を出さない様にと、魔力空間を作り出した。時の中を彷徨う者を集め、案内する仕組みを作ったまではいいが、自身の記憶までは残せなかった。

スペッキオは飲まず食わずでも千年生きれる特殊生物。主人であるハッシュがこうなって、さぞ、寂しかったに違いない。

スペッキオ
「大丈夫。世話をしてくれる人がいた。もう100年くらい来てないけど。」

ボッシュ
「一体誰がお前さんの世話を」

スペッキオ
ガッシュ!」

ボッシュ
「本当か! ガッシュがここに? ガッシュは今どこに?」

スペッキオはガッシュがやってきたゲートを指差した。

スペッキオが差したのは原始時代へと続くゲートだった。
「ここから良くごはんを持ってきてくれた。その後、こっちのゲートを良く通ってた。」
スペッキオは未来へのゲートを指差した。



〜未来のゲートの出口〜

ゲート前の扉、古代ジール王国のセキュリティシステムに使っていたの同じ模様の扉を発見したボッシュ

ボッシュは悟った。
ガッシュは未来に飛ばされた後、どうにかして元の時代へ帰ろうとゲートの痕跡を探したに違いない。ゲートを開く装置かあるいは魔術を開発し、時の最果てへと続く道を見つけた。

最果てには原始時代から既に誰かが、やってきていたのかもしれない。時を彷徨う者が最果てにて保護され、そこから元の時代へ帰れたか、そこからどうしたかは分からないが、、きっとガッシュもそうだったのかもしれない。ガッシュは原始時代へと続くゲートを見つけたはいいもののジール王国へと帰る道は見つからなかった。

最果てから古代人の誰かが助けにきてくれるのを信じていたのかもしれない。
ジール王国の紋様を扉に残して、自身の存在に気付いて欲しいというメッセージを残したに違いない。

ボッシュとクロノ達は未来を手分けして捜索した。



南部の大陸のドーム内にヌウを発見した。

ボッシュ
「ヌウ? いや、普通のヌウとは違う。これは…

ボッシュ
「これはガッシュの魔力…あやつ死ぬ前に自身の意識をヌウの中に押し込めたな。」

ヌウには目的がプログラムされていた。
時の翼シルバードの制作とメンテナンスだった。

ガッシュの奴、死して尚、研究をしておったか…」


時の翼、シルバード。
シルバードが行ける時代は時の最果てにあるゲートから行ける時代である。
シルバードは時の最果てとシステム的にリンクしていて、古代には行くことはできない。
今行けるのは原始、中世、現代、未来への4つだ。



ジー
「そうだったか…未来にはガッシュが、そして最果てにはハッシュが…」

ボッシュ
「とても残念です。」

ジー
「だがまだ終わった訳ではなかろう。ルッカ殿が開発したゲートを探す装置、あれがあるではないか。」


ジー
ボッシュ、せっかくだからその装置で原始時代も調べてきたらどうじゃ?。どんな世界が待っておるのか、わらわは興味津々じゃが今はまだここを離れられん。」


クロノ、マール、ルッカ、ロボ、ボッシュは原始時代へと向かった。シルバードは三人乗りなので2回に別けた。


ルッカ
「なんだか騒がしいわね…」

ボッシュ達の場所から原始人の村へは少し離れている。

ルッカ
「…ロボ、ちょっと様子を見てきなさい。」

原始人は何やら宴の用意をしていた。

ロボは走って戻ってきた。原始人を引き連れて

「うんばばうんばうんばば!」
(おまえ達あやしい奴!)


原始人達十数人は5人とシルバードを取り囲んで槍で威嚇した。

「うんばば!うんこばば!? ばつんつば、はらま、たさら、したあら!」
(お前達どこの部族の者だ?まさか、恐竜人の手先ではないだろうな!)


ルッカ
「どうしよう、何言ってるか全然わかんないや…

いきり立ってる村人の間を割くように族長の娘エイラが現われる

エイラ
「がばちょ、がばんちょ、ちょんばから、くじら?
(エイラ質問ある、お前たちの後ろの、デカイもの、なに?くじらか?)


エイラはシルバードを指してジェスチャーする。

クロノ達がどうして良いかわからず、もごもごしていると

エイラ
「ちょなんかん、さむにだはむにだおっぱー?」
(お前たち、もしかしてエイラの言葉通じてない?)

エイラがシルバードに近付いてコンコンと叩いた。
匂いも嗅いでいる。
かじりつく。

エイラ
「う、食べられないし、おいしくない…」

エイラはクロノ達のニオイを嗅いだ。


「おまえたち、恐竜人の匂いしない。かといってエイラ達とも匂い違う…」

エイラ
「みんな集まれ! 新しい部族の発見だ!」


エイラの掛け声と共に村人が一斉に集まる。

クロノ達はどうしていいかわからずビビリまくる。

ルッカ
「ねえ? 逃げた方が良くない?」

マール
「私達、もしかして丸焼きにされて食べられる?」

ボッシュ
「安心せい、なんかされたら魔法でズドンじゃ。」


村人はクロノ達の予想に反して歓迎ムードだった。
村は恐竜人に対抗する為、部族同士の繋がりを求めていて、クロノ達を宴に歓迎する。だがクロノ達は言葉が理解できず、どういう意図があるのか分からなかった。


エイラは踊り歌い、その後酒をメンバー達に注いだ。
クロノ達は酒飲みファイトに巻き込まれてエイラと共に酔いつぶれた。

翌朝、二日酔いと共に目覚めるメンバーは、
エイラと族長から、根堀りはほり質問攻めにあった。


ルッカ
「こ、困ったわね…」

マール
「なんだか真剣そうに話しているけど、

ボッシュ
「酒もたらふく飲めたし、このままバックレるかのう。」

ロボ
「言語パターンを収集しました。今から原始言葉を翻訳できますが、どうしますか?」



ロボ翻訳により、クロノ達はこの時代で起きている事態をおおよそ理解した。

ルッカ
「恐竜人と人間の戦争か…」

マール
「手を貸しちゃう? 私達、魔法のやり方覚えたしめっちゃ強いよ!」

ボッシュ
「争いは好かんのじゃが…」


クロノ達が難色を示していると、遠くから悲鳴が聞こえた。

村人がエイラの元にかけよる

「大変だエイラ! 北の村に恐竜人が火を放った。しかもキーノを連れ去っていった。」

エイラ
「どうしてキーノが!」

「恐竜人のアザーラが言ってた。キーノを返して欲しければディラン城へ来いと。」

エイラには心当たりがあった。以前に村の近くの恐竜人の巣穴に単独で攻め込んだことがあった。その際、親玉のアザーラに逃げられた。。エイラと親しいキーノを捕まえて、アザーラはエイラに復讐するつもりである。

「エイラ行く! ティラン城に乗り込む!」  

ルッカ
「一人では危険よ!」

マール
「私達も協力するよ!」

ボッシュ
「ワシは酒の酔いを冷ましたい!」


一行はエイラに連れられ、北にある山からプテラに乗った。 

ルッカ
「え? マジこれ乗るの?

マール
「だ、大丈夫かな…

ボッシュ
「ワシ、高いところ苦手じゃー!」


アザーラのいるティラン城は高さ1000m。そびえ立つ崖の上にあった。

外敵からの侵入を防ぐ為に建設されたのだろうが、この高さは人の足で容易に上り降り出来るものではない。この場合、恐竜人にとっての外敵とは人間だけを示す訳ではないのかもしれない。同族の恐竜人か、あるいはもっと異なる意図があるかもしれない。

空を飛ぶプテラもそうだが、高いところから離着陸できる方が生活の利に叶う。恐竜人がもし翼竜系統であるならば、高さ1000mの崖上は快適な生活拠点になるのかもしれない。

ルッカ
「少し酸素が薄いけど問題ないレベルね。」

マール
「なんで、こんな高いところに城があるのー?」

ボッシュ
(高いところ怖いー! でも酔いが覚める!)


6人が降りると、エイラは真っ先に門へと走った。

ルッカ
「まって! 一人では危ない!」

マール
「ねえ? 恐竜人ってどんな顔しているのかな?

ボッシュ
「…」
ボッシュプテラに酔ってゲロをほんの少し飲み込んだ。


全員が城に入ると門が閉じて鍵が掛かった。

ボッシュ
「どういうことじゃ?」

ルッカ
「え? まさか自動ロック?」

マールとルッカが反作用ボムを使い、ロボがタックルしてみるがビクともしない。

ルッカ
「これが原始の科学技術なの? これってもしかして私達の時代よりも上なんじゃないの?」


マール
「恐竜人って一体何なの? 魔法使える様になったけど、自信なくなってきた。

ボッシュ
「気をつけるんじゃ。こんな丈夫な扉を作れるのなら、きっと武器等も作れるじゃろうて。」


5人が玄関でもたついているとエイラが立っていた。
エイラは既にキーノを救出していた。

エイラ
「どうしたんだ皆?」

ルッカ
「閉じ込められちゃったの…」




ルッカ
「恐竜人を探して開けて貰うしか無いわね…」

一行は城の奥へ進んだ。

現代にもまだ存在しないエレベータにクロノ達は驚きつつ、城の上階へと進んでいく


最上階から向かいの塔へと渡り廊下が続く


ルッカ
「変ね…恐竜が待ち伏せしているかと思ったけど、誰も居なかったわね…」

マール
ティラノサウルスみたいのが出たらどうしようかと思ってたけど、出てこなくて良かったよ。」

ボッシュ
(ワシはゲロが出なくて良かったよ…)



渡り廊下の先ではアザーラが空を見上げていた…






アザーラはエイラを見ると、「少し早かったか」と呟き、塔の奥へと消えた。
しばらくすると、アザーラは巨石型のティラノサウルスの背に乗り現れ、エイラ達に向かって突進してきた。


廊下を埋めつくす程の巨体が、もうスピードで突進してくる。

反応の遅れたルッカとマール。
エイラが端に押し出してかぶさる。

地響きによろけたボッシュ。キーノが押し出して被さる。

ロボは立ち尽くし、クロノは巨石の足元にすべり混んで避けた。

ボウガン、ハンドガン、魔法で巨石に攻撃を加えるが全く効き目がない。


突進を繰り返すので、アザーラを魔法で狙うにも座標が合わない。

エイラは口笛を吹き、プテラが橋に近づくも、巨石の突進で誰一人乗る事ができない。

プテラは上空を旋回しながらエイラ達の攻防を見守っていた。

エイラは口笛を橋の下に向けて吹いた。

プテラがその意図を理解して、橋の下からクロノ達を受け止めようとする。たが巨石の吐く火でプテラ達は上手く立ち回れない。

突進しながら下に向けて火を吐くティラノサウルスは、首を下に伸ばしている。
その首にエイラが飛び乗り、アザーラに拳をぶつけた。

アザーラは吹っ飛ぶ事なく耐えた。

アザーラの周りには見えないバリアが張られているかの様にエイラの攻撃が届かない。

何度もパンチを加える。
エイラが驚いているとアザーラはニヤリと笑い、エイラを振り落す為ティラノを回した。

エイラがよろけて落ちそうになったが、
キーノが直ぐ後ろにいて支えた。エイラはパンチに夢中でキーノが後ろにいた事に気付かなかった。

「エイラ一人で無茶する。ダメ。」


二人は振り落とされない様に龍の背にしがみついた。


エイラ
「アザーラ! そこから出てきてエイラと勝負しろ!」

エイラ
「大地のおきて! 強いものが正しい! アザーラが言った言葉だぞ!」

エイラ
「隠れてるのは卑怯だそ!」

エイラが話している隙にプテラがクロノ達を助けようとするが、いつまた突進されるのか分からない中でプテラ達も尻込みしていた。

エイラ
「恐竜人、人間の言葉話せるのアザーラしかいない! アザーラ、どうして人間の言葉を話せるのに人間を襲うんだ!」


エイラ
「何故、人間と恐竜人、戦う必要がある!」


エイラが喋ろうとするとキーノが立ち上がった。

キーノ
「ずっと疑問に思ってた。

 アザーラ、なぜ僕を殺さなかった。

 僕をエサにして、城に皆を閉じ込める目的なら、僕を生かしておく必要なんて無かった筈だ。

 それに…
 僕達を殺すなら、なぜ、城に恐竜人がいないんだ。

 アザーラ、君は最初から僕達を殺す気なんてなかった。

 今だってそう。僕をいつでも振り落とせるのに君はやらない。


 なぜなんだ?

 君は僕達に何をさせたいんだ。」


アザーラ
「させたい?だと…」
 
アザーラ
「お前たち無力な猿に何ができるというんだ…

 何もできない。何もできないんだ…」

キーノ
「キーノ分からない。エイラ、キーノも恐竜人と闘いたくない。戦わないということ、できる。

エイラ
「そうだ! アザーラが恐竜人、みんな、説得してくれれば、エイラもエイラの村のみんな、喜ぶ。」

アザーラは空を見上げた。

エイラ
「アザーラ、話しあおう!」
    「まだ…見えないか…」
エイラの言葉にアザーラの声がかき消された。
エイラ達が「何が見えるのか?」と聞き返したのであればここでのクロノ達のシナリオも大きく変わったのかもしれない。


エイラ達の会話のやり取りの隙にボッシュとマールとルッカプテラに救出された。

それを見たアザーラはティラノでクロノ達に突進、噛みつき攻撃をした。

苦労して寸前で交わすクロノに対して、ロボはティラノの動きを計算し、ちょこちょこと無駄のない動きで避ける。

ティラノには首輪がついていた。
鎖は繋がれていない。根本から30m程あり、ズルズル引きずっている。

クロノは塔の中に鎖を繋ぐ杭の様なものがあると考えた。

鎖を繋げたらと考えたが、重くて持てる代物ではない。
案の定、どうにもする事も出来ず、杭のあるフロアで逃げ惑った。

アザーラはどうやって重い鎖を外したのか。

クロノは奥の部屋へと逃げた。
奥の部屋は狭まっており、ティラノは入れない。
クロノは一先ず助かったと息をすると、目の前に椅子とモニターの様なものを見つけた。
椅子もモニターも石で作られてる様なデザイン。
座ってみるも座り心地は悪くない。

竜人のコンピューターだろうか、未来で見た形とも違い、スイッチがない。画面に触るも何も変化がない。

画面には隕石が大地に衝突する光景が繰り返し映っていた。

現代では隕石についての知識がまだない。クロノは映像が何を意味するのかこの時は分からなかった。

巨石龍は渡り廊下へと戻っていた。
既にロホもプテラに乗り込んでいる。

プテラ達はエイラとキーノ、クロノを待つ為に旋回している。


巨石龍は廊下の中心にて止まり、アザーラは空を見上げていた。

静かになったアザーラにプテラが近づこうとするが、罠と思い、近づけないでいる。


エイラがこれまでとは違う口笛を吹き、キーノに合図を送ると、二人は大きく飛び、橋から飛び降りた
プテラは急降下して、二人を受け止めた。


クロノが鎮かな渡り廊下を不思議に思い恐る恐る覗こうとすると、マールが叫んだ。

クロノも飛び降りる様にと。
エイラもキーノも飛び降りたから、大丈夫だという。

クロノは高さにビビった。いつ襲ってくるか分からない巨龍も恐れた。
不安と不安が入り交じる中で、ロボのセンサーがラヴォスを探知した。



ロボ
「皆さん大変です。空に…ラヴォスがいます。」



ルッカ
「え? ラヴォスが上に? どういうこと?


ロボ
「予測約、直径1km、質量80万トン、秒速30km。ラヴォスがここへ落ちてきます。
このあたりの地表直径10kmが吹き飛ぶ計算です。」


ルッカ
「え? 

ルッカはロボの話を聞いてもピンと来なかった。
クロノ達いたDC1000年、家庭に電気や冷蔵庫はあれどテレビはない。隕石衝突等というCG映像は見る機会はない。せいぜい一部の専門家が仮説として本に執筆しているくらいで、ルッカが都合良く隕石の様なラヴォスの破壊エネルギーを判るはずなかった。

『直径1km、質量80万トン、秒速30km、それが落ちてきて直径10kmが吹き飛ぶ』ということの意味を冷静に頭にインプットするには10秒の時間を要した。


ロボ 
「グズグズしているヒマはありません!
 ラヴォス衝突まで後40秒しかありません。」


ロボはプテラから飛び降りてクロノへ走った。
関節部位がカャシャカシャと音を立てる。

クロノを押し出し、ロボも廊下から飛んだ。

クロノとロボをプテラがキャッチしたとき、

上空が小さく赤光りした。


アザーラはまるで花火見物するかの様に空を見上げていた。もしかしたらバリアで自分だけは助かるとか思っているのか?


ラヴォス衝突まで残り30秒でルッカは顔面蒼白になった。

「や、ヤバイ!とにかく皆逃げて!ここから離れて!」

ルッカは死にものぐるいで叫んだ。

ロボとルッカ以外、問題の重大性を認識していない。

一般的に隕石が大気圏に突入して減速が期待できるとしても、最大でも半分の秒速15km程度にしかならず、このラヴォスは時速5400kmで地表に衝突する。

鳥特有の地場の変化を察知して逃げるとしても、大気圏に突入してからでは手遅れである。


ラヴォス隕石が途方もない磁場を生み出しているのなら、プテラが危険を感知することもあり得ない説ではない。
ラヴォスは地表に衝突すると古代へのゲート、(時空の歪)を生み出すので、プテララヴォスの異常な量の地場を感知することも、有り得ない話ではない。
あり得ないとクロノ達はここで全滅するしかなくなる。


そんなこんなで

プテラが気を効かせて飛び立った。

プテラが異常な地場に驚いて、我武者羅に飛んだ。
そういうことにして…
運良くクロノ達は助かった。



アザーラの目的は何だったのか。

ティラン城の秘密は一体何なのか。

クロノファンなら妄想で補うしかない…




ラヴォスが衝突したところは火山が噴火したかの様に上空まで砂煙を舞い上げた。
衝突の高エネルギーで砂の原型すらとどめない微粒子が空を覆う。

砂埃が鳥ですら届かない上空にまで巻き上げられるなら、鳥も含めて絶命するだろう。地上で生活するニワトリの様な鳥なら、とうだろうか?

一説によると、巨大隕石が衝突すると、その衝撃による高温高圧で土の分子は細かく分解され、その煙は数ヶ月、あるいは何年も上空を漂い、光を遮るという。

微粒子の砂は雲の水分と吸着し重力と共に落ちるので雨が降る。その隙間から光がある程度地表に届くとしても常に空に雲がある訳でもない。

空の全ての雲が雨になったとしても、ラヴォスが生み出した煙は多量に残るとして
イオカ村は曇り空の中で生活することになる。
気温はぐんぐん下がり続け、体温調節の苦手な爬虫類系は絶滅するだう。




エイラは水辺でプテラの身体を洗っている。藁の様なものでゴシゴシしている。

ラヴォスの衝突を近くから巻き込まれたプテラとクロノ達は全身黒ススまみれで、水辺でそれを落としていた。

プテラ達はエイラの世話になり、クロノ達も見様見真似でエイラを手伝った。



ーイオカ村、エイラの家ー

エイラ
「クロたち、これからどうする?

クロノ達はラヴォスの生み出したクレーターが気になった。

エイラ
「ならエイラも連れてけ。恐竜人から、クロたち守る」


クロノ達がクレーターに近付くと、目視で可能な程に空間の揺らぎが見えた。

クレーターの中心点でゲートを発見したクロノ達。


ルッカ
「エイラ、この先はどんな危険が待っているか分からないわ。」

エイラ
「エイラ行く、危険、大丈夫。闘う、好き!」

マール
「なんか、寒いな…昨日と比べて今日やけに寒くない?

ボッシュ
「もしかすると、ラヴォスのせいかもしれんな。あのあと、大雨が降って、今もまだずっと曇り空じゃ。」

ルッカ
「なんか嫌な曇り空ね…早く晴れたらいいのに…」




原始時代から古代までは60億年以上の間がある。
その間に地殻は大変動し、隆起し、ゲートのある場所は山脈になっていた。
故にゲートの出口は山脈内。洞窟内部、6人はまず洞窟から外へと通ずる道を探さなければいけない。
原作設定の様に都合良く出口はなく、洞窟内には魔族の祖先が住んでいた。

ラヴォスの影響で人間は魔力を使える様に進化し、氷河期に適応したが、魔族の祖先はまだ知能が足らずに魔力を都合良く扱えなかった。魔族祖先は魔力の応用力が足りず、偏った力を持っていた。例えば寒い古代においては体温調節機能のみが飛躍的に発達した種が生き延びていて、熱や冷気に強い防御耐性を持っていた。現代においては、その機能が退化した種も繁栄できているとはいえ、この時代の魔族先祖は進化の途上にあった。

王国ジールの勢力で住処を追われ、人目を避ける様に洞窟に住んではいるが、ジール王国が滅亡してからは、彼らは急激に繁栄する事ができ、中世、現代の様な魔族へと進化することになる



〜暗闇の洞窟〜


「ライト!」
ボッシュが魔法で光を灯した瞬間、魔族が目の前にいた。

クロノ達の悲鳴が洞窟に響き渡る。
だが一番悲鳴を上げたのは魔族の方でボッシュは比較的冷静だった。

突然住処に侵入してきた人間に驚き、魔族達は逃げ出した。

「ここはどこじゃろうか…」
ボッシュは風の流れを視覚化する魔法と方位を知る魔法を使い、出口を探した。

マール
ボッシュって変わった魔法が使えるんだね…他に何が使えるの?」

ボッシュ
「ワシはジール王国では生命魔学の賢者と呼ばれおった。回復や蘇生、何でもできるが、個人的に得意なのは魔法道具を作ったり修理したりじゃな。たとえば剣に命を吹き込むこともできるのう。」

エイラがクシャミをした。露出がはげしくぷるぷる震えている。

ボッシュが魔力で熱を送った、

ボッシュ
「お前さんらはワシらから大雑把な魔法のやり方しか教わっておらんから、力のコントロールは難しいのかもしれんのう。 基本原理はファイアで、体温調節にも使えるじゃが…  

マール
「力のコントールっていうけど、どうやったらいいの?」

ボッシュ
「そうじゃな…
 魔法を使うとき、魔力が体から抜け出る感覚あるじゃろ? その抜け出る方向ってわかるかの?

マール「体から↑に抜け出る感じかな…


ボッシュ「なら上から下に抜け出る感覚をイメージしてファイアを唱えてみたらとうかの?


マール
「あ、出た。

 ルッカのよか小さいけど出たよ…」

ボッシュ
「魔力が抜け出る感覚を少なめでイメージして使うと火を出さず、熱を生み出せる筈じゃが…」

マールは自分に向けてファイアを放った。

「ほんとだ! 一瞬体がポカポカになった!」

マールはファイア呪文を連呼した。

ボッシュ
「本来なら無詠唱で魔法は使えるんじゃが、お主ら古代人じゃないからのう…。
 体質的に無理じゃろうな…」



ルッカ
「タイムトラベルをする魔法ってないの?」

ボッシュ
「それは兄、ハッシュの専門分野じゃった。ワシはあまり詳しくない。ワシが知ってるのはせいぜい未来への擬似的ワープくらいかの…。

ルッカ
「ワープ?」

ボッシュ
「スロウ系魔法があるじゃろ? 空間に向けてスロウを重ねがけして、その空間の時間の流れを極端に遅くするんじゃ。その中に入れば、外の世界は早いスピード進むことになる。これがある意味での擬似タイムトラベルじゃ」

ルッカ
「へー。じゃあ、原始時代から帰れなくなっても大丈夫そうね…」

ボッシュ
「かなりの魔力を使うからのう。巨大な魔法陣でも描いて代用魔力を得ないと実用性がないのう。原始時代とかラヴォスがまだ飛来しておらん時代からだと、魔法陣で得られる魔力も少ないから現代まで帰るのは不可能じゃろうな…」


ボッシュ達は洞窟を抜けた。
一面雪の降る世界。ボッシュにとってな懐かしい景色。


ボッシュ
「あ、あの光の柱は!」

白い世界で、天から伸びている光柱を見てボッシュは喜んだ。

「良かった! 天空都市は健在じゃ!」

「なんじゃ〜
 ビビらせおって! 
 未来の映像は所詮未来の出来事。
 これでジール様に胸を張って報告ができる


 後はダルトンの問題だけじゃが、奴が王宮をどの様に私物化しておるのか、考えるとゾッとするのう。」




〜入国管理局〜

「武器はここであずかりますので…」


ボッシュ
「ご苦労さん」

担当者
「やや! ボッシュ様ではありませんか! 失礼しました。どうぞこのままお通り下さい…」




〜王宮〜

「おい爺!」

「はい、なんでごさいましょうかジャキ様」
振り返り、いつもの癖で反射的に答えたボッシュ
ジャキはタイムゲートに巻き込まれて中世で魔王の仕事をしていたはず。なぜ、どうして、と
ボッシュの頭は混乱していた。


「爺! 服がボロボロじゃないか! そんな姿で王宮をウロウロするとは教師の恥だぞ!」

「あと、そこの女! ほとんど裸姿じゃないか! 一体王宮を何だと思っているのだ! おい爺、聞いているのか? 早く女を連れて行け」

「申し訳ありませんジャキ様、直ぐに着替えてまいります」
ボッシュはいつもの癖で応対した後、エイラを世話役に預け、自身の部屋へと向かった。

ジャキはロボを珍しそうに見ながら、あちこち触っていた。


「姉様ー!」
ジャキはサラを呼んだ。面白そうな玩具を早く教えてあげたい。

「どうしたのジャキ」
サラが奥から出てくると、クロノ達に挨拶をした。
 

サラ

「皆さんは異国の方でしょうか?」

マール「え?どうして?」

サラ
「お召し物が見た事ないものでしたので」


マール
「え、えと、私達遠くの所、ガルディアから来たのです」

サラ
「ガルディア…
 ああ、あの国ですね。あの国は…
 良い所ですよね〜」

サラは王宮の鏡でもある。。メンツを重んていて『知らない』とは言えず、話を合わせた。


ボッシュは部屋で着替えていた。
4着ある筈のいつもの作業服が1着ない。
ボッシュはカレンダーを見て思い出した。この時代のもう一人の自分の存在を。

もう一人のボッシュは今、ラヴォス実験に備えて、いざという時の為に魔神機を破壊する剣を作っていた。
ラヴォス実験は2日後に迫っていて、この時代のボッシュは急いで作業をしている。

ボッシュは作業室へ走り、もう一人のボッシュと対面した。


「そうか…つまりお前さんは未来から来たのか…」


ボッシュ
「そうじゃ! 実験は失敗して、大変な事になる。未来で見たラヴォスは世界を破滅させたんじゃ。」

ボッシュ
「そうはいうが、ここは天空都市じゃぞ。ラヴォスが光の柱とやらで世界を破壊するとしても、この高さまで届くとは思えんが…

ボッシュ
「確かにそうじゃけど…」

ボッシュ
「お前さんも知っているじゃろうが。我らに選択肢ない。ダルトンとその背後にいる奴らの意には逆らえん。やるしかなかろうが。

ボッシュ
「確かにそうじゃけど…」

ボッシュ
「タイムゲートに飲まれたとして、助かるんじゃろ? ならそんなに深刻には…」



ボッシュ
「兄さん達は死んだのだぞ!」

ボッシュ
「だったら、魔神機に剣刺したら直ぐに逃げれば良いじゃろうが。タイムゲートにまきこまれる前に。」


ボッシュ達はガッシュとハッシュの元へ行った。


ガッシュ、ハッシュ
「まさかワシが死ぬとは…」

ボッシュ
「兄さん達はどう思う?」

ガッシュ
「未来に行きタイムマシンの様な物を作る…」

ハッシュ
「記憶はないものの、時の案内人みたいな仕事…しかもオシャレな服とステッキか…」

ハッシュ、ガッシュ
「楽しそうじゃないか!」



ハッシュ
「冗談じゃよ。歴史の欠片もジール王国が無いということなら、ラヴォスは恐らく目覚めるのじゃろうな。そしてジール王国は消滅する。」

ガッシュ
「だがな、実験を止める訳にもいかんのじゃよ。
 止めることができぬなら、やるしかない。
 要するに避難するとか、実験が失敗したときの対策をすればええんじゃろ?」
 
ボッシュ
ボッシュ二人でならダルトンを説得する事はできんかの? タイムマシンで未来を見せるとかで。」

ハッシュ
ボッシュ! それ良い考えじゃのう。それなら流石のダルトンも…」


その瞬間、クロノ達とボッシュの身体が光輝いて透明になった。

ボッシュ
「身体が消えそうじゃ…」

ガッシュ
「何が起こっている?」

ハッシュは考え込む。
「恐らくこれは、時の流れに逆らって歴史を変えようとしているから…かもしれん。
 ボッシュがタイムゲートに飲み込まれたからこそ、今こうしてボッシュはここに存在している。もしゲートに飲み込まれないなら、ボッシュの存在は無かったことになる。」

ボッシュ
「なら、ワシはゲートに飲み見込まれる運命を受け入れんといかんのか!」

ハッシュ
「そういう事になるな。ボッシュ、お前さんはゲートにの見込まれる時どの辺りのにおったか?」

ボッシュ
「真ん中…だったと思う。」
その瞬間、ボッシュの身体が光に包まれた。

ハッシュ
「お前さん、今嘘ついたじゃろ。本当はどのへんじゃ?

「右…」
ボッシュが光に包まれた。


4人は相談の結果、『タイムマシンをダルトンに見せる』を決断した。
『ハッシュもガッシュも死んだんだからボッシュお前も我慢しろ』ということ


4人共が『魔神機実験を止める』を決断したとき、全員が光輝いた。

ハッシュ
「『魔神機実験をしない』という選択肢は未来のボッシュが持ってきたんじゃった。そのボッシュが存在しない事になったら、『魔神機実験をしない』なんていう選択肢はそもそもワシら選べんから、ワシらの決断も存在しない事になるのう。」

『魔神機実験をしなければならない。』
そう決断したとき4人から光は消えた。


ハッシュ
「それが運命というなら、やらねばならんのかのう。


ガッシュ
「うむ。そのようだ。

ボッシュ
「…

ハッシュ
「未来から来たボッシュ。お前さんができることは出来るだけ民を安全な所に避難させる事じゃ。

ガッシュ
「もし大陸が海に落ちたら大津波が起こるだろう。海岸沿いの地の民を避難させねばならん。


過去ボッシュ
ラヴォスが暴走するにしても、ワシは念の為に赤い剣を作るよ。
 そしてまたこの時代へと皆に会いにくるよ…





未来のボッシュ
「1つ方法がある。
 未来のサラ様とジール様を連れてきて、みんながゲートから消えた後、ワシらがラヴォスと戰う。
 サラ様がラヴォスの力を押さえ込みつつ、ジール様が魔法で応戦する。」

ハッシュ
「それだと死の危険が伴うのてはないか?」

ボッシュ
「分からぬ。もしかしたらまたタイムゲートに飲み込まれるかもしれん。
 でも、せっかく築いたこの国を諦めたくないのじゃ。」

ガッシュ
「実質のダルトン政権なのにか?

ボッシュ
「天空都市が無かろうとダルトンみたいのは多くいる。地上で暮らすとしてもじゃろ…」



*1




ボッシュは中世に戻り、現状の王宮を報告した。

サラ
ラヴォスと戰うって? ボッシュ本気で言ってるの? 

ジー
「正直、わらわも勝てる気がせんな…」

ボッシュ
「未来での映像を思い出してみてくだされ。
 ラヴォスは体から光を空に向かって攻撃を放つ…
 要するにラヴォスの上に居なければ安全なのではと。
 タイムゲートはラヴォス近くで発生するとして、ラヴォスから離れて遠くから魔法で攻撃するのです。
 もし危険と判断するなら、予めワープゾーンを足元近くにおいて、そこから逃げるのです。」

サラ
「なるほど。それなら…

ジール王
「まだ不安があるがな…

サラ
「魔族に助力をお願いしてみるのはどうでしょうか。戰うことが好きな魔族は多くいます。ソイソーやマヨネー、ビネガーも頼もしい戦力になるかもしれません。

魔王ジャキ
「姉様、私をお忘れですか?」

サラ
「ジャキ…


「時の流れに反してはいけない」
ハッシュの言葉

未来でラヴォスの脅威を知ってそれを前提として過去でラヴォスを倒すこと。ラヴォスが死ぬなら前提となる未来がないから、過去でラヴォスを倒すことが成立しない。

ラヴォス破壊は、未来においては可能だが、過去ではできない。
にも関わらず、ボッシュ達は光に包まれないのはどういう意味か。
以外3つのどれかしかない。

ボッシュ達はラヴォスを倒せない
ボッシュ達はラヴォスに殺される
ボッシュ達は途中で負けを認め逃げる

ボッシュはハッシュの言葉を思い出した。

避難活動が一番確実である。
ラヴォスが未来でしか倒せないのなら、未来で倒せばいい。
1999年までに、人々を未来2300年向こう側に移住させる。そこを新たな住処として開拓すればいい。

1000人が収容出来るような巨大なシルバードを作り、人々を未来に連れて行く。
砂地になった未来を復興する。


ボッシュの考えを聞いたジールは古代へと向かった。


ジールは大陸の中央に特大の魔法陣を描き呪文を唱えた。
吹雪の寒い世界で、その空間だけが、温かくなる。そこに人が集まれる様にテレポートスポットを設置した。



ジールの得意な魔法はハレーション。
ハレーションを受けた者は体力1になり、瀕死の重症になる。
本当に瀕死状態になる恐ろしい技でない。瀕死になった気がするだけで、死ぬような恐怖を感じるだけ。ポーションさえあれば直にが立ち直れる。

ジールは国全体にハレーションを振りまき、弱った人々に、脅しのアナウンスをした。
「わらわのハレーションを受けたくないなら、、地上に逃げるしかないぞよ」

ラヴォスが暴走すると言っても信じない者や、天空だから安全だと思い込み、逃げない者がいる。そう考えたジールはハレーションを使った。

空飛びつつハレーション
 虹色の環が広がる。

ラヴォスが暴走して天空都市がなくなる。ので、ハレーション!」

ラヴォスが私のせいで目覚めてしまいますよ。ハレーション!」

ダルトンが悪い! ハレーション!」


皆の者よく聞け、わらわは、未来を見てきた。

未来はとてつもなく、ひどい世界になっている。

生きている人々は皆、困っている。

わらわは思った。恵まれてるそなたらなど、どうでもいい。

苦労知らずのお前たち等どうでもいい。



わらわは、未来で王になる。

こんな時代、ダルトンにくれてやる。


「わらわの苦労を知らぬ者は死んでしまえ」


暴君イメージしかない国民にとって、ジールは乱心している様にしか見えないだろう。
たからこそ、ハレーションの効果があるのだろうが…

「おいそこ! 地の民をシェルター(温暖区域)から追い出したな! 後でハレーションを浴びせるから覚えとけよ!」

「地の民をいじめた奴は皆ハレーション地獄を味わわせてやる。」


ボッシュとサラはバリア用の魔法を準備している。

ラヴォスのエネルギーに耐えるには広範囲なバリアでは魔力が持たない。

「サラ様が地の民を守ろうとしている!
ラヴォス神が世界を破滅させるのは本当なのかもしれない!」
「サラ様だけに任せる訳にはいかない! オレも!「私も!

ラヴォス防衛に必要なエネルギーが貯まる。


〜海底神殿〜

ボッシュ
「兄さん達、また会いましょう!

ハッシュ
「じゃ、時の最果てでな!

ガッシュ
「ヌウとして!

ボッシュは魔神機に突き刺した赤い剣が変化していくのを見ていた…



程なくして海から光の柱が天を貫いた。

光の雨が大地に降り注ぐ。

雪の地面が溶けていく

地響きで立っていられない地の民

魔法使い達は力を加減しながら、器用に浮く

ラヴォスの雨はいつ終わるのか。

砂煙で周りが何も見えなくなっても、衝撃はシールドを通して空気の振動として内部に伝わる。

耳を塞ぎ、蹲る人々。恐怖で怯える。

5分経過
景色は見る影もなく崩壊し、山々の輪郭が変わっていく。
ラヴォスは変化なく、光の攻撃をしている。

10分経過
ラヴォスは変化なく、光の攻撃をしている。
ジールもサラも汗を流す。
体からオーラがでて、長い髪が上になびく。
周りを見る余裕はなく、目を瞑り集中する二人。
山々は蜂の巣の様に穴だらけになる。


更に10分経過

大地はめくりあがり、ジール達のいる足場以外は谷の様なクレーターになった。

高さ10mの高台に東京ドーム1個分の広さのシェルターを建設したかの様に大地に落差が生まれている。

多くの山々は崩れ落ち、そこを住処にしている魔族も多くが死に絶えるだろう。


魔法使い達は疲労を貯め、目が虚ろで視線が定まらない。
魔力は殆ど使い果たして、意識が朦朧としている。
ドーピングの魔法で意識を繋ぎ止める。
だが一人、二人と、次々に力尽きて倒れる。

地の民は無力だった。サラやジール、その他の魔法使いを心配することしかできなかった。

更に10分が経ち、バリアシールドがボロボロになる頃、魔法使いで立っている者は殆ど居なかった。サラもジールも同様に魔力が尽きて倒れた。

ラヴォスの攻撃は未だ収まる気配がない。
このままでは皆が死に絶える。

「お、お母様…このままでは…

「わ、わかって、おるわ…」

ラヴォスの攻撃は生命の99%を絶滅させるエネルギーがあった。
ジール達の魔力で防衛しても、絶滅を98%に抑えられるかどうかのレベルでしかない。


サラは思った。この時代に戻ってきたのは偶然ではなく必然なのだと。
ラヴォスゲートに飲み込まれた後、人々はラヴォスの攻撃で死んだ。
未来に王国の歴史を語り継げる者が誰一人居なくなるまで殺されてしまったのだと。

全てはラヴォスを覚醒させる実験から生まれた悲劇。自分達の責任は免れない。

人々は実験を強行した王宮を恨みながら死んでいき、その魂が無念を晴らす為に自分達をここへ導いたのではないかと。罪を悔いて反省するか、さもなくば責任を取ってラヴォスを倒せと。それが無理なら命を駆けて人々を守れと。
みんな死んだのだから、今度はお前が死ぬ番なのだと。

【お前達が私達を殺したのだから、今度は私達がお前達を殺す番だ】

サラ
(お母様…この惨状を招いた私達は途方もなく罪深い…)


ジールはサラが何を考えているかは分からなかった。しかし、きっと物事をわるい方向に考えて絶望しているのだと思っていた。

ジー
(わらわは思うぞ。わらわがラヴォスを呼び覚まさなかったら、ラヴォスはしっかり睡眠時間をとり、未来で目覚める時間が前倒しで早くなるだけじゃろうと。)

ジー
(余計な事は考えずとも、やれることはもう少ない。魔力はもう無いんじゃ。すっからかん。後は運を天に任せるのみぞ…)


ジールはサラを見て笑った。

サラ
(こんな時に笑うなんて、やっぱり私、お母様の心なんて分からないや…)

サラもジールに笑顔を向けた。


ラヴォスの光はバリアを貫き、人々を巻き込んだ。
サラとジールも巻き込みながら…





「まだ、まだ、終っとらんぞ!」
ボッシュは透明魔法を解除した。そばに隠しておいたシルバードを起動し、サラとジールを乗せた。



ダルトンはその光景を見ていた。

「所詮人間はこの程度か…」

そう呟いたダルトンラヴォスの光が直撃した。

ダルトンは無傷だった。

ダルトンは何かの呪文を唱えた。

その瞬間、時が止まった。

ダルトンはサラとジールに歩み寄ると手をかざした。

タイムマシに乗りこんだサラとジールの体は光に包まれ消滅した。








気付くとサラは見慣れた場所にいた。ラヴォスの攻撃に備えてバリアを張る予定の安全地帯にいた。ジールも隣にいてハレーションによる避難誘導が終わったばかりの状態で、まもなくラヴォスが暴走を始める時。

腰が抜けた様にサラは倒れ、、ジールもまた同じ様になった。

サラとジールは同じ気持ちを察した。これから起きる未来を見て絶望していた。

ジー
「い、いまのはどういうことじゃ? わらわは未来を見てきたのか?」

サラ
「なぜかは分かりませんが、私達は過去にタイムリープした様です。」

未来での記憶を過去に引き継ぐ現象、タイムリープ
魔学の歴史にもその様な現象の記録は残っていない。
夢が幻か、もしこれが未来視としたら、ラヴォスとは正面から戦えという暗示かもしれないと二人は察した。

ジー
「済まないがボッシュ、後の事は任せた。



ラヴォス戦、海底神殿〜

ラヴォスがタイムゲートを発生させ、この時代のサラとジール、ジャキ、三賢者が飲み込まれたのを確認すると、サラは走りラヴォスの眼に触れた。
ラヴォスに意識を繋げ、ラヴォスが眠るように暗示を魔法かける。
ジールはラヴォスからの攻撃に備えてサラと自身にバリアを張る。ラヴォスの光の攻撃で神殿の天井に穴が空き、海水に押しつぶされる事に備えた特別仕様のバリアを張らなければならない。


バリアを作り終えた瞬間、ジールはラヴォスに心を乗っとられていた。

ラヴォスには生物の意識に繋がり、操る力があった。その能力はサラと似ているが、サラが繋げられるのはラヴォスだけだった。

ラヴォスジールに意識を繋いだとき、ラヴォスジールの心を共有した。
ジールの国民を守りたいという純粋な感情、一度は守りきれず失った悲しみと絶望。
ラヴォスは敵であるジールの心を支配するつもりが、ジールの強い念に協調し支配された。

ラヴォスがサラの心を奪えなかったのは、既にサラの力で意識がリンク(同化)していたからで、サラの存在を自身の一部として認識していたからだが、その一部も含めてラヴォスの意識全体そのものが、ジールの念に支配される事になる。

とはいえ、完全に支配できるわけでもない。
強い気持ちを常に維持することができない様に、ジールがラヴォスを支配できるのも一時的なものである。

ラヴォスの意識とジールの意識がせめぎ合う。

ラヴォスは世界に向けて光の柱をブチかましたい。ジールはラヴォスから人々を守りたい。
互いにラヴォスエネルギーを奪いあう様相になる。

ラヴォスは光の攻撃をしたい。
ジールは人々を守りたい

(ラヴォスは光の攻撃をしたい + 人々を守りたい。)+ジールは人々を守りたい=


ラヴォスは天に向けて力を放つも、ジールはラヴォスエネルギーを使い神殿で攻撃を防ごうとする。

物質変化の術を神殿にかけたジール。その術に意識を集中し、神殿を変形させ、ラヴォスを包み込もとうする。

ラヴォスは神殿に包まれる。光の攻撃で神殿の天井を破壊するも破壊した部分からすぐに神殿は再生していく。

ラヴォスエネルギーを用いた神殿はラヴォスの攻撃を鉄壁にガードする存在となった。

ジールはラヴォスを人のいない遠くに追いやりたい。

神殿はラヴォスを抱え込んで浮上し、空へと進む。

このまま空の果てに連れて行くつもりのジール。

だが、いずれ自身は寿命で死ぬ。ラヴォスの寿命は果てしなく長い。寿命があるのかさえ判らない。いずれラヴォスを支配できなくなる未来が来て暴走を止められなくなる。

これを解決するにはジール自身の意識を神殿内に閉じ込め、神殿と同化する事でラヴォスと意識を繋がり続けさせるしかない。

神殿に意識を転移する術を使い、サラの前から姿を消した。

ラヴォスを支配できている今の内にラヴォスエネルギーを抜き取れるだけ抜き取る必要があった。

そのエネルギーでジール神殿はラヴォスが容易には抜け出せない程の硬い質へと変化した。ラヴォスを未来永劫、神殿内に封印できることを期待して、また、誰かがこの封印を解かない様に神殿への侵入者、外敵を排除できるように要塞になる形に変形させた。

サラはジールが神殿になるのを止められなかった。
サラがラヴォスと意識を繋ぐというのは、ラヴォスが意識を繋いでいるジールともまた繋がるということ。ジールの気持ちが判りすぎて、止める様な無粋な真似はできなかった。
止めるにしてもラヴォスへの対処方法も判らずでは無責任でもある。

「お母様、有難う。」
サラはジールに感謝と別れ告げると、この状況を民に説明する為、国へ戻った。



ラヴォスが封印され、天空都市を維持するエネルギーはラヴォスから得られない。
天空都市は落ちている。
ジールの人々はこれから地上で暮らす事になる…



〜アザーラとガッシュの関係〜


ガッシュが原始時代に訪れたのはクロノ達が原始時代へ来る100年程前だった。
ガッシュは未来の2100年にデータベースから、ルッカの論文テレポッドを参考にルッカと同種のゲートホルダーを作り、時の最果てに辿り着いた。

最果てには一人の恐竜人がいた。
その恐竜人の名前をアウラという。

アウラは崖にあるタイムゲートに飲み込まれて最果てに飛ばされた。アウラルッカの様にゲートホルダーを持ってた訳ではない。

あるとき恐竜人の部族が崖際にできた不自然な黒い空間(ゲート)を見つけた。
竜人達はその穴の正体が一体、何なのか、好奇心や疑問を持った。
誰が先に勇気を出してそこに飛び込めるかを競争し、そこでゲートに飛び込んだのがアウラだった。

ゲートの出口はなく、ハッシュの力で時の最果てに飛ばされたアウル。
そんなアウラの元に未来からゲートホルダーを持ったガッシュが現れた。
アウルが辿ってきた空間の歪を見つけたガッシュは、それをこじ開けけることでアウラを元の時代に帰してあげる事に成功した。

だがアウラは帰らなかった。目の前にいる人間ガッシュに興味を持ち行動を共にした。

ガッシュは未来と原始時代を行き来し、アウラはそれに付き添い、未来のコンピュータを見つけた。
アウラにはコンピュータを理解する事は無かったものの、原始時代でそれと似たような物を知っていた。

アウラガッシュに恐竜人の遺産へと案内した。ディラン城屋上の渡り廊下を抜けた先の塔。そこに恐竜人が生み出したコンピューターがあった。

操作パネルはなく、石に触れて念じて操作するもので、映像も石に映る仕組みであった。

このシステムは魔学的に生み出されたものだとガッシュは理解した。

魔学的にそれを作るのであれば、ラヴォスエネルギーが存在していな、ガッシュにはラヴォスの気配を感じる事はできなかった。
だが石のコンピューターはラヴォスが過去に地球に存在していて、その頃に作られたものだとガッシュは推察した。

石から得られた情報もそれを示していた。石には過去に何度もラヴォスが飛来していた記録があり、次のラヴォス飛来予定日も記されていた。

クロノ達が知る飛来してくるラヴォスを含めてBC65億年から古代BC12000年までの間に109体のラヴォスが地球に衝突する。凡そ6000万年に一体のベースでラヴォスの衝突日時が記録されていた。

ガッシュがその事実をアウラに話したかは定かではないが、アウラは石のコンピューターの使い方をガッシュから教わった。

アウラにとってはガッシュは知識の宝庫だった。
ガッシュを知る為に人間の言葉を知りたがった。

ガッシュが石を調べていくと、過去から未来に至る文明毎の言語翻訳の知識を脳内にインストールできるシステムが備わっている事に気付き、アウラにそれをインストールした。

アウラはその力で言葉の異なる多民族を束ねた。
徐々にアウラを取り巻く恐竜人達の見方が変わった。
部族の長、ディラン城の秘められたシステムを起動できる唯一の存在として、偉大なる人物としてもてはやされると共に子孫を残した。

その子孫がクロノ達の知るアザーラだった。
アザーラはアウラと同じく石を使いこなした。

ガッシュの関与でアウラは人間に偏見を持たなかったが、後世のアザーラは違った。
ディラン城の偉大な遺産は人間の知識を遥かに上回るものであり、恐竜人こそが世界の覇者であり、人間は恐竜人に従属するべきと考えていた。

そんなアザーラもラヴォスの飛来で恐竜人が絶滅する未来に気付いた。

エイラ達をラヴォスの衝突に巻き込みたかったのか、あるいは単に恐竜人の遺産を自慢したかっただけなのかは判らない。バリアで自分だけラヴォスから逃れられると思っていたかどうかも判らない。
とにかく、アザーラを押し潰したラヴォスはまだ生きている。

クロノ達が飛来を目撃したそのラヴォスは古代のラヴォスとは繋がっていない。

65億年前のラヴォスの落下地点は古代では山脈になっていた。
古代でラヴォスが噴出した場所は山脈ではなく、遠く離れた海底神殿からだった。
原始時代と古代のラヴォスは別物である。
故にクロノ達の戦いは終わらない。
もしかしたら永遠に終わらない…





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*1:では作戦開始じゃ